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2017年09月24日

トヨタ カムリ(ハイブリッド) 試乗

トヨタ カムリ(ハイブリッド) 試乗  この日は、何日か前に見つけたカムリの試乗車に乗ろうと、販売店へ向かいました。広告放送回数の割には試乗車がないことから、トヨタとしても実売台数を少な目に考えているのかもしれません。試乗記を書くのに当たり前のモデルの試乗記を見てみましたら、ちょうどその頃から「歴史」を書いているようでした。従って、カムリの歴史は前のモデルの記事をご覧下さい。

旧カムリからのカムリ
 二世代前のカムリまで、グラシアのサブネームを持つ、1998年に登場したモデルからのコンセプトを継続していました。「V6エンジンや4気筒大排気量エンジンを横置きに搭載した、FWD大型セダン」のジャンルです。この車は、アメリカでは標準的な乗用車として十分な台数を販売していました。しかし、景気悪化と共に小型車への回帰傾向が出てきたり、大型セダンは後輪駆動が良いという風潮から、日本ではより高額なウインダムを合流させても、なお影が薄くなってしまっていました。それを、2500cc4気筒ガソリンエンジン+THSⅡ方式のハイブリッドとして登場させ、ハイブリッド専用車として半ば再登場したのが、旧型カムリでした。

すでにSAIやレクサスHS250などで、大排気量FWDハイブリッドが登場していましたが、米国カムリはハイブリッドモデルとガソリンエンジンモデルを併売している関係で、あまりハイブリッド車らしくないイメージをまとっていました。シフトレバー然り、室内然り、テールランプ然りです。

これが意外に受け入れられ、それまでジリ貧だったカムリが急速に息を吹き返しました。当時のE140型カローラアクシオにも似た、ビジネスライクなノッチバックセダンだったこともその要因でしょう。数回のマイナーチェンジを経た珍しいモデルでしたが、いち早くLEDヘッドライトを登場させるなど、メーカーも力を入れていることが分かりました。

スタイルは、登場当初のクリーンさが徐々に派手な方向に変えられていったのは、私の好みではありませんでしたが、かつてのウインダムやカムリプロミネントシリーズを重ねた人も多かったことでしょう。概ね同じクラスにいたSAIは、派手なフロントマスクとリヤデザインに変更されるマイナーチェンジを受けていました。また、一時は「ちょいワル上司のパーソナルセダン」として息を吹き返していた「マークX」は、何回か「次はFWDになるか?」と報道されておりました。後輪駆動を捨て、走りはあまり重視しない、格好良さを狙ったパーソナルセダンとしての後釜も狙ったのが、今回のカムリであると推察されます。

エンジン+ハイブリッドシステム



 エンジンは、先にトヨタのエンジン命名規則が変わったことを書いた、「A25A-FXS」エンジンを搭載しております。熱効率を重視したエンジンで、ついに40%を超えたそうです。シリンダー内に発生させたタンブル流で急速燃焼させ、冷却水流れも管理、燃焼効率向上、冷却損失を抑制しています。

エンジン音は、標準的な市街地走行では極めて小さくなっています。THS方式特有の、エンジンの回転数が先に上昇してから車速が上昇する、「ラバーバンド感」加速はほとんど感じられません。THS方式では、アクセルペダル開度と車速、駆動バッテリー残量からエンジン回転数を決定しております。エンジンの出力に余裕があることから、エンジン回転数を高めなくてもジェネレーターによる発電量を増やせることが、エンジン回転数を低くできる理由と考えられます。

空吹かしをした場合のエンジン音は、かつてのトヨタ3A-Uエンジン(E70型カローラ/スプリンターや、L20カローラⅡ/ターセル/コルサに搭載)にも似ており、調律された心地よいカラカラ音が聞こえます。ただし、市街地走行でははっきりとしたエンジン音が聞こえるほどではありませんでした。

 トランスミッションは従来通りの1個の遊星歯車式ですが、擬似6速マニュアルモードが搭載されております。これまでのプリウスにも、加速側はエコモード、ノーマルモード、パワーモード、減速側はDレンジとBレンジがありましたが、これらをそれぞれ6段階に分割したものとしているようです。まるで6速マニュアルモードA/Tのような加減速が可能です。加速側は雰囲気を味わうだけにとどまりますが、減速側は回生ブレーキ強さを調整できるため、ちょうど良い加減で降坂走行が出来ると考えられます。

