9月17日に、前日録画した「石子と羽男」を見終わり、2022年夏期のテレビドラマの視聴を終えました。当初、傑作揃いと感じた今期でしたが、徐々に面白くなくなっていきました。私の予想ですが、全作9話の作品の場合、初め3話は事前準備が効き、中間3話は話を膨らませる力が求められ、終わり3話はシリーズ全体の「ストーリーボード」が効いてくると思っています。近頃のドラマは、初め3話で息切れが起こり、駄作になってくる印象が強いです。特に今期は、その傾向が強く出たと感じられます。
以下に、最終回まで視聴を継続出来たドラマについて感想をまとめます。挫折した作品は、「
選択状況」のブログをご覧ください。
月曜日
なし。
火曜日
22時
「ユニコーンに乗って」TBS
インターネットソフトウェアを製作する、ベンチャー企業を舞台としたドラマです。3話か4話で、登場人物が起業に至った時期の回想のみで展開される話は傑作でした。しかしその後、一体何を描きたいのか不明な「登場人物がリゾート地に行く」回から駄作ばかりになっていきました。最終回まで一貫して、「大したことがないトラブルを大げさに描き、難なく乗り越えて喜び合う」展開ばかりでした。
結局、登場人物として魅力的だったかもしれない「小鳥さん」(演、西島秀俊)の人物像に迫ったり活躍することもなく、終わってしまいました。こうなると、脚本家やプロデューサーが、「この作品を通じて、どんなことを描きたかったか」全く分かりません。おそらく、何も考えていなかったのでしょう。
「恋は続くよどこまでも」から始まった「お仕事+キュン」路線は、ここへきて女性からも飽きられているようです。お仕事に重心をずらした本作でしたが、「恋は続くよ」路線は、次作で打ち止めでもよいのではないでしょうか。
余談ですが、本作で描かれている「教育ソフトウェア」ですが、幼児から小学校低学年向けで止まっているようです。描かれるシーンは、
「設問を読んで四者択一」
「簡単な算数の答えを、身体ゲーム的に選択するだけ」
で終わってしまっています。これだとあたかもゲームソフト感覚で開発可能ではあります。
しかし学習内容が高度化すると、「ものごとを読み取ることが重要で、答えも書くことが多い」ものです。学習ソフトウェア作りでも、結局は教える内容を電子文化したものに近づくので、ゲームソフト的な性格は求められなくなります。しかしドラマ中の開発風景は、ゲーム感覚や遊び感覚の描写ばかりでした。小学生から大学生が、「遊び感覚で勉強や仕事をしたい」と思わないことを祈るばかりです。
水曜日
なし
木曜日
なし
金曜日
22時「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」TBS
時事的な話題を題材とした、弁護士を主役とした亜種刑事ものドラマです。市中の弁護士が、2022年現在インターネットニュースなどで話題になる事件(電動キックボード、ファスト映画動画、トー横若者など)を、操作し解決、勝利に導くストーリーで構成されます。
このドラマに対して、私は当初から作風の旧さを感じていましたが、最後まで変わりませんでした、おおよそ2000年代半ばのドラマを見ている気持ちにさせられたのです。その原因を列記すると、以下の通りです。
・主人公がストーリーとは無関係な茶番劇をすること
(例、冷たいそばを食べるときに、口で吹いて冷ます行為をするなど)
・最後は必ず主人公側が勝つストーリーになり、「ジャジャーン」という劇中音楽がかかること
・シリーズ最後には大きな敵がいて、前後編や放送時間拡大版となること
面白くないことはないのですが、やはり中途半端な旧さが気になってしまいました。演出の「塚原あゆ子」という人の名前が売れ始めた、2006年?の「特急田中3号」の頃そのままなのです。当時はお笑い番組の勢いが強く、ドラマにもお笑いの要素や単純さが求められていました。その旧さをこの放送時間帯に持ち出すようになったのは、4-5年前の「ハロー張りネズミ」の頃かな?「昔の若者服」を見ているようで、こちらが恥ずかしくなってしまいます。
少し前の「MIU404」とスタッフの多くが共通していますが、最後の最後で「これは社会の問題」と放り投げる結果は若干改善されたものの、まだ残っていました。同一会社放送の別会社製作作品である、「Gメン75」に学んでほしいものです。
23時15分
「NICE FLIGHT!」テレビ朝日
作りとストーリー展開がチープであり、結局挫折してしまいました。
土曜日
なし
日曜日
21時「オールドルーキー」TBS
綾野剛主演の、スポーツ選手をマネジメントする会社のドラマです。シリーズを通じて、以下の点ばかりが気になってしまいました。
・綾野剛演じる主人公の「不思議ちゃん」さ
これにより、スポーツ選手はスポーツ以外のことを知らない、世間知らずという印象が強まってしまいました。
・主人公の妻を演じる榮倉奈々
元人気テレビキャスターということになっています。シリーズ中にSNSで持ち上げられたり、お弁当レシピ本を発売したりしますが、ドラマの主軸とは何の関連性もありません。また基本的には専業主婦であり、旧態依然とした「内助の功」を描いています。
いったいこの役柄は何だったのか、もしかしたら演じる榮倉奈々の希望があったのかもしれませんが、意味不明な登場人物でした。
・スポーツマネジメント
歌手や俳優のマネジメント事務所と同様の存在で、裏方ないしは「ピンハネ」の仕事としか感じられませんでした。もしこの設定で作品を作るのなら、主人公側を「狂言回し」として、もっと各回のゲストである各スポーツ選手に置くべきでした。
おりしも令和版東京オリンピックで運営組織と広告代理店の贈収賄が事件化されたために、このドラマ自体がうさん臭くなってしまいました。
しかしまあ、この作品ほど「贅沢な出演者を得て、ストーリーが駄作」なものも珍しいです。この日曜劇場枠が、いまだに「半沢直樹」ショックから脱却できず、妙に中年男性を意識していることが問題だと感じました。
まとめ
やはり「夏枯れ」でした。現在のドラマは「話数を12話から8-9話に減少させ、視聴率が悪ければ1話程度の短縮のみで途中の路線変更はなく、その手間も削減、良ければ最終回スペシャル」として製作しているようです。そのため私は、「事前準備だけは良かった」作品を選んで見てしまったようです。
テレビ局は、視聴率対象として重視する年齢層を、「13歳から49歳まで」としているそうですが、実質は「15-23歳」を中心としているようです。そのため全体的に子供だましの作りで、幼い作品ばかりになってしまっています。「Z世代研究家」の妄言に流されず、見て引き込まれるドラマを待っています。
Posted at 2022/09/19 13:18:53 | |
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