2023年03月11日
欧州市場 天気晴朗なれど波高し? ドイツ、妥協案提出
先月14日に欧州連合議会は2035年以降はガソリン車とディーゼル車の販売を禁止するという法案に合意したという報道がされた。
ところが今月7日に予定されていた閣僚理事会(EU各国の閣僚から構成される政策調整機関)での承認だけだったが、この会合が土壇場で延期されたという。
それは、ドイツのフォルカー・ウィッシング運輸・デジタル相が、ここへ来て“ゼロエミッション車にe-fuelのみで走行する内燃機関(ICE)車を含めない限り、法案を支持しない”と表明したためだという。
e-fuelのみで走行する内燃機関(ICE)車とは何か。wikiによれば
「再生可能資源からの電気エネルギーを、液体燃料や気体燃料に化学結合により蓄えることで作られる、カーボンニュートラルの代替燃料である。」そして
「カーボンニュートラルな電気燃料が石油燃料よりも安くなり、電気分解によって製造される化学原料が原油から精製されるものよりも安くなれば、電気燃料は破壊的なものになる可能性があり、あらゆる資源から得られる再生可能エネルギーを液体燃料として貯蔵することができるため、再生可能エネルギーのあり方を変える大きな可能性を秘めている。」とあった。
どうやら燃焼によってCO²を排出はするが、生産の過程でCO2を利用するため、CO2の排出量と吸収量を差し引けば実質ゼロとなるようだ。さらにこの研究を推進しているのはポルシェを中心にしたドイツのメーカーのようだ。もしこれが認められると既存の内燃機関の車の販売が維持されることになる。
となれば、現在価格が上昇しつつある自動車の原材料も価格も抑えられるとともに内燃機関も今までと同様に生産・販売ができるようになるわけだ。
ウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長↑
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が説得にあたり、ウィッシング運輸相やFDP党首のクリスティアン・リントナー財務相に話し合いを持ったようだが、反対の意志は変わらなかったようだ。引き続き、フォン・デア・ライエン委員長は説得を試みているという。なぜならば、ドイツが賛成に回らない限り、閣僚理事会で2035年EV化法案が承認されないという。というのも反対を表明しているのはドイツだけではなく、イタリアやポーランドも反対しているらしい。特にイタリアは従来の自動車工場が閉鎖されると深刻な雇用問題が起きると考えているようだ。確かにイタリアは旧フィアット系(現ステランティス)のフェラーリ、アルファロメオやサソリのアバルトの他にもランボルギーニなどの有名メーカーがある。そのため、反対票や棄権票が増えれば、「Fit for 55」と言われる欧州グリーンディール政策の一環として出された法案に対して議会の承認を取れないようだ。
もし、このドイツの妥協案が認められるとかなりEVシフトの流れも変わってくることが予想できる。
もともと欧州のEVシフトの発端は日本メーカーにハイブリッドエンジンなどでリードされた欧州メーカーの起爆剤としての裏側があったと言われ、環境団体も応援も手伝って政策主導で推進されたものと聞いている。また、日本の政府もテスラのメーカーと関係がある個人の意見が反映されたという話もあるため、様々な面においてまだまだ課題が山積みだった。
ちなみに従来から内燃機関の可能性を模索してきたマツダは、石油会社や自動車メーカーなどで構成されるロビー団体「eフューエル・アライアンス」に自動車メーカーとして初めて参加して、積極的な姿勢を見せているようだ。
昨年末には、イギリスのコリトンという企業が、農業廃棄物から作ったe-fuelを使って、ノーマルの欧州仕様のロードスター(2.0L)でイングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドを約1600km走行し、平均燃費19.4km/lをマークした。(ちなみにWLTPモードで17.4㎞/ℓ)つまり従来のガソリンよりも低燃費だったわけだ。
さらに以前から言われているバイオfuelも認められるとなるとマツダにとっては追い風になる可能性も含んでいる。
今後中国やアメリカ合衆国の動向もどうかかわってくるのか、EVシフトの潮流はまだまだ荒れそうな気がする。現在の日本の経済を考えるとマツダも含めて日本の自動車メーカーにとって有利になってほしいものである。
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Posted at
2023/03/11 21:08:28
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