
近代史の研究は、私の趣味です。直接近代史を書いている本はありませんが、経済関係の本には関連する内容が記されていることが多いです。そのため、マーケティングの本にまで手を広げています。
今回手にしたのは、元広告代理店社員の原田曜平さんという方が書いた、「シン世代マーケティング」という本です。この方は、広告代理店社員時代からインタビューや調査を中心とした若者研究の本を出版しており、現行アルファード/ヴェルファイア発売前に「マイルドヤンキー」という言葉を世に出して有名になった方です。
そして今回発売された最新刊が、この本です。本の核心に関することは、筆者の利益に反するので書きませんが、平易で読みやすく興味深い内容でした。各種の消費動向は、「各世代が20歳頃に受けた社会的経済的側面に影響されるので、その世代が20歳頃の様子を探ることにある」というものです。読む側が自分の必要性に応じて色々解釈する必要がある、ほぼ調査結果を示しただけの内容になっています。
ブログに書こうと思ったことは、調査結果とは別のところにあります。筆者はこの本からフリーになったからなのか、筆が自由になった面を感じました。
一点目に、「「戦後焼け跡世代」から「バブル世代」までの人たちは、根性論などで下の世代を押さえつけるだけで、具体的なこと何もしなかった。日本が経済的に成長していたのを、自分たちの成果と言っているだけだった。」というものがあります。
これらの人が現役だった頃の努力はともかくとして、根性論で押さえつけていたことは、私も強く感じました。みんなそれらしいことを言っているだけで、具体的なことや理論的なことは、何もなかったような気がします。だからこそ、バブル経済崩壊後の経済後退期(1992-1999年?)に、「価格破壊」や「新入社員の採用抑制」、「自分たちの世代の保身」しかしなかったのだろうと思います。
二点目に、「「バブル世代(男女雇用機会均等法第一世代)」の女性は、当人たちが言うほど働いていなかった」です。男女雇用機会均等法とバブル景気は別の理由で起こっていますが、確かに働きの割に高い収入を得ていたのは事実です。
働く現場といえば、事務職場以外では女性の需要はなく、仮に営業担当者として女性を送ると、取引先から「女性に担当させるな!男性に変えろ。」などとクレームが発生したようです。結局、高い給与水準のまま女性一般職と同じ仕事をさせるか、広報・広告宣伝、マーケティングなどの、取引先と接触せず、一般事務職員との軋轢も生じない部署に配属せざるを得なかったようです。
その結果、「女性のアイデア(直感)が仕事に役立つ」という雰囲気になり、思い付きをポンポンと発言する雰囲気が強まっていた時期です。
この種の出版物に、個人の不満を思わせるような発言が出ることは稀です。文面では穏やかな書き方になってはいますが、おそらく原田さんの中では強い不満になっていることがうかがえます。
二点目の問題は、インターネットや本にはほとんど記されていませんが、当時を象徴する大きな問題があり、今日のジェンダー問題にも続いていることがあります。近日中に書きたいと考えています。
Posted at 2022/10/10 11:45:24 | |
トラックバック(0) |
時事 | ビジネス/学習