
この日はGW初日でした。1ヶ月ほど前に、母校の自動車部では新入生勧誘を目的として、ジムカーナ練習会を催すことが決定していました。
母校の自動車部は、私が入学する直前には22,3名ほどが在籍していました。当時は学生でも貯金をすれば車が買える頃でした。なんといっても、社会人が積極的に車を買い変えてくれていたので、中古車が安く買えるようになっていたのです。
それが私よりも2年下の世代が13人も入部したのをピークに、再び1年代当たり7名に減少、2002年頃から、「仮入部は来るものの、正式入部者が少ない」傾向が続きました。2005年頃は、部外者が勝手に来て遊ぶという、部の体制の乱れが始まりました。
そして2011年、ついに入部者がいないという事態になりました。2011年5月頃に部室に行くものの、部にはあきらめの空気が流れていました。私は、現役学生が「部の伝統を守る」ことのために、本業の勉強をおろそかにして部活をすることには反対ですので、「部の整理を考えたほうが良い」と言い残していきました。
今年の3月だったかな?別のOBが騒ぎ出して、さらに上の世代にも伝播、OBが協力して新入生歓迎ジムカーナを開催することにしました。
これまでもOBが練習会に顔を出すことはあったのですが、勝手に走って勝手に帰っていくという、1年生を相手にしないものでしたので、私は「新入生歓迎にならないのではないか?」と危惧しました。
そこでみんカラやフェイスブックでお友達登録をしていただいている方の中から「伏木悦郎」さんにお願いし、話題の車、憧れの車として、「トヨタ86」と「最新ポルシェ911」をお持ちいただく約束を取り付けました。
当日は、「車を買ったものの「走り」については未経験である従兄弟」と、会社で走りに興味がありそうな人、みんカラ中で実際にお会いした方などに声をかけました。
そして朝、前日の移動疲れか、出かける予定にしていた時間に目が覚めました。急いで風呂に入って出発、現地に着いたのは予定時間の30分後でした。都内から来た人たちは大渋滞にはまり、数時間も高速道路上にいたそうです。
ジムカーナコースは、舗装面がタイヤによって磨かれた形になっていました。アスファルト中の石が光っているほどで、乾燥路面なのに非常に滑りやすくなっていました。
午前中は、スポーツ走行未経験の従兄弟への指導と、混雑で遅れに遅れた伏木さんのアテンドに追われました。伏木さんにはタイヤを惜しげもなくお使いいただき、86の楽しい面を見せていただきました。また、前澤義雄さんにもお連れいただき、なんとも贅沢な会となりました。
この会は、伏木さんが声かけし、車について見たり語ったりする会を兼ねており、私としては自動車部員やOBとの融合もできれば良いな、と思っていたのですが、融合したのは1年生と一部のOBだけでした。残念。やっぱり自動車部員は閉鎖的です。
伏木さん、前澤さんは午後2時頃に場所を移動され、その後は私も自由に走りました。コロナでジムカーナを走るのはおよそ8年ぶりでした。現在装着しているタイヤは、燃費重視の全くグリップしないタイヤです。滑り易い路面でもあったため、無理せず低い速度でも後輪が滑り出し、安全にテールスライドを楽しめました。何よりアンダーステアが強い車ですので、ブレーキングで後輪が滑る姿勢にします。その過程を低い速度で楽しめるので、なかなか楽しかったですよ。
その後、従兄弟のアテンザにも乗りました。VSCをカットすることや、コーナーでブレーキを残しながら進入し、後輪が滑る姿勢にすること、サイドブレーキを使い、後輪を滑らせることも教えました。
たしか今年初めて30℃を超えた日で、非常に暑かった日でしたが、楽しい一日でした。
トヨタ86助手席乗車の感想
この会の中で、伏木さんが運転する86の助手席に乗せていただきました。練習走行時は、コース図を見ていたら途中で気分が悪くなってしまい、私は降りてしまいました。その後、伏木さんが十分習熟されてから、また乗せていただきました。
エンジン
言わずと知れた、水平対向4気筒、直噴・ポート噴射切り替え式自然吸気のFA20エンジンです。取り回しは厳しいものの、等長等爆排気マニホールドが採用されていたと思います。
自分でアクセルを踏んでいないのでレスポンスなどはわかりませんが、ものすごくパワフルであるというほどでもないようです。シャシーに対して扱い易いパワー感のようで、滑り易いこの場では、車体の姿勢制御を、アクセルを踏む足で自在に行えるような印象でした。
吸気音を増大して室内へと導入する「サウンドクリエーター」は、3000回転以上になると効果が出てくるようです。低回転域ではエンジン音があまり伝わってこないため、エンジン音が急に高まる感じがします。その辺りの印象を、「エンジン回転数の増加と音が比例しない」とする方がいるのも頷けます。
エンジン音自体は水平対向エンジンらしさが残っており、決して軽快な音ではありません。そこが「エンジンを回して走っている」感覚につながり、運転者の気分を高揚させます。
トランスミッション
今回はシフトレバーは操作していませんし、ジムカーナ場であるため、ギヤ比が適正であるかどうかは、わかりませんでした。
ブレーキ
これもわかりませんでしたが、サイドブレーキはよく効くようでした。
ステアリング
これもわかりませんが、ギヤ比がクイックなのか、ジムカーナでも忙しそうな感じはしませんでした。
サスペンション
水平対向エンジンであるため、エンジン自身の重心が低いので、ロールスピードは適正でした。ロール角は、乗り心地の硬さの割にはあるような感じがしました。特に、大舵角を与えて発車するような場面では、コーナーアウト側の車輪側に傾き、コーナーイン側の車高が上がっている姿を見ました。前輪がだらしなくアンダーになるようなことはありませんでした。
一般的に「86はドリフト仕様」と言われています。ドリフトに持ち込んだ際にも後輪が慣性でどんどん出ていく印象ではなく、アクセル操作に応じたドリフトアングルになるようでした。制御可能なドリフトになっていました。
ボデー
非常にしっかりしたボデーで、ねじりはもちろんですが、特に前後方向の曲げ合成が高いと感じられました。
シートに腰掛ける際にも、以前のスポーツカーのように「落とし込まれる」印象がありません。快適な姿勢で乗り降りができます。シートに座ってしまえば、これまたかつてのスポーツカーのような「過剰なまでの包まれ感」はなく、適度にタイトな印象で済んでいます。
まとめ
この車は、名前やイメージほど硬派なスポーツカーではなく、シルビアのS13がそうであったように、気軽で軽快なスポーティーカーであるように思います。当のシルビアも、登場当初はそういう車でした。いや、むしろ新車時は「ナンパ車」となっていました。シルビアが旧型になり、世の中は「四駆(ヨンク、RVブーム」になるにつれ、どんどん峠方向に追いやられてしまったのです。それが車好きを「特異な」印象にしてしまう、一つの要因だったのかもなあ。。。
従って、この車を成功させるには「なんだかこの車を運転していると楽しいね、気持ちが良いね」という、普通の人を増やすことにあるのではないか、と感じました。そしてこの車は、S2000やシルビアS15よりも、もっと普通の人に受け入れられる車であると思います。問題は、それを気づく人がいるかどうか、です。
Posted at 2012/07/29 23:55:20 | |
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試乗 | クルマ