この日は、コロナの作業を依頼しにマツダへ行ったついでに、CX5のディーゼルエンジン車の市場を行いました。なお、すでにガソリンエンジン車には乗っていますので、このブログは「ガソリンエンジンと異なるところ」を中心に書きます。
エンジンについて
SH-VPTSと称する、世界で初めて?アイドルストップ機能があるディーゼルエンジンです。なおかつ、排気ガス中の窒素酸化物の低下を狙って、圧縮比、圧縮圧力とも低く設定しています。圧縮圧力を低くすると、圧縮時の空気の温度も最高燃焼温度・圧力とも下がりますので、前者は対策が必要となります。
窒素酸化物はエンジンのみで低減しているので、メルセデスベンツ等のグループが使っている「アドブルー(尿素水)」を噴射させる機構が不要になっていますので、燃料以外のものを補充する必要がありません。
最大燃焼圧力が下がると、エンジンを頑丈にしなくても済むため、エンジンの最高回転数を上げることができます。エンジンも軽やかに回るようになり、これまでのディーゼルエンジンの常識だった「重い、回らない、力はあるけどパワーはない」「余分な排気ガス浄化装置を搭載していない」が克服されている、というのがこのエンジンの売りです。
なお、エンジン機構を説明するだけでもかなり長くなりそうなので、これは別のブログに譲ります。
さて、エンジンはコモンレール方式は常識として、ツインターボがついています。ディーゼルエンジンに過給器をつけると、燃費を悪化させずに効率が上がります。排気ガスとして捨てていた燃焼圧力の一部をターボチャージャーで回収し、シリンダーの運動へと伝えられるからです。
エンジンの出力は非常に強力で、最大トルク42.8kg・mを、わずか2000回転で発生させます。最高出力は175馬力で、これを4500回転で発生させます。最大トルクだけを見れば、5000cc級のガソリンエンジン、出力は2500cc級のガソリンエンジンと等しくなっています。
ただ、これはあくまでも数値です。実際はどうかというと、たしかに非常に強力な力を発揮します。以前、「スカイアクティブドライブ6速ATは、トルクコンバーターがないので発車時にもたつく」と書いたのですが、そんなことは全く感じません。過給が本格的に始まる1500回転以下ではややおとなしいものの、トルクコンバーター付きAT車並みの力強い発車です。しかも、1500回転を超えるとタコメーターの針の動きは一段と活発になり、その勢いは4000回転まで続きます。
従って、パワーを強く感じるのは1500-4000回転域ですが、少ないアクセル開度で1500回転以下を使いながら街中を走行しても、余裕にあふれています。一方、4000回転以上は苦しげになります。回転の上がり具合がそれ以下の回転域と異なり、結構鈍く感じます。もしかすると、最高出力を待たずにシフトアップさせたほうが、車としては速いかもしれません。加速中にこの回転域に入ると、結構待ち時間を感じてしまいます。ディーゼルエンジンで、この回転数が苦しげながら使えるようになったと喜ぶべきかどうか、表現に悩みます。
エンジン空吹かし
エンジン空吹かし(室内)
アイドルストップから始動、アイドルストップ
普通に発車
急発進
アイドルストップから急発進
アイドリング時のノイズ、振動は、ディーゼルエンジンとは思えないほど低いです。乗車中は、3000回転を超えると、やはりディーゼルエンジンらしい「ゴロゴロ音」は、意外に盛大に室内に入ってきます。回転数の上がり具合も、「ディーゼルエンジンとしては良い」と書きましたが、ガソリンエンジンと比べると、スムーズさ、ノイズ、回転の上がり方の速さについて、劣ってしまいます。
ターボエンジンであることも、レスポンスの遅れを感じさせる要素かと思います。ツインターボといっても、やはりターボエンジン。エンジンの回転数が上がる前にターボチャージャーを早く回すことが出来ない以上、右足に素早く反応することは無理なのです。
アクセルペダルを大きく踏んだ時には、もっと大きな力を発揮するはずですが、燃料噴射量が抑えられているような感じがします。力の出方にやや遅れがあります。ほんの少しですので気にしなくても構わないのですが、エクストレイルの方が荒っぽい感じはするものの、「パワー感」を感じます。
