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2021年04月29日

なぜF-14 が短命に終わったのか…

なぜF-14 が短命に終わったのか… 先日F-15EXが米空軍に正式に採用された。名称は「イーグルⅡ」。
1972年にベースになる原型機が初飛行しているので既に来年で半世紀を迎えることになる。

それに比べ、F-14はほぼ同時期に開発され、ベトナム戦争(1975年)以後イラク戦争(2003年)まで投入され、米海軍の主力の座を守りながらも2006年に退役をしてしまった。
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戦闘機での50年以上、アップデートをしながらも主力であることは大変なことではあるが、F-15とF-14はほぼ同等の性能でありながらなぜ、F-14はF-15よりも早く退役したのだろうか? 

初飛行はF-14は1970年、F-15は冒頭に著したが1972年。同時期であったため、戦闘機であるがゆえ、よく比較されてきた両機である。
厳密にはF-15は制空戦闘機、F-14は艦隊防空用戦闘機である。

従ってF-15は空対空戦闘を想定しており侵入してきた不審機を撃墜するため格闘戦、つまり空中戦を重視した開発がされている。
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対してF-14は艦隊防空という、艦隊に対して攻撃する侵入機から艦隊を防ぐことが重視されている。それは空対艦ミサイルや長距離ミサイルも迎撃ができるようになっている。つまりF-14はミサイルキャリア、ミサイルでミサイルや不審機をも迎撃できるようになっている。しかし、ベトナム戦争での経験から格闘戦もできることが付加されたことは言うまでもない。従ってどちらも特化しているでようでいて似ているところもあるのである。


しかし、高性能であるがゆえ両機とも破格の開発費用が生じており、機体単価を低減するために、他国へ輸出もしている。F-15は当初は日本、サウジアラビア、イスラエルだけだったが、後にE型が韓国へも輸出している。一方F-14はご存知の通りイラクだけに輸出がとどまっている。また、両機とも高価になったことから安価な機体を開発することになった。特にF-14は整備費用が非常に高くなったため議会から配備数がほぼ半分以下になったようである。
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さて、両機は時が流れる間にどのようにかわったのかというと、アメリカ合衆国はソビエト連邦(現ロシア共和国)との冷戦が終結し、雪解けムードになった。従って共産国の脅威が多少ながらも少なくなった。半面、中東における政治不安が増大して石油産出が不安定になったり、また政変によって反米思想が広まり始めた。
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 結果、アメリカ政府は政治の安定や監視、制裁の目的から空母を派遣・投入し始めた。しかし、亜音速での対地攻撃任務を想定して開発されたA-6は地対空ミサイルに対して危弱だったり、稼働率の低さからF-14は対地攻撃任務もするようになった。しかし、90年代初め、A-6が早期に退役、また後継機種のA-12も開発費用の高騰から計画がキャンセルされた。
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また、その結果F/A-18E/Fの開発が進められた。また、当時F-15の後継機種の先進戦術戦闘機計画が進み、F-22の開発が始まりまたこのF-22の海軍型の開発のプランも考えられている。また、その代替案でスーパートムキャット21のプランが立ち上がった。
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しかし、いずれもキャンセルされた。F-15Eは航続距離を伸ばし、自衛対地攻撃任務ができるものであるが、スーパートムキャット21に同様の任務できるようなシステムを組み込んだ計画やまた、F/A-14Dの計画も持ち上がって、徐々にアップデートする計画もだったが、認められなかったようだ。 
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そして、幸か不幸か、LANTIRNポッドという昼間戦闘機を容易に夜間低空侵入機に変更できるシステムが開発装備された。もともとF-15EやF-16C/Dの一部の機体に装着されているようである。この装備は低費用の改造費用で運用できることから、新型機の開発よりローコストであることで、トムキャットにも採用されることになったそうだ。


