今回の車検でお借りした車は、日産のキューブでした。2003年式で、登録月も家のブルーバードシルフィと大して変わりません。ところがこの車の前歴は大変かわいそうな使われ方で、室内は多凹のにおいがするわ、右側はこすった跡があるわで、早い話が「ポンコツ車」でした。
良く、「代車が汚い」などと言う意見を聞くことがありますが、これがもし「ピカピカの新車」だったらどうでしょう?なんだか「傷一つつけてみろ!買ってもらうからな。」と言われそうな気がして、安心して乗れません。そんなわけで、あまり新しくない車で室内が清潔、というのが代車の理想像だと思います。
キューブの歴史
初代キューブは、初代デミオで始まった「コンパクトで背が高いハッチバック車」として登場しました。ベースは当時のK11マーチで、早い話が「屋根だけ上げた車」でした。当時としては大ヒットしましたが、本質的に道具として使われたためか、初代キューブはあまり見かけなくなってしまいました。
二代目のキューブは、やはり当時のマーチK12型を基にして成立させています。車体は大型化され、屋根の四隅も張り出し、広い室内空間を実現していました。マーチが最初1000cc,1200cc、1400ccで登場したところが、車重がかさむためか、この車は1400ccで登場しました。ロングストロークのあまりフィーリングが良く無いエンジンであるためか、ティーダに乗せた別型式の1500ccエンジン+CVTが後に追加になりました。
今は二代目の特徴を生かしたまま
三代目になりましたが、当時の「車を自分の部屋代わりに使ってください」というコンセプトが飽きられたのか値段が上がったからなのか、かつてほどの勢いはなくなっています。
エンジン
CR14DEエンジンを搭載しています。ロングストローク型で、排気量は大きいものの、CR12DEと比べてあまり活発な印象はありません。フィットのところでよく書く、「ジリジリザラザラ」といった砂を噛むような音も聞こえ、気持ちが良いエンジンではありません。
この車はあくまでも貨物自動車として趣味の道具を積む車としていたので、エンジンまでは手が回らなかったのでしょう。
良い点は、低速から十分なパワーをかじるところでしょうか。後に記すATの変速も手伝って、結構活発な走りをします。
トランスミッション
RE4F03Bという、日産の横置き4速ATとしては長く存在したATを使っています。しかし、家のブルーバードシルフィと異なるところは、スリップロックアップ制御が加わったことです。
ブルーバードシルフィでは、時速50km域であたかも変速したかのようなショックを感じるのですが、この車ではそのようなことはなく、ごく自然な感じでロックアップ域に到達します。これにより、時速50km以下での定速走行時の燃費が向上しているはずです。
この車の頃はまだ燃費がうるさく言われておりませんでしたので、変速は走り優先でプログラムされているようです。重い車重で排気量が小さいエンジンながら、活発に加速します。
コラムATは、使いにくいです。特に2レンジにシフトダウンしたのちにDレンジに戻す時に、勢い余ってNレンジに入ります。スポーティーなドライブには向かない方式であるのは重々承知なのですが、「インパネシフト」に移行しつつある理由が良くわかりました。
サスペンション
後述のボデーが悪いのか、それともサスペンションフレームが良くないのか、突起乗り越え時に車体全体が震えるような、「ブルッ」とした振動を感じます。あたかもショックアブソーバーがへ立った旧い車に乗っているようで、全く気分が悪いです。
この特性は、日産の同じシャシー(私の経験では、
マーチと
ノートと
ティーダと
ジュークにあり)を使った車に共通する乗り心地です。どうしてこんな乗り心地になるのでしょうか??
その他、乗り心地はしなやかさが失われていました。ロールはほどほどで、Z12型よりも少ないかもしれません。
ステアリング
日産らしい、神経質さがない印象です。何時間乗っても疲れないでしょうが、この時期の車は多少電動パワーステアリングらしい「フリクション感」と「中央付近のアシストの不自然さ」を感じます。
ブレーキ
家の車とあまり変わらない、若干スポンジーな印象がありました。
ボデー
サスペンションのところでも書きましたが、緩いというかへたっているというか、突起乗り越え時の振動が、車体全体に伝わります。日産のこのクラスの車は、新車の時はしなやかで柔らかい、良い乗り心地なのですが、少しでも古くなると必ずこんな乗り心地になります。この代から採用された、井桁サスペンションフレームをブッシュでマウントする方法に難があるのではないか、と考えています。
ボデーの中は広いです。特に運転席から右斜め前方にびっくりするくらいのスペースを感じます。まるで印象はトラックそのもので
、ここが狭いと狭苦しいけど、過剰に広くても意味がないんだけどなあ、と考えさせられました。
まとめ
8年前の車ですが、もう古い時代のコンセプトの車であることを強く感じました。当時のキャッチフレーズは、「マイルーム、マイキューブ」でしたっけ?車をスポーティードライブに使うよりも、自分の部屋の延長戦でくつろげるように、とかいうコンセプトを前に出していました。
当時はコンパクトカーブームで、そのコンパクトカーとミニバンの間くらいのこの車は、かなり街で見かけました。ところが最近、このキューブを街で見かけなくなっているような気がします。bBも同様です。bBはわかりませんが、この車に乗った印象が、「トラックそのもの」であることも理由の一つであると思います。
まあ確かに家の部屋は四角いのですが、その四角い部屋を移動していってどこかで楽しむ、というのは存在しなかった、ということなのでしょうかね??部屋は部屋、運転は運転であることに気づいてきたのでしょう。また、荷物が積めるのは事実なのですが、配送の仕事をしているわけでもありませんのでね。。。
そんなことで、この車はサーフィンやスノーボードやスキーのようなアウトドアスポーツが趣味で、車は道具を積むための貨物車、として割り切れる人には「乗りっぱなし」もできるでしょうから、おすすめできます。
しかし車は流行商品とも見ることができます。少し前の風潮を引きずっているような感じでもありますので、「自動車は服である」と考える人には、全くお勧めしません。この車は、道具として徹底的に使ってこそ、初めて本来の役目を果たすのだと思います。そんな意味では、営業車の様に乗りつぶすのが良いかもしれません。
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試乗 | クルマ
Posted at
2011/12/15 20:17:43