この日は用事が済むと何もすることがなくなったため、試乗に行くことにしました。とはいってもめぼしい車種がないため、日産に行って「ラフェスタハイウェイスター」に乗ることにしました。基準車である、「
マツダ プレマシー」にはすでに試乗済みですので、この記事は「プレマシーとの違い」という位置づけで書きます。
なお、公式発表放されていませんが、外側の鉄板類以外はすべて同一である模様です。しかし、試乗したプレマシーは15インチスチールホイール仕様で暑い日に、このラフェスタハイウェイスターは16インチアルミホイール仕様で、この日はそれほど暑くない、という違いがあります。
エンジン
基準車とは何も変わらないように感じましたが、2500回転までのパワーがちょっと不足する領域が強調され、2500回転以上ではパワフルに回転が上がろうとする性格が強調されていました。アクセルレスポンス、アクセルペダルの重みは変わりませんでした。
この日思ったのは、2人乗車では楽しく思えるこのエンジン特性ですが、仮に7人座ったとすると、もしくは4人乗車で山道だと、ちょっとパワー不足に感じるかもしれません。この車は、エンジンパワーが足りないと思ったら、自分でアクセルペダルを操作したり、シフトレバーを操作したりしてそれを補う楽しみがあるのではないかと思います。
トランスミッション
これも、シフトスケジュール、レスポンス、ともに基準車と同じと感じました。5速のトルクコンバーター式ATで、マツダお得意のスリップロックアップ機能が付いています。単板ロックアップクラッチによるスリップロックアップが十分に熟成されています。シフトショックも適切で、運転者にシフトアップやダウンが行われたことを知らせます。
雑誌などで「シフトショックがないトランスミッション」などとほめる記事を見かけることがありますが。一方で「CVTは滑っているようで気持ちが悪い」などと書いています。シフトショックがない有段ATは、ほとんどCVTです。シフトショックはABSのペダルキックバックやステアリングに伝わる路面状態同様、重要な反応です。シフトショックがなくなると、現在入っているギヤがわからなくなるため、加速度を予想してアクセルペダルを踏み増すことができません。「CVTは嫌いだけど、シフトショックがないATは良い。」は、ちょっと矛盾しているような気がします。
サスペンション
こちらは16インチ化により、乗り心地が変わっています。固さの点からいうと、乗用車としてはこれがぎりぎりかな?と感じました。我慢はできるものの、ボデーにショックが伝わります。15インチ仕様の方が良いかもしれません。17インチは、固さが目立ってくると推察されます。
もちろん、プレマシーとほぼ同じ印象で、無駄な揺れや不快なショックはありません。
ステアリング
こちらも、16インチ化に伴って重みが増しているようです。もちろんステアリング操作に対する車体の反応はよくなっていますが、15インチでも十分であるため、この点からも15インチの方が良いかもしれません。17インチでは、おそらく初期反応が良くなる一方で、初期ロールも強まると思いますから、必ずしも操縦性能が向上するとは思えません。
ボデー
前述のとおり、外板が全く変わっています。内装は変わったようには感じられません。内装は、他の日産へのOEM車のように、日産のオリジナルな雰囲気を出してほしいです。ソフトパッド化、カフェラテ色化、いろいろあるでしょうが、黒っぽい車体色に黒っぽい内装色というのは、黒いシャツに黒いパンツを合わせるごとく、変な組み合わせですよ。
ボデースタイルは好みとも言えますが、なんだか没個性なデザインで、「ミニバンをデザインしなさい」と言われたら、だれでも一回は描きそうなデザインです。このデザインをして、後述「イケダン」などと言われても、「よっぽど車のデザインを知らないんだねえ~。」という気分になります。
まあ、マツダオリジナルの「NAGARE」ラインが嫌いな方、フロントグリルのデザインが嫌いな方はいるでしょうし、それなりに存在意義はあるでしょう。
まとめ
ウイングロードからミニバンにしようと出かけて行った人が、マツダでは、「車は良いのだけれど、デザインがねえ」と言い残し、トヨタ、ホンダ、日産にも行ったとして、「日産のラフェスタハイウェイスターは良いね!やっぱり車は日産だな!」と言って買えば、メーカーとしてのマツダは台数がさばけて喜び、販売店としての日産は「お客をつなぎとめられて良かった。」と、胸をなでおろすわけです。
なんでも、ミニバンが売れるのは日本だけの現象で、それも2400ccミニバンは完全に左前、オデッセイなどは対前年比60%程度の売り上げだそうです。対前年比60%が3年続くと、0.6×0.6×0.6×100(%)=21.6(%)で、大変なことです。
一方で、ステーションワゴンも市場は小さくなったうえに、レガシィとアコードしかなく、ほとんどレガシィの一人勝ちです。箱型ミニバンも、ノア・ヴォクシーの現状を見れば、明らかに秋風です。市場は、コンパクトカーと軽乗用車とハイブリッド車で抑えられています。そんな中、OEMで自社顧客を維持する、というのは会社経営としては賢い選択かもしれません。でも、内装を替えたり、サスペンションチューニングを変えるなど、何か一工夫が欲しいですねえ。
一方、CMの「イケダン」はどうですか?いかにも広告代理店感覚丸出しですよね。たぶん博報堂でしょう。彼らは「造語」が大好きですから。しかも出演は「井川遥」ですか。「基礎調査によると、30歳代男性には井川遥が好感度が高く、その井川遥が対象たる男性をほめたたえることで、対象の男性の気持ちをつかみます。」とでも「プレゼン」したのでしょう。しかし、このような広告戦略で売れた車はありません。かつて
・エリマキトカゲのCMで1984年の話題をさらった三菱ミラージュがサッパリ
・「マツダ レビュー」が、当時「CMの女王」だった小泉今日子が宣伝をしてもサッパリ
・初代ラフェスタ(今も現役)後期型が、やはりこのラフェスタハイウェイスターのCMに同じような理屈で「森高千里」を起用してサッパリ
ということがありました。広告代理店の人たちって、車に興味ないのですねえ~。興味あるといっても、「3年に一回買い替える」とか、「外車を買う」というのが、彼らにおける「車好き」感覚ですよ。
この井川遥の「イケダン」で、なんだかラフェスタハイウェイスターを選ぶことが「こっ恥ずかしく」なってしまいました。まるで「イケダン」と言われたいがために買ったかのような雰囲気です。
幸いこれを書いている10月の時点で、「イケダン」という言葉がはやっている兆しはありませんし、CMは、多くの人の記憶に残りませんでした。
スタイルとしては「痩せ」と「没個性」を感じるものの、運転して楽しい車です。選んで間違いはありません。でも、CMのガッカリ感と日産オリジナルの雰囲気が出ていないことが残念でなりません。
Posted at 2011/10/11 00:49:59 | |
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