昨日は、NHK Eテレにて「欲望の経済史~日本戦後編~ 第5回「崩壊 失われた羅針盤90s」 」を視聴しました。30分番組ではありますが、当時の世相を振り返るのにはちょうど良い番組でした。第4回が「ジャパン・アズ・ナンバーワンの夢80s」と、バブル景気から1989年末までの内容でした。今回は、1990年正月の株価下落から概ね1997年の金融機関の破綻までの内容でした。
現代史はまさに現在進行中のことですので、事の重大さを判断するのには難しいものです。そのときは大したことがないと思っていたのに、後年にわたって大きな影響をもたらした、などということがあります。
番組が色々と触れている中で、いくつか新鮮なことがありました。
一つ目は、1995年の扱いです。
同年は「55年体制の破綻」といわれました。自民党が与党でなくなったからです。当時の「間違いだらけのクルマ選び」でも、「これからの時代はこれまでの時代の連続ではない」、と書いていました。
今回のこの番組では、「阪神大震災」、「オウム真理教による地下鉄サリン事件」の発生や、ビールなどを中心とした普通の人の娯楽に関する消費量がこの年から減少したことで、多くの人に「終末思想」が起こったとしていました。
1995年春はまさにオウム事件捜査から始まった年でして、「バブル景気の崩壊どころか、1999年7月には本当に世界が滅亡してしまうかも?」とすら思った程です。
このような消費マインドの低減は多くの製品に影響しました。私の中では、同年6月の日産セドリック/グロリアの発売は、極めて地味なものに感じられました。実際には、同年末にはTRFに続いて安室奈美恵やglobeなどがミリオンヒットを続け、そんなに暗い時代でもなかったのですよ。
もう一つは、1997年の「エヴァンゲリオン」とかいうアニメーションに象徴される、文化の「島宇宙化」という表現です。バブル期は、何かが流行ればみんながそれに集中する時代でした。番組では、これが変わって「島宇宙化した」と述べています。
バブルの前の1984年には、
「犯人の鉄道の趣味を、彼が好意を寄せていた女性から否定され、自暴自棄になった犯人は当時他の路線から違う塗装色のまま転属していた常磐線快速電車を憎み、これを爆破しようとする話」が「太陽にほえろ!」で、放送されました。
1980年代初めからバブル期までは、テニスやスキー、サーフィンなど、屋外スポーツをすること以外は、人として否定される世の中でした。
特にアニメーションは、1989年に発生した連続幼女殺害事件の犯人の影響もありました。「アニメーションを見ているだけで幼女を殺害する」と、短絡化された思考が蔓延する傾向が起こりました。「ガンダム芸人」や、ガンダム好きを公言する芸能人がいる現代とは、全く異なっていました。
これが1997年の「エヴァンゲリオン」放送後は、このアニメが好きだとするものが多く現れました。私からすると「アニメが好きだと公言するの!?」と、驚きを感じたものです。LGBTや命にかかわる重病を公言するのに等しいです。
この現象から他人を趣味や嗜好物であれこれ評価する風習が急速に廃れ、「それぞれの趣味ごとに世界が形成され、それぞれが全く関わらない」時代になったとこの番組では述べていました。
これをもって、消費活動におけるマスメディアの影響は小さくなったとし、高度経済成長期以降にみられた、「大流行」は起こらないとしています。まあ、全くないわけではなく、「Gショックやスプーンなどのデジタル腕時計」「ナイキ エアマックスなどの高機能運動靴」「浜崎あゆみや倖田來未」「エビちゃんモエちゃん優ちゃんなどのファッションモデルとブランドバッグ」の流行はありますが、規模は大きくありませんね。
この番組は、本日深夜(18日0時40分)に、再放送があります。是非ご覧になってくださいね。第4回以前も見てみたいのですが、一挙再放送はありませんかねえ。
ブログ一覧 |
時事 | ビジネス/学習
Posted at
2018/03/18 00:04:40