
アニメーションには、名作として語り継がれたり再放送やDVD化される作品があれば、ほとんど再放送されない作品もあります。前者の代表格が「機動戦士ガンダム」や「宇宙戦艦ヤマト」、「マジンガーZ」ならば、後者はサッカーものの「赤きイレブン」、キックボクシングものの「キックの鬼」、そしてこの「空手バカ一代」です。
ある日YOUTUBEを見ていましたら、この「空手バカ一代」が、1-3話まで無料公開されていることがわかりました。そして見てみると、独特かついつの間にか失われた世界観があることがわかりました。
太平洋戦争直後を描くと、「みんなで力をああせて復興」という情景ばかりになってしまいましたが、実際にはそうではないと思います。
「あるところに物はある」
「法律は自分」
「力がものをいう」
などです。この作品の主人公は出撃せずに敗戦を迎えた特攻隊兵です。東京池袋に戻ったのち、持ち前の空手を武器にしてやくざの用心棒になり、とある事件から「強さ」について開眼し、修行の旅に出ます。
その過程で描かれる、アニメーションながら力が入ったアクション、そして当時を生きるやくざや街の人などが、生き生きと描かれています。「ショバ代」「ブクロ(池袋の俗称)」、「ハジキ」など、最近のアニメーションでは全く聞かなくなった言葉もむしろ新鮮です。
この作品で描かれる主人公を見ると、80歳くらいになる人が
「いじめられたらいじめ返せ!」
「けんかに勝つまで帰ってくるな!」
「具合が悪い程度で休むな」
と言っていたことがよくわかります。
時代は流れ、衣食住がそろった今の時代に、単純な腕力は何の力も持たないかもしれません。しかし、主人公飛鳥拳の不屈の精神には、感銘を受けるのでした。
第一話「焼けあとに空手は唸った」
七五調の生命が秀逸です。主人公の除隊から引き揚げ、池袋での出来事を描いています。主人公が空手に生きることを決意するまでのカタルシスが描かれています。メインテーマのアレンジバージョンによるアクションシーンでは、思わず力が入ってしまいます。
第二話「悲しい用心棒」
子供に「やくざの用心棒」とののしられ、自分の無力を感じます。しかし、社長とタツとともに、外道の道を究めることを考えます。社長の大物としての余裕あるせりふ回しや、血桜会のやくざ言葉も、今や懐かしいです。
第三話「正義と力の空手道」
事件で負傷した主人公は、療養中に宮本武蔵の本と出会い、空手道を究めることを決意します。たった3話しか登場しないタツと別れ、修行の旅に出るのでした。
Posted at 2019/10/16 23:23:48 | |
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