
6日の新聞テレビ欄を見ると、フジテレビ夕方の再放送枠で「N'sあおい」の文字が目につきました。出演者には、石原さとみとあります。石原さとみは、KDDIの携帯電話CMに出ていた頃から知ってはいるのですが、このドラマに記憶がありません。調べると2006年冬期の作品で、その秋には2時間スペシャルも放送されているようです。
当時の私の記憶
同年には、藤木直人演じるカウボーイが渋谷のギャルを説教する実はジジ臭いドラマの「ギャルサー」、小説が原作の「嫌われ松子の一生」、ナースのお仕事と局と職業が異なるだけの「CAとお呼びっ」、教師による生徒指導方法が問題視された「女王の教室」などが放送されており、同時期の記憶はあるのです。しかしこの「N’sあおい」はまったく記憶がないのです。
おそらく1話で挫折していると思うのですが、茶髪・細眉・ファッションモデル全盛の時期にあって、黒髪・太眉だったころの石原さとみは、なんだか田舎のあか抜けない子がそのまま連れて来られて演技をさせられているようで、見ている方が恥ずかしくなって見なくなったものと推察されます。
第4話のあらすじ
さて、このドラマはすでに4話が再放送されており、すでに話は佳境に差し掛かってきています。主人公のあおいは、幼い頃に母親を心筋梗塞で亡くしております。その場に駆け付けた際に、看護師が懸命に心臓マッサージをしている姿を見て、自身も看護師になったと説明されています。
この回では、あおいが現在舞台の病院に来る前の系列病院で、肺から空気を抜く医療行為をしてしまったことが問題に挙げられていました。その話を聞いた周囲の看護師が動揺し、院内はミスが横行、そのあおい自身も患者の入浴時に席を外してしまい、その間に患者が倒れてしまうミスを犯してしまいます。そのためにあおいは、謹慎処分を受けてしまうのでした。
あおいが謹慎処分を受けている間、周囲の人たちは葵がとった行動について思いを馳せます。当時の担当医師は、患者が胸を強く打っていたことを見落としていたこと、倒れた患者は、自分が意地を張っていたことが倒れた原因であったことを反省、患者移送車のドライバーは、救命救急士を目指し、そして直属の医師は、「人間はミスをするから決まり事を定めているのだ。次からは決まりを守れるな?」と指導するのでした。
あおいのまっすぐな行動が周囲の人々を変え、あおい自身もまた一歩成長したのでした。
当時の背景
あおいのストレートなキャラクターと、純粋に成長を描く脚本が魅力的で、つい見入ってしまいました。次回からも見続けたいと思うとともに、当時見なかったことが悔やまれます。
2006年は、すでに「ナースのお仕事」シリーズは幕を下ろしていました。シリーズ1は主人公朝倉いずみの成長を描き、シリーズ2は松岡昌宏演じる研修医とあれこれ反発しあいながら、徐々にお互い惹かれあっていくセミ恋愛もの、シリーズ3は後輩看護して神田うのを迎えたコミカルさを前面に押し出したもの、シリーズ4はよくできる後輩看護師として安達祐実を迎えたものでした。
シリーズ2以降は小学生からの人気が高まり、シリーズ3からは赤ちゃんを投げ合うなどの過剰なコミカル描写が目立ち、視聴者層が入れ替わっていきました。シリーズ4は、無理やり視聴者を笑わせようとしている演出が痛々しく、ようやく打ち止めになりました。
また、2年後から「コード・ブルー」や「チームバチスタの栄光」などと、今思えばこの「N'sあおい」の雰囲気が両作品につながっています。
すなわちこの「N'sあおい」は、「ナースのお仕事」のコミカルな雰囲気を排除し、女性主人公お仕事成長ものの本来の姿にかじを切った作品だったと言えます。2006年までは脚本で見せる作品が多く、翌2007年からは「萌え」「執事」「メイド」「ケータイ小説」など、おかしな要素が混ざってきてドラマが急激に面白くなくなりました。この作品は、ドラマ変革直前の珠玉の作品群の一つと言えます。
2006年の風景
デジタル撮影のようで、画質は鮮明です。医療現場にはパソコンが全く入っておらず、カルテは紙、レントゲンはフィルム、ナースはナースキャップは廃止されていましたが、スカートでした。
女性は石原さとみを除いて全員細眉でした。医療現場が舞台のためか、ギャル系女性はいませんでしたが、男性看護師に「ギャル男」がいました。
当時はすでに携帯電話は普及していましたが、写真も動画も「撮影できないことはない」というおもちゃのような状況でしたね。各社は「携帯電話サイト」を設けるケースが出てきましたが、まだまだ「チラシを携帯電話で見られる」程度のことで、現在のように手続等までは出来なかったと思います。着メロはありましたが、おそらく下火になりつつあり、一部の機種では「着うた」や「音楽配信」に対応していたと思います。
音楽はakb一族以前の時代で、浜崎あゆみは若干失速気味、大塚愛と倖田來未に人気が移りつつあったと思います。一方、綾香、伊藤由奈、YUIなどが現れ、avexだけが強い時代が変わってきたころでした。
それにしても、たった14年前の作品ですが、もう「歴史もの」となりつつある要素があります。この作品の「風景」を見ることで同時の記憶がよみがえり、2010年代の変化の速さもうかがえるのでした。
Posted at 2020/04/07 23:50:29 | |
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