
昭和52年(1977年)12月に公開された東宝製作の映画『惑星大戦争』のDVDです。この正月休みに観ようと思って購入していました。
当時の日本は『未知との遭遇』、『スター・ウォーズ』、『宇宙戦艦ヤマト』(劇場版)などによる空前の【SFブーム】を迎えていました。そんな時代背景により、ゴジラシリーズを休止中の東宝でもSF超大作を製作しようといった動きから製作、公開されたのが本作です。
ちなみに『惑星大戦争』というタイトルは元々、翌年(昭和53年)夏に日本国内での公開を控えていた『スター・ウォーズ』の邦題となる予定でしたが、ジョージ・ルーカスの意向により全世界で『スター・ウォーズ』というタイトルで統一して公開される事となった為、本作のタイトルに流用されました。
監督は福田純、特技監督は中野昭慶という、東宝における1970年代のゴジラシリーズやSF作品を支えてきたコンビが本作も手掛けています。出演者も、森田健作、浅野ゆう子、沖雅也、宮内洋といった若い世代の俳優陣から、池部良、睦五郎、平田昭彦、中山昭二、大滝秀治といった東宝特撮作品には欠かせない面々やベテラン俳優陣が脇を固めており、なかなかキャストが豪華な作品なんですよね。
物語をザックリ説明すると…1988年、太陽系外惑星から飛来した異星人の地球侵略に立ち向かうため、宇宙防衛艦「轟天」で異星人の前線基地である金星に向かい、異星人の要塞である「大魔艦」と対決する…といったものです。
本作に登場する宇宙防衛艦「轟天」は、昭和38年(1963年)12月に公開された映画『海底軍艦』に登場する万能戦艦「轟天号」の宇宙版リメイクとして登場させたもので、「轟天号」最大の特徴とも言える巨大な艦首ドリルが本作の「轟天」にも装備されています。そして、本作の「轟天」の艦首メインドリル部分には惑星をも消し去る事のできる【エーテル破壊爆弾】が搭載されており、物語の終盤では破壊爆弾が搭載された艦首メインドリルに滝川艦長(演 : 池部良)が乗り込み、ドリル単体で大魔艦目掛けて特攻するのです。
また、宇宙を航行する防衛艦なので兵装は基本的にビーム兵器となっていますが、「轟天」の胴体部分から巨大なリボルバーを展開して、「スペース・ファイター」と呼ばれる戦闘機の射出カタパルトとして使用されたり、リボルバー部分から【リボルバービーム】と呼ばれるビームを発射する事ができます。この辺は何とも東宝特撮らしい空想科学的発想で、僕は結構好きなんですよね(笑)。
翌年夏の『スター・ウォーズ』の日本公開に先んじて我が東宝でもSF超大作を!と意気込んで急遽製作された本作ですが、如何せんクランクインから公開までが僅か2ヶ月という超タイトスケジュールで製作されたものですから、そんなところの事情が本作の作品全体に見られる中途半端さに影響しているのでしょうね。とにかく、時間をもっと掛けて丁寧に製作されれば【名作】として語り継がれる一本になっていた可能性もあったはず?…とも思ったりします。
この頃って、日本国内ではとにかくアニメの人気が高まってきていて、オイルショックなども影響してか、国内の実写特撮作品がなかなか元気の無い時代という印象で、国内のアニメ作品『宇宙戦艦ヤマト』や海外SF超大作『スター・ウォーズ』に触発されて、今回の『惑星大戦争』や東映の『宇宙からのメッセージ』なんかが製作されていく訳ですが、どれも製作の段階で『スター・ウォーズ』を意識し過ぎたものになってしまったが故に、各々の作品としては『スター・ウォーズ』以上の評価を得られなかったのかもしれませんね。まぁ…この頃の日本人って、今以上に【ハリウッドからやってくるSF超大作】といったフレーズにやたらと弱いんですよね。【ハリウッド】とか【NASA】とかって無条件で「スゲェー‼」って思っちゃう戦後国民性なんですかね(笑)。
だからこそ、この時代に日本式特撮技術で作られたこの『惑星大戦争』や『宇宙からのメッセージ』といった作品を、我々日本人が今この時代に改めて観て評価できれば良いなぁ…なんて思いますね。そのうち『宇宙からのメッセージ』のDVDも購入しなきゃいかんですな(笑)。

宇宙防衛艦「轟天」。
ドリルは正義!ドリルは男のロマン‼

「轟天」艦内のリボルバー式カタパルト。
こういった【空想科学的発想】は面白くて良いですね。

「轟天」のリボルバー式カタパルト射出口から射出される艦載機【スペース・ファイター】

金星の空を飛ぶするスペース・ファイターの編隊。
この金星の空、凄く良いですよ!日本特撮伝統の業って感じですね。

「轟天」のリボルバー式カタパルトから発射される【リボルバービーム】

【エーテル破壊爆弾】を搭載した艦首メインドリルに乗り込んで大魔艦に特攻する滝川艦長。
これ、もうちょっとスピード感がある演出だったらもっと良かったと思うなぁ。

異星人の前線基地、金星に向かう国連宇宙局の面々。
(右から…森田健作、浅野ゆう子、沖雅也、宮内洋)

浅野ゆう子さん、この時17歳。

東宝映画『妖星ゴラス』などでお馴染み池部良さんが「轟天」の艦長、滝川を演じます。

右…国連宇宙局日本支部長(演 : 大滝秀治)
左…国防軍司令(演 : 平田昭彦)

恒星ヨミ第三惑星人 銀河帝国司令官ヘル(演 : 睦五郎)
1970年代の特撮作品には欠かせない俳優さんですね!お声も渋くて作品がグッと締まります。

銀河司令官ヘルの命令に従順な宇宙獣人。
わざわざこういう【チューバッカ的】なやつ出さなくてもいいのになぁ…。意識し過ぎて逆に中途半端な感じになっちゃってるんだよなぁ…。

恒星ヨミ第三惑星人に捕らわれたヒロインの滝川ジュン(演 : 浅野ゆう子)。
ちなみに浅野ゆう子さんが来てるボンテージファッションは浅野さんの私物だそうで…。
Posted at 2024/01/04 11:36:44 | |
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