 パワートレインは4気筒+THSⅡ方式であるのですが、エンジン音がほんの少し聞こえる程度で振動が小さいために、あたかもV6エンジン車に乗っているような気分になります。

サスペンション



 プリウスでは何度も書いた、ごく柔らかいサスペンションになっています。伸び側、縮み側共に柔らかく、突起乗り上げ時にもボデーは遅れて持ち上がり、突起から降りる際には車輪だけが地面に降りてから、遅れて車体が降りるような印象です。市街地を走行する上では安楽そのものであり、古き良き大型セダンを思い出させます。先に書いたウインダムなどもそうであり、また、1970年代のクラウン、セドリック/グロリアなどもそうでした。

先に登場したプリウスをより柔らかくした印象ですが、山岳路などではロールが心配になるほどです。車幅が広いためにロールの角度は浅いかもしれませんが、曲がりづらさを予感させます。

CMでは、かつてのトヨタのスポーティーカー、スポーティーセダン(初代セリカカムリ、X60マークⅡGT、セリカXX」などと同列のように描いています。しかし、乗り心地の上では、X30/40頃のマークⅡ/チェイサーのような、大型車的なものでした。スポーティーな走行は無理であると感じます。スポーティ版は、最近のトヨタの戦略から、「GRシリーズ」として出すのでしょうか?

ステアリング
 当然ながら電動パワーステアリングとなっています。TNGAシャシーはステアリングにも及んでいるのか、プリウスとほとんど同一に感じられました。ただし、サスペンション硬さや車重などから、操舵に対する車体の反応が、若干鈍く感じられます。神経質な感じはしませんが、もう少しダイレクトな感じを望む人の方が、現代では多いように感じます。この位の鈍い感じが好きなのは、70歳代位の世代ではないかと思います。

ブレーキ
 プリウスに準じた、ECB(後輪制動遅れ込め制御付き、電子油圧制御)方式を採用しています。旧型のブレーキペダルタッチはひどいもので、まるで床とペダルの間にガムでもついているのか、と思える程の「ブレーキ開放レスポンスの鈍さ」を感じたものでした。当時既に登場していた旧型プリウス(ZVW30)どころか、二代目プリウス(NHW20)まで遡ったかのような印象でした。同じメーカーなのに、退歩があるものだな、と、横の連絡の悪さを感じたものです。

今回のモデルになり、マスターシリンダーピストンとシリンダーの間のオイルシール数を減らし、フリクションを減少させたとのことです。私のブログを読んでの改善とは思いませんが、同じように感じていた人はいるのですね。改善の結果は出ており、現行プリウスと比較してほとんど同じかやや劣る程度まで改善されています。

ただし、プリウスで感じられた「左前輪のみ制動力の立ち上がりが速すぎる」件は、改善されているかいないか不明です。

ボデー



 TNGA技術を採用しており、この技術を採用した初めてのセダンとなっています。すなわち、後ろの窓の下に横梁があり、横曲げ剛性、ねじり剛性とも大幅な向上が期待出来るボデー形状です。



写真のリヤシートバックブラケットの付近から、パーセルシェルフ部まで梁です。

効果は如実で、特にねじり剛性が向上していると感じます。また、旧型カムリとの比較では、車体前部分の剛性がかなり上がっています。ねじり、曲げとも剛性が高くなっており、突起乗り越え時の「ゴトゴト」音は皆無に近くなっています。ただしサスペンションが柔らかいために、車輪からの突き上げが減少しているものですから、真の剛性まではわかりません。

車室内部は決して広くなく、かつての4ドアハードトップを思わせます。初代FWDカムリ/ビスタの室内が、当時のセダンとしては極めて広かったのですが、バスや電車の指定席ではありませんので、広いから良いというわけでもないようです。二代目カムリ/ビスタでは、4ドアセダンとハードトップで登場し、適度な包まれ感を演出した室内にしておりました。結果は大成功となり、以後、2000年代初めの「ミニバンを意識したセダン」が出るまで、室内は狭くされていたのでした。やはり広さは重要な条件ではないようで、今回の室内になったのでしょう。

