2021年07月05日
2021年春期テレビドラマ感想批評
2021年春期は、インターネット上のドラマ評論家さん曰く、「傑作がそろっていた」そうですが、私はその反対で駄作ばかりだったと思います。多くが昨年の「恋はつづくよどこまでも」の見まねばかりで、20歳代初めまでの女性を対象とした作品ばかりになってしまったためです。
そのため、今期選択した作品は「イチケイのカラス」と「泣くな研修医」だけになってしまいました。
月曜日
イチケイのカラス(21時~フジテレビ)
竹野内豊主演の、裁判官が主役のドラマです。裁判官自らが再捜査を指揮し、周囲の人の判決に対する下馬評を覆すストーリーです。
基本設定は面白いのですが、ところどころにギャグシーンが盛り込まれていました。これが余計で、主となる事件の描写に時間を当てた方が良く感じました。また、主人公のやや変わり者の設定も余計でした。裁判所側の内部争いのくだりも不要です。
もう少し、被疑者側に寄り添うドラマとして描かれれば、より良い作品になったと思います。ストーリーはごく平凡で、奇をてらわなかったのは良い点でした。
水曜日
恋はDeepに(22時~日本テレビ)
石原さとみ演じる、どこか「不思議ちゃん」的雰囲気漂う登場人物と、富豪の男性とが恋をするドラマです。
最終回前と最終回を視聴しました。不人気もよくわかります。登場人物のやり取りがまどろっこしく、心に響いて来ないことが不振の原因だと感じました。また、デベロッパーがスポンサーである都合上、男性側主人公のデベロッパーを悪く描くことが出来ず、ストーリーに「環境破壊問題」を持ってこられなかったのも原因の一つです。
最近の「隠れ主力」スポンサーは、「一瞬たりとも当方が悪いと感じられる描写は許さない」姿勢で脚本に干渉してくるのでしょう。
私としては、「当初は悪徳企業的な描写があってもストーリー中で心を入れ替えるような描写があれば、むしろ印象は良くなる。」と思います。
ここ数年、日本テレビのドラマは「若年層志向」だそうです。もともと、「他の局で「これこれこういうの設定の作品が流行っているから、うちの局でも作りなさい。」
「わかりました。(すぐに)出来ました。」
という、お手軽コピー作風が続いていました。「恋はつづくよどこまでも」の見た目を真似した結果がこれです。
また、不振や「視聴率マイナス女王」の傾向が出てきた石原さとみ氏ですが、変人役をやめ、2014年以来の「私、かわいいでしょ?」傾向を捨てる必要を感じています。初主演の「ナースあおい」は傑作でしたのに、ブームに胡坐をかきすぎたように思います。ひたむきな刑事を演じるドラマなどで、印象を変えていく必要を感じています。
土曜日
泣くな研修医(23時~テレビ朝日)
題名に期待をし、見てみました。数ある研修医ものと同等の作品です。第一話では、登場人物の「高校や大学の部活の先輩と同じような口調で研修医を罵倒し、看護師は研修医を小バカにする、という展開」は収まりました。
しかし、放送時間が30分間なのに、つくりは60分間ドラマのままなのですから、その分話が薄まっただけでした。せめて、2回1話を基本とするなどのフォーマットを作っておけばよかったのでしょうが、無計画だったのでしょう。患者側の描写を極端に省きすぎ、あっさりとしすぎた印象に終わりました。
日曜日
ドラゴン桜 シーズン2(21時~TBS)
福澤克雄氏の「大げさで、物語の前後の展開をあまり考えない、その都度ストーリー」演出が全面的に出てしまったようですね。私は、各話でなんとか復活しようとしたのですが、心に響かない物語で挫折を継続しました!?
まとめ
どのドラマにも言えるのですが、シーンごとの演出にばかり気を取られて、「1回の放送内のストーリー展開」や「全体を通してのストーリー展開」があいまいになってしまっている作品が増えていると感じます。中高生だけでなく、大人にまで「落ち着かない」「すぐにわかる展開を望む」傾向が出てきているのでしょうか?
もしかしたら、「ある時刻「n」の展開を見ると、「n-1」の時刻に放送された内容が消去される。」という見かたしかできない人が増えているのではないか、と思います。
いわゆる現代文の試験問題について、「問題文を読んでいると、直前に読んだ内容を忘れるんだよね。それで、結局何度も何度も問題文を読んでいるうちに試験時間が終わるから、国語は苦手だったよ。」と言っている人がいました。
そんな人だけを重視せず、「物語で見せる」ドラマの再登場を望みます。
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Posted at
2021/07/10 23:54:42
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