
昨年末に購入した『シルバー仮面』のDVD(全6巻)です。新潟市中央区の某レンタルビデオ店が3月に閉店するということで、先月(12月)の中旬から邦画、洋画等を格安で販売する閉店セールを始めたので購入してきました。販売商品は3月の閉店までに段階的に価格が下がっていくようで、この『シルバー仮面』は閉店セールが開始してすぐに購入したので、DVD1巻(枚)につき990円(税込)でした。
実はその後も何度か他の作品も購入しており、レンタル品の払い下げではありますがこれまでに購入(入手)していなかった特撮作品(映画、TV作品)をお買い得価格で幾つか揃える事ができました。
そしてこの程『シルバー仮面』のDVDを全巻視聴し終えた訳です。DVD購入後、ちょうど仕事納めのあとだった事もあり、「正月休みに全巻観よう!」なんて思いながら観始めたところでしたが、元日に父が亡くなりしばらく視聴が中断してしまった訳で、先日ようやく全巻視聴完了したという次第です。
『シルバー仮面』はTBS系列で昭和46年(1971年)11月~翌年の昭和47年(1972年)5月まで全26話が放送された、TBSと宣弘社が製作した特撮TVドラマです。
1960年代後半、『ウルトラセブン』、『怪奇大作戦』、『マイティジャック』などの放送終了と共に第一次怪獣ブーム終焉を迎えた円谷プロダクションは深刻な経営難となり、円谷プロを退社したスタッフらによって立ち上げられた製作会社【日本現代企画】が広告代理店の宣弘社と組んで初めて製作した番組が『シルバー仮面』となります。脚本家は佐々木守、上原正三、市川森一など円谷作品の常連が多数参加しており、さらに実相寺昭雄をはじめとするコダイグループが日本現代企画と共に製作協力という形で作品作りに参加しています。
物語としては…
~ 光子ロケット設計者、春日博士は、地球人の宇宙進出を阻止するべくロケットの設計図を狙うチグリス星人に殺害されて邸宅を燃やされてしまう。邸宅が燃え盛るさなか、春日博士の遺児である5人の兄妹は父が光子ロケットのエンジン部分の設計図を何らの方法で隠し、次男の春日光二(演 : 柴俊夫)に超人 シルバー仮面に変身する事のできる【銀の力】と呼ばれる能力を与えた事を知る事になる。
チグリス星人の邸宅襲撃から辛くも脱出した春日兄妹は、父の遺志を継いで光子ロケットを完成させるべく、次々に襲い来る宇宙人と戦いながら父のかつての友人や弟子を訪ね日本各地を旅する。 ~
…といった内容なのですが、これまでの特撮作品とは一線を画したものとなっていて、特に番組前半では光子ロケットの完成を阻止するべく春日兄妹を宇宙人が付け狙うという構図がはっきりと描かれており、光子ロケット完成のために父の友人や弟子を訪ねて協力を仰ごうとするもその人々も宇宙人の襲撃を受ける始末で、仕舞にはそれらの人々からも理解が得られなくなったりと、作品全体が暗く、重苦しいものとなっていました。そこにきてシルバー仮面も等身大で見た目も実に地味な雰囲気ときており、派手な光線技が出る訳でもない…といった具合で、当時裏番組で放送されていた円谷プロ製作の『ミラーマン』とは視聴率でも苦しい戦いを強いられていたのです。
TBSも「これでは流石にマズいぞ…」となったのか、番組中盤から大きくテコ入れを行い、第11回「ジャンボ星人対ジャイアント仮面」では遂に完成した光子ロケットがサザン星人の襲撃により破壊され、光子ロケットからあふれ出た光子エネルギーを浴びた春日光二(=シルバー仮面)が巨大化を遂げてシルバー仮面ジャイアントへと進化する…という展開となり(番組名も『シルバー仮面ジャンアント』に改題されます)、以降地球侵略を企む宇宙人とそれを迎え撃つ春日兄妹とシルバー仮面ジャイアントという、これまでの『ウルトラマン』など円谷プロが手掛けてきた巨大ヒーローものの路線として最終回まで進んでいくことになっていきます。また、シルバー仮面が巨大化したのと同じタイミングで春日兄妹の良き理解者として父の愛弟子、津山博士(演 : 岸田 森)が物語に加わるなど物語の軸をまとめるような修正が行われています。
まぁ…まずパイロット版(第1回、第2回)を実相寺昭雄、佐々木守という円谷時代からも「変化球」と呼ばれる作品ばかりを作り出してきたコンビが担当したという事がこの作品の命運を決めたというか、この人たちは決して第1話、第2話を手掛けちゃいけない人たちというか『向いていない』人たちなんですよね(笑)。
『ウルトラマン』にしても『ウルトラセブン』にしても、金城哲夫のようなド直球の王道のような脚本を書いて、尚且つ企画文芸室長として番組の全体的な脚本監修やシリーズ構成などを手掛けていた人がいた事によって実相寺、佐々木コンビが生み出した作品の数々は現在でも多くのファンに支持されている訳です。
まぁ…それでも僕自身、全26話を観終えて感じたのは最初の出だしが今一つだった事を除けば、それこそシルバー仮面ジャイアントとしてテコ入れされた第11回以降は作品全体に脂がのってきたというか、調子が上向いてきている感じが分かり易く伝わってきて、作品そのものを楽しんで観ることができた感じがします。(等身大のシルバー仮面を描いた第10回までの作品を評価する人も多くいますが)
何というか、『ウルトラQ』から始まり『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』と経験した円谷プロ育ちのスタッフ、脚本家たちが初めて円谷プロの外に出て自分たちが思い描いた特撮ヒーローを作り上げようとした初めての作品がまさに『シルバー仮面(ジャイアント)』だった訳で、スタッフ、脚本家それぞれの『描きたいもの』を目指した結果でもある訳です。時代は1970年代初頭でまさに安保闘争の只中であり、闘争の結果結局何も生み出せなかった…という全く以てスッキリしないという部分においてはこの『シルバー仮面』という作品は時代を写す鏡であったと言えるのかもしれません。
あと、これは僕が一番思った事ですけど、この作品がもしも円谷プロ作品として製作されていたらどんな作品になっていたんだろう…?って。凄く気になりません?金城哲夫脚本のシルバー仮面とか是非観てみたい!