トランスミッション
ガソリンエンジンでも採用されている、スカイアクティブドライブ6速ATです。トルクコンバーターは発車時に少し使うだけで、すぐにロックアップさせるものです。変速制御はガソリンエンジン以上に「さっさとシフトアップ」させる傾向になっています。1,2速で加速し、3速はほとんど飛ばして4速にしています。街中巡航中のエンジン回転数は、1500回転以下にしないようにしています。これは、エクストレイルのところでも書いたように、すすを浄化するDPFの温度を下げないようにするためと考えられます。
エンジンのところで書いたように、有効な回転域が1500-4000回転と狭いので、伸びやかな加速を楽しめないのですが、トランスミッションの変速パターンもそれを手伝っています。この1500回転はマニュアルモードでも守られ、アップシフトしようと操作しても操作自体がキャンセルされてしまいます。
そんなことから、スカイアクティブドライブの特徴はエンジンによってかなり制限されてしまっています。
ブレーキ
ガソリンエンジン車と比べ、車体が重いためか効き具合が弱いようにも感じられました。しかし、ほとんど変わりません。また、ヒルスタートアシストのような機能があるようで、アイドルストップ時にブレーキペダルを離してエンジンがかかっても、すぐに這い出そうとはしません。ややタイムラグを感じます。
ステアリング
車両の重量配分が、ガソリンエンジン車と比べて前寄りになるためか、ステアリング操作から車の方向が変わるまで、若干時間がかかるようになったと思います。しかし、気にする程ではありません。
サスペンション
こちらも前輪の車重が増したためか、ゼンリンが突起を乗り越える時のショックが大きくなっているように感じます。舗装のやり直しや目地段差、マンホールの蓋のようなところではなく、「地下埋設コンクリート水路の凹凸が、アスファルト面のうねりとして現れた」部分で大きく感じます。下から突き上げるようになりました。サスペンションがストロークを拒むのではなく、ストロークしてから急に固くなる印象です。スタビライザーが強すぎるのか、ショックアブソーバーの減衰力が急に高まるのか足りないのかまではわかりませんでしたが、ガソリンエンジン車と比べて、突き上げは大きい傾向にあります。
ボデー
基本的に変わりませんが、サスペンションのところで述べたように、車の前の部分の重さを感じるようになりました。ガソリンエンジン車では軽快感を感じましたが、ディーゼルエンジン車には感じられませんでした。
まとめ
エンジンの力強さは特筆ものです。しかし、エンジンが有効に出力を発揮する幅が少ないことから、エンジンを駆使して楽しむ方には向きません。高速道路や長い坂道を、余裕を持って走れる車と言えます。
ガソリンエンジン車の方が、スカイアクティブドライブ、シャシーの特徴を生かしているようにも感じるため、車としての楽しみはガソリンエンジン車も悪くありません。
乗り心地や操縦性は意外に違い、ガソリンエンジン車の方がはっきりと軽快になっています。
SUVの車体を考えると、ダイレクトなフィーリングのトランスミッションを駆使し、軽快なエンジンをうまく使って走るガソリンエンジン車よりも、大きなトルクを活かして余裕たっぷりに走る、という目的の方が合っているとは思います。
そんなわけで、売れているのはディーゼルエンジン車ながら、私自身はガソリンエンジン車に乗ってみることもお勧めします。ガソリンエンジン車の方が車として楽で軽快なので、一体感があるからです。
ディーゼルエンジン車は、長距離を走る人、アクセルペダルを大きく踏んだり、マニュアルモードで変速することが嫌いな人が選ぶと良いでしょう。この車もエクスレイル同様、エンジンオイルの質と量、DPFへのカーボン堆積には注意する必要があります。
参照して欲しい記事
エクストレイル(ディーゼルMT)
エクストレイル(ディーゼルAT)
アクセラ(前期型1回目)
アクセラ(前期型2回目)
アクセラ(スカイアクティブ1回目)
アクセラ(スカイアクティブ2回目)
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2012/05/13 18:09:55