
アルバイトの記憶 スペード社シリーズ
南大阪さんは、オープンマインドな方であることはすでに書きました。仕事がやや落ち着いてきた3月初め頃か、お疲れさま会が開催された3月末のことだったと思うのですが、詰め所の中央の方から南大阪さんの声が聞こえてきました。南大阪さんは、上村栄二作画監督が描くグレートマジンガーのようなスーパーロボット体形の方で、その体系からか声のトーンは低めで、しゃべっていても目立たない方だったのに、です。
またその日、ホウセンカ大学の悪畑さんという人も出勤していたことを確認しました。悪畑さんは4年生の方で卒業なのですが、年末から姿を見ていないような気がしました。髪の毛は元々の茶髪のストレートで、目半立ちくっきりで山口智子か今田美桜に似ていたように思います。聞こえてくる声によると、この時期まで就職活動をしていてようやく内定がとれたか、あるいは就職先の研修会のためにアルバイトに来られなかった、といっていたような気がしました。
そこの話の輪に加わっていた南大阪さんが、「え?これまで悪畑さんの姿を全然見なかったのですが、今まで〇〇していたんですか!?」と言ったように思います。しかも悪畑さんは、「短大卒以上の一般事務職」枠にようやく内定を取れたとも聞こえました。悪畑さんのパーソナリティはよくわからないのですが、同級生の女子などに
「悪畑さんは、黙っていれば「かっこいいオンナ」なのに、しゃべるとドジっぽくて面白いよね~」
と言われるような人だったと聞いています。私はシャープなお顔にしり込みしてしまい、それまであまりお話しできなかったのが残念です。
そして南大阪さんは、西日本の出身でコーヒー大学の2年生、奨学金をもらっていたか、学費か生活費か家賃のどれか一つをアルバイトをして負担をしていたと聞きました。もし南大阪さんが2年後を卒業し、短大卒以上の一般事務に就いたとすると、損をしてしまうというのです。すなわち、2年間の学費と生活費と家賃を払ってあと2年学校に通うと、生涯年収がただ2年分減少して基本給も短大程度となります。すなわち、2年間分以上の損が出てしまうという計算です。
そうなった場合は、学校をやめて地元に戻り、高卒以上の一般職に就いた方が良いというのです。また、「そういう一般職になりたくないから四年制大学に行ったのに、これじゃ無駄になっちゃう。」とも言っていました。
周りの4年生の女性たちは、「あと2年頑張って学校に通えば、きっと景気も回復しているよ。」と言って引き留めていました。南大阪さんは落ち着いている方だったのに、意外な反応をした出来事として記憶されています。その後、風のうわさで南大阪さんは無事卒業はされたと聞きましたが、それだけみんなパニックになっていたのだと思います。
Posted at 2025/03/31 21:46:22 | |
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