第1回、第2回を手掛けた監督の実相寺昭雄と脚本の佐々木守。
確かに豪華で贅沢なんだけど、しょっぱなからこのコンビじゃあ、そりゃ失敗するよね、っていう(汗)。

等身大のシルバー仮面。(第10回まで)
ライダーマンみたいに口が露出しています。見た目も技もとにかく派手さが無いんですねぇ…。
(それが良いんだよ!というファンもいるでしょうけど)

第7回「青春の輝き」でキマイラ星人を商店街で追いかけるシルバー仮面。
シュールでありつつ、画面を通して1970年代の空気感も伝わってきますね。

同上。
宇宙人と商店街バトルを繰り広げるシルバー仮面。

第9回「見知らぬ町に追われて」
番組の終盤、何故か宇宙人(ドミノ星人)と戦う場所が何処かの墓所で、あろうことかシルバー仮面が人ん家のお墓に刺さってる卒塔婆を引き抜いて、その卒塔婆で星人をブッ叩くという実に罰当たりな卒塔婆ファイトが観られます(笑)。

シルバー仮面ジャイアントとして巨大化したら口の部分も全てマスクで覆われるようになります。

他のヒーローと比べるとあまり使わないけれど、巨大化以降は光線技も使うようになります。

腰のバックル部分から様々な武器やアイテムを取り出して戦います。
Posted at 2025/01/26 12:19:13 | |
トラックバック(0) |
特撮関係 | 趣味