
少し前にフジテレビ系で関東地方のみ放送された「東京ラブストーリー」の成果を受けてか、現在千葉テレビで「29歳のクリスマス」を放送しています。1994年秋期にフジテレビで木曜日10時(大人の恋愛もの時間帯)で放送された、恋愛ものドラマです。
当時すでに景気は悪化し、やや悪化どまりの雰囲気が出ていた時期の作品です。主人公たちの舞台を、まるで「1950-60年代の一般住宅のお茶の間」のような「畳敷き、木枠窓」としたことが特色でした。私の記憶では、「景気悪化に伴って、非現実的な「トレンディドラマ」よりも、等身大の30歳前後の男女恋愛模様を描いた作品」と銘打った作品だったと記憶しています。すなわち、1990年代初めまでのドラマを、初めて「トレンディドラマ」と扱った銘文だったということです。
とはいえ、企画を急変したかのような印象は否めず、舞台こそ1970年代ドラマの「寺内貫太郎一家」や、「俺たちの旅」のようにしていますが、実際には数名の男女がくっついたり離れたりしている作品でした。
男性と女性、女性同士が遠慮なく言い争ったり慰めあったりするさまに、この数年前「W浅野」で人気を博した「抱きしめたい!」の出演者を、思い出したのでした。
せりふ回しを聞いていれば、これまた「寺内貫太郎一家」を思わせる作品です。出演者同士の距離が近く感じます。せりふ回しで見せる「鎌田敏夫」脚本ならではの作風です。ただし、シーン転換やクライマックスへの盛り上がりなどは、放送時間帯もあってか全くありません。
作中の様子では、くるくると表情が変わって動きも早い山口智子氏の演技と、「君といた夏」と「ナースのお仕事」の間にあり、エレガント感が出ていた松下由樹氏の演技が生き生きしています。山口智子氏の「自然体≒がさつ≒おやじギャル」な雰囲気と、もう一人の主演である柳葉敏郎氏の役名を「新谷(シンタニ)」と呼び捨てにする風景は、男女平等の過程にある時代の雰囲気をよく伝えています。
また、脇役で登場する男女の服装はまだまだバブル感があります。男性のスーツは、ソフトスタイルで肩パッドが入っています。女性も肩パッドが入ったスーツや、トサカ状の前髪などが見られます。その一方で、山口智子氏の部屋着がアディダスのジャージであるところなどに、肩ひじを張るはやめた、という雰囲気が出ています。
この「自然体」や「男女平等」は、この前の時代にもなければこの後の時代にも受け継がれず、この時期特有の作風になっています。今思えば、「俺たち」シリーズをそのまま1994年に持ってきたような感じが否めないのですが、楽しんで見てみようと思います。
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Posted at
2018/11/21 00:00:28