
時に1989年5月、松下由樹主演で「オイシーのが好き」が放送されました。主人公はまじめな男性をキープ(キープ君)し、過去の恋人やらとくっつきそうになったり、キープ君におごらせたり、車で送迎をさせたりするのでした。「アッシー、メッシー、ツナグ、ミツグ、キープ君」を、顕在化したドラマでした。女性の社会進出と大人の遊びが充実したことなどから、すぐには結婚しない女性が増えたことで、女性に媚びる男性が増えたことによる現象でした。「女性に思いのままにこき使われる男性」の世の中でした。
思えば、これ以外にも「意中の女性に話しかけたりラブレターを渡そうとしたりする男性」などが、1970年代からドラマの基本的な風景として描かれていたのです。1980年代末なら、お色気描写も多数ありました。女子を追い回す男子像などです。
1989年以降では女性の描写はさらに強いものになり、「パワハラ型女性上司」や「格好悪い中年男性をゴミクズのように扱う女子高校生」なども描かれるのでした。現実社会の中では、「女性管理職の少なさ」や「育児や介護と離職するのは女性ばかり」と言われながらも、若年層においては「女尊男卑」が続いていたのでした。
生物として女性の方が弱くできている、とか、生物としての自然な生存競争とか、いろいろな理由はあることでしょう。基本的には、「女性は大切に扱われる」情景を基本としていたのです。
そして時が流れた2019年3月、ついに生物としての男女関係が崩れたのでした。それは、ドラマ「絶対正義」の最終シーンです。
女子高校生が、バスの中で化粧をしていました。バスがブレーキをかけたために女子高校生はよろけ、前に立っていた男子高校生にもたれかかってしまいます。そこで男子高校生は言うのでした。
「バスの中で化粧直すとかマジ迷惑なんだよ。常識外れたことしてんじゃねえぞ。(スマホのカメラで女子高校生を撮影し)アップしてさらすか?今時お前ら女子の言い分なんて通用しねえからな。炎上すんぞ!」
これまでの若年層向けドラマなら、これをきっかけにどちらかが恋心を抱くような展開になっていったものですが、そうはいきませんでした。大変心が冷えるシーンです。しかし、若年層において「男女は同じ一個の人間同士」、と平等になっていることを感じたのでした。でも、やはり心が冷えるなあ。DVにも通じるので、ちょっと気分が悪くなります。
(FODで、週末まで無料で配信されています。)
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Posted at
2019/03/26 23:25:33