
先日、ドラマにおいては人物設定が重要であることを書きました。人物設定には時代性があり、ある時に良かったものがのちの時代に通用するかというと、決してそんなことはありません。高度成長期中期、「特命機動捜査隊」という警察ものでは、こんな人物がいました。
田舎の女性。街のごろつきにナンパないしは半ば拉致された。そのまま田舎に帰ってこなかったが、田舎の恋人が都会に探しに行くと、すっかりBG(ビジネスガール、働く女性という意味だったらしい。)になっていて、田舎の恋人を鼻にもかけなかった。
人口が、田舎から街へと急に移動していった時代らしいです。当時は車も道路もありませんでしたから、近郊農村から都会へ通勤することも不可能でした。そのため、会社勤めをしようとするなら、都会へ出るしかありませんでした。従って、田舎とは言っても、現在の通勤圏市の駅から離れた兼業農家の地域を指していると思います。
こんな時代錯誤の人物設定、昭和50年代半ばで既に成り立ちません。。。
さて、私が好きな刑事ものには、色々特徴的かつ類型的な人物設定がなされています。
・家族を殺され、復讐に燃える遺族
太陽にほえろ!では、真屋順子さんは「夫と娘、娘の婚約者を殺された女性」に、小林千登勢さんは、「運転していた車に、遊びで打たれたゴルフボールが直撃、交通事故を起こして夫と息子を事故で失った女性」になっています。
特捜最前線では、「娘を変質者に襲われ、変質者は裁判で軽微な罰になってしまう。玉高公園で拾った拳銃で、その変質者を殺す女」になります。
Gメン’75では、「湖で溺れた女性を救った周囲の人、危険場所を取り囲む柵を燃やして暖をとり、女性を救う。1週間後、柵で囲われていた場所の沼地に子供が入り込み、溺れ死ぬ。その父親は復讐のために、「女性と、女性を救った周囲の人を一人ずつ殺す」役を演じます。
今回は、その様をがよく表れた予告編をご紹介します。
<公開を終了いたしました。ご覧いただいた方、ありがとうございました。>
登場人物の成り立ちや環境、過去を設定することで、今映像になっているところに至るまでの過程が想像できます。犯罪ものであれば、「そうなってしまうのも仕方がない」と視聴者に感情移入を促します。その一方で、刑事の側にも犯罪を取り締まる正義が有り、これにも感情移入ができます。両方に正義があるため、視聴側は思い悩むことになり、話に取り込まれていくのです。
追伸
いま放送中の作品、「sakura~聞く女~」も、人物設定がうまくいっている作品です。第二話では、こんな展開がありました。
「ゴミ屋敷の苦情を受ける主人公。現場に駆けつけると、ゴミ屋敷の住人は女であった。その女は3年前に息子をひき逃げ事故に合わせてしまい、息子は植物状態になってしまっていた。彼女にとって、時はその時から止まってしまっており、ゴミを捨てられなくなっていたのであった。」
どうです?女性の気持ちや成り立ちが、よく説明できているでしょ?主人公との出会いも自然です。見ている方としては、「なんだこのだらしない女?」と思わされ、女性の事情を知ってからは「かわいそうな人」と思うようになります。
Posted at 2014/10/29 00:23:28 | |
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