では短命に終わった原因は何か
こうしてみると、必ずF-14には運用コストの問題が関係してくる。機体面から可変翼ならではの整備コストが高いという点である。

 次に当時の世界情勢が冷戦が終結したことによる軍事予算の削減と政策の転換である。これはそれまで対ソ連に機動部隊で優勢なアメリカ海軍がソ連は封じ込むという戦略だった。一方ソ連は長距離ミサイルやミサイルを大型航空機でミサイルを装備して対抗した。
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そのため、陸上から攻撃に対する脅威に対して艦隊防空任務を重視していたわけだ。しかし、冷戦が終結すると、地域紛争に対応するための政策に変換せざるを得なくなってきた。結果、艦隊への攻撃の脅威は減少したが、実際に紛争地域での制空権を奪い、地上部隊の援護をすることになった。その結果、地上攻撃任務が増加するとももに地対空ミサイルなどからの脅威から身を守るステルス性が必要になってきた。
 また紛争地域へ航空母艦を派遣するのは長期間になりその運用面でもコストがかかることが予想できる。そのため人件費や維持費を考えてもコストのかかるものは当然排除することになる。また当時のチェイニー国防長官はF-14が旧式化していることを指摘して予算を一切認めなかったという。もちろん、何をもって旧式化というのはチェイニー国防長官なりの判断なので、既にF/A-18E/Fも採用が決まっていたことを考えると、コストの上昇を抑えながらも最大の力を発揮させるという点を重視したのだろう。
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 一方アメリカ空軍は海軍と違い、基地は固定しており、国防費の削減が影響するのは同じであってもF-15はF-14とは違う結果になったのではないか。イーグルをあっという間に旧式化させたはずのF-22だったが、構造上の問題や軍事上の機密漏れを懸念して輸出できないことにより機体単価が上がったため生産数が抑えられたことによって反対にF-15に代替を求めることになったという。それがF-15EXである。新型戦闘機を開発するよりもF-15を新造したほうがコストダウンになると判断したという。
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最後にF-14はイランへの輸出というのも短命に繋がったともいえる。それまで友好国だったはずが、反米側になったことが、地域紛争での脅威になってしまったと言える。その結果、アメリカでは部品の流通ができないように徹底されたと聞く。つまり一気にF/A-18やF/A-18E/Fに移行したのである。

 F-14が短命になったのはつまり
① 高性能が故のコストの増大
② 外交政策の変換による艦載戦闘機の任務の変更、また冷戦の終了による一時的な脅威の減少によって軍事予算の削減、
③ そのことによる後継機開発との関係

…いうことになるのではないだろうか。国外での運用が主となるアメリカ海軍の艦載機と国内の防空を主としてあるいは派遣先での友好国の防空を主として来たアメリカ空軍の制空戦闘機‥‥。F-14は当時の世界情勢の置かれている状況から悲運ともいえるだろう。逆にF-15は後継機にバトンタッチしたくとも後継機が高性能があるがゆえにそれまでの空軍力を維持するためにアップデートできたと言える。

冷静に見ると両機とも第一線でF-14は30年近く、F-15はさらにこれからも活躍するというのは非常にまれである。それだけに両機とも伝説となることは言うまでもない。しかし、既にアメリカ海軍ではF/A-18E/Fの後継機開発は進んでいるという。それも有人機であるというのだ。
 これからは対中国海軍との脅威に対応できる戦闘機になるはずだ。もちろん中国本土から空母キラーと言われる長距離ミサイル「東風(DF)26B」からも防空任務ができると同時に中国の主力艦載戦闘機「J-15」にも対応できるとなると双尾翼でステルス機能を持った戦闘機となるのではないだろうか…トムキャットを超える戦闘機になりそうな予感がする。

 ただ、航空母艦についてもその運用についてコスト増大から見直しが始まっているようだ。最新鋭空母の空母CVN-78ジェラルド・R・フォードは電磁式カタパルトやエレベーターに問題が生じていたり、CVN-75ハリー・S・トルーマンはオーバーホールするよりも解体したほうが良いという案まで出ているようだ。
2012年に解体に入ったはずのCVN-65エンタープライズは原子炉の廃炉で問題が起こり滞っているという。さらにはF-35Cもどうにか運用にはたどり着いたものの不具合があちこちに出ており、問題解決にコストも上昇しているようである。
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 巨大化したアメリカ海軍にとって艦船と艦載機の維持や人件費はいまや重荷に担っているようだ。そのためか、将来的には艦載機全ての中で無人機が40%以上を占める割合になるだという。つまり有人機の戦闘機が無人機を随伴させて自律的な戦闘行動をするという構想のようだ。(実際はミサイルキャリアとしての方が現実的であるらしい。)

そうすると、ふと思うのがガンダムの世界でのフィン・ファンネルを思い出してしまうのは私だけだろうか…
 

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Posted at 2021/04/29 16:50:20

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この記事へのコメント

2021年4月29日 17:06
 こんにちは。
今まで、F-14と15の区別が今一付いていませんでした。分かりやすい解説有り難うございます。子供の頃、ビッグワンガムで組み立てたモデルがコレでしたので懐かしく感じます。
 微妙な違いと言えば、国鉄車両で言う113系と115系の違いみたいなもんでしょうか?
 無人偵察機は知ってましたが、現実の世界でも、既に無人戦闘機のプランがあるのですね。
 架空の世界で言うと、ガンダムXでいうビットモビルスーツ。 ガンダムWでいうとモビルドール。 モスピーダでいうダークレギオス。
段々と技術的にクリアされ、架空の世界観が現実に近づきつつあるのが恐ろしいです。


コメントへの返答
2021年4月29日 20:52
こんばんは
ビッグワンガム!買いました!戦艦大和もありましたよね。自分はアリイの1/144のキットを買ってました。
私は国鉄車両には疎いのですが…表現がうまくできませんけど、F-14が500系でF-15が700系、F-15EがN700系とでもいえばいいんでしょうか…

やはり有人戦闘機は人命から考えてもまたパイロットにかかるコストも考えると無人機の方がよいというのでしょうね。
 またファンネルよりモビルドールの方が的確だと思いました。ますます、ゲーム化された戦争になりそうで怖いですよね。

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