旧型は実直な、カローラなどを思わせる室内でしたが、マークXのやや派手な雰囲気をまとっています。



とはいっても、現行マークX登場時の「シルバーアクセ(サリー)」を思わせる加飾は後退し、派手ながらも落ち着きあるデザインになっています。

スタイルは、これまでのカムリは「トヨタのスタイル変化の兆しはカムリに現れる」と言われたほどですが、この傾向が戻ってきました。トランクを短くし、後部窓をなだらかにした上でトランクとの角度を緩やかにする、というものです。1970年代後半に流行った「ファストバック」を思わせます。またこの車には、クオーターピラーにもデザインがなされています。これまでの車は、
「ガラス面がピラーに回り込んでクリーンさと視界を両立」したもの、
「窓とピラー後端が同じ面となり、脇からガラスが見えない」もの、
「ピラーよりもガラスの方が緩い角度で、ガラス下部が脇から見えるもの」、
「ガラスよりもピラー後端の方が後ろにあり、フィンのようになっているもの(カリーナHTのみ)
でした。



この車では、ガラスの上部のみが脇から見え、私はなんとなく安定感を感じないスタイルでした。ファストバックの件を含め、私はあまり好きではないスタイルです。トヨタは、これまでの車で築かれてきた安定したスタイルを崩したいのだと思うのですが、なんとなく未消化な後部スタイルだと感じます。これまで通りのノッチバックや、ガラス面とピラー後端が平行になっている、プレーンなファストバックが良いと思います。

空力性能は十分に考慮されており、テールランプ脇にある「エアロスタビライジングフィン」はもちろんのこと、ドアミラー上部にはこんなボルテックスジェネレーターがあります。



まるで塗装のたれのような突起ですが、こんなところも静音化に効いているのでしょうか?

後輪駆動との違い
 試乗中、セールスマンの方から「後輪駆動の良さとは何ですか?」と質問を受けました。言葉で説明するのは難しいのですが、以下のように答えました。

前輪駆動では、カーブから脱出をする際に徐々にアクセルペダルを踏んでいくと、前輪が出来る仕事と前輪荷重が減少します。そのため、同じステアリング角度であれば、車を曲げようとする力が減少していきます。従って、直進に戻る手前まで操舵操作をする中で、曖昧さを感じながら直進状態に戻していかなければなりません。これは前輪を駆動しない後輪駆動では感じない現象です。後輪駆動では前輪荷重が減少し、後輪が前輪を横に押し出すのですが、駆動仕事を担っているFWDほど不自然ではありません。

すなわち、どんな場合でも駆動力と旋回力の総和を意識しながら走るジレンマがあり、運転の自由度が少ないのがFWDです。後輪駆動には操舵と駆動が別の車輪で行われるため、このジレンマが極めて少なく、「自由だ!」と感じるのです。

と、思いつきで言ってきました。

まとめ
 CMではスポーティーなセダンを感じさせますが、実際には普通の大型セダンです。スポーティーさはありません。もっとも、この種の車を買う人、特にアメリカ人はスポーティーな仕様を望んでいないようです。GTやカスタム、アスリート仕様でも大人しいエンジンモデルが売れたりすることからも、エンジン出力よりもスタイルによる雰囲気が求められているのでしょうね。ただし、私はCMで期待していた分、肩透かしを食らってしまいました。

乗用車としての機能、性能は十分に高いです。燃費も乗り心地もよく、安楽で、ゆったり走れる車です。スポーティーはスカイラインやアテンザが、乗用はアコードやレガシィがあり、この車はティアナと同じ領域にあると感じます。ビジネスという点では賛成しますが、なんだか期待はずれのような気がしてしまいます。「GR仕様」が出るのを待つとしましょう。

ただし、次期クラウンがよくわからない位置づけの乗用車になり、スポーティーはレクサスISが担っていくのでしょうか?ドライバーズカーとしての味が薄いために、私は、カムリにはマークXの後任には出来ないと感じました。

参照して欲しい記事
トヨタ
マークX(現行初期2500cc)
プリウスPHV(長距離)
プリウスPHV(短距離)
プリウス(長距離)
プリウス(短距離)
旧型カムリ
SAI(初期型)
アリオン(現行最初期型)

日産
フーガ(ハイブリッド)
スカイライン(ハイブリッド)
スカイライン(ターボ、初期型)
ティアナ
シルフィ

マツダ
アテンザ(初期型)
アクセラ(ハイブリッド前期型)

ホンダ
アコード(初期型)

輸入車

BMW
BMW320i(4年前)
BMW235i(4年前)

VW
ゴルフ(現行初期型)
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Posted at 2017/10/29 00:43:25

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