セダンといえば…今回は、あのマツダを窮地においやった5チャンネル販売を目指したクロノスシリーズである。
マツダはプラザ合意に始まる内需拡大によるバブル景気によって当時のトヨタ、日産に追いつくべく5チャンネル体制に舵を取る。トヨタが、トヨタ、トヨペット、ビスタ、カローラ、オート、日産が ニッサン、プリンス、サニー、モーター、チェリーと5店舗による販売をしていた。それに対抗すべく、マツダは、マツダ、アンフィニ、ユーノス、オートザム、オートラマといった販売店を展開。それぞれにカラーの違う車を揃えようとしたのだ。その中核を占めるミドルセダンとしてそれぞれにクロノス (マツダ)、
MS-6 (アンフィニ)、
MS-8 (アンフィニ)、
500 (ユーノス)、
クレフ (オートザム)、
3代目テルスター(セダン/5ドアハッチバック) (オートラマ)
を投入した。今回は前回取り上げたユーノス500は除いて進めたい。
またこのセダンシリーズ以外にもクーペのMX-6、フォードブローブもあった。

1991年、このシリーズは従来のカペラに代わるものとして登場してきた。3ナンバー税制改変の恩恵を受けた三菱・ディアマンテなどの人気から、競合車種たちが軒並み大きくなる傾向にあった中、開発当初は5ナンバー寸法での設計も行われ、試作車の走行試験も行われていたが、新たなGEプラットフォームが採用され、クロノスも3ナンバーとなったという。しかし、クロノスの5ドア版のMS-6、ハードトップのMS-8、当時のキャロルに似せたクレフ、フォード版のテルスター(4ドア/5ドア)は3ナンバーとなった。なおこの当時のマツダは多品種少量生産を既に志向しており、防府工場での生産ラインは、1つのラインでこれらの姉妹車を同時混流で生産できるようになっていたという。
当時のトヨタのマークⅡBROTHER、ニッサンローレル/スカイライン/セフィーロホンダアコードインスピア/ビガー、三菱のディアマンテと対抗するべく、エンジンは1.8ℓ、2ℓ、2.5ℓを中心に一部を望いてV型6気筒エンジンで展開。オールアルミ製の軽量な2L V6エンジンのフィールはきわめてシルキーで、どこかヨーロッパ車的なものを感じさせる「やや硬めだが、しなやかでもある」という乗り味も、乗る者を納得させるぐらいだったという。
当時の新車情報でクレフを三本和彦氏の評価を見ても当時の北米のインプレッションの動画をみても欧州車のような走りを評価している。
しかし、従来の名前を捨て、同じプラットホームで姉妹車を展開したことによって、市場に混乱を招いたといわれている。さらにはバブル景気が弾けたことでさらにマツダは窮地に追いやられてしまった。
もし、マツダの経営陣に出向してきた銀行関係者が経営拡大を考えず、堅実な経営を主導していたら、また従来のカペラの名称を踏襲し5ナンバーを死守して車種を絞った展開をしていたら、また違う歴史になったことは言うまでもない。
Posted at 2025/08/03 10:54:31 | |
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