
その昔、バブル期から不景気初期には、こんなドラマが多く作られました。
「主人公であるダメ新入社員か問題社員が、ふとした思いつきで作った新製品や新アイデアがスマッシュヒット、これを期に会社の体制が変わったり、ダメ社員がやる気を出す。」
もしくは、
「女子高校生が「こんなのがあったら良いよね」と発言し、それを生かした製品がスマッシュヒットをして、「スーパー女子高生社員」が大活躍をする。」
「サラリーマン金太郎」や、「パパと娘の七日間」などが有名です。どころが実際には、そんな思いつきでヒット商品が生まれることは、まあありません。門外漢の思いつきは、多くの場合「既に考え尽くされたアイデアの一つ」、「入ってきた人は、必ず誰もが最初に言うこと」だったりするものです。
しかし、現実の世の中はここ20年、「あるといいながある」、「すご、そこ、○○クス」、「お客様第一」でした。新たなサービスは次々に生まれるわ、「なくても大丈夫だけど、あれば便利に越したことはない」ものまで出てくるわで、「便利」が錦の御旗を振って歩いていました。
東武鉄道では、2003年に地下鉄半蔵門線、東急田園都市線との乗り入れを開始しました。それまで浅草駅から長距離準急電車を出発させていた、長距離都市間連絡鉄道だった風景が、地下鉄乗り入れ車を中心とした、都市鉄道へと変貌を遂げました。
この傾向は2006年のダイヤ改正でさらに地下鉄乗り入れ車中心のダイヤになり、日中は久喜駅と南栗橋駅で運転系統が分断、両駅をまたいで移動する乗客は、その駅での乗り換えが必要となる機会が増えました。しかも、末端区間は3両のワンマン運転となりました。
日本で人口当たりの自動車台数が最も多い群馬県では、軽自動車の普及と学生数の低下により、2000年と最近とを比較すると、駅の乗降客数は2/3程になっている模様です。
そして今年のダイヤ改正では、ワンマン運転区間が延長、久喜駅と南栗橋駅をまたいで運転されていた朝夕の列車も分断となりました。それと、従来運転列車が増える一方だった久喜駅、南栗橋以南でも、一部の列車が10両編成から8両編成へと短縮されるようになりました。
これを
「
お客様のご利用状況に合わせた運転体系」
と言います。
また、昨日になって西武鉄道の西武秩父線が、同社の株主であるアメリカの投資ファンドから、「廃止」を打診されているとの発表がありました。飯能駅よりも西がこれに該当しますが、おそらく秩父地区から都内へと通勤する人は、いてもごくわずかであると考えられます。
上記のことから言えるのは、「お客様のご利用状況に合わせた」サービスの低下が行われる時代になった、ということです。
最初に書いた「スーパー女子高生社員」が、「こんなのあったら良いよね」と発言したとすると、以前なら「じゃあ、やってみようか」となったところが、これからの時代は「ああ、「あれば良い」程度なのね。じゃあ、「無いと困る」までサービスを削ろう。」となるかもしれない、ということです。
就業人口が減り、企業は限られた分野への選択と集中に迫られ、特にその選択にセンスが求められる時代となった今、お客として感じるサービスの低下はより顕著になっていくだろうと考えられます。
サービスの低下に直面した時に、「こっちは客だ、サービスが悪い!」と居直るか、「うまく切り抜けたり自分を強化して切り抜けるか」、で、大きな差ができる時代になったとも言えます。ますます人に知性が求められる時代になり、楽しみです。
Posted at 2013/03/21 23:46:09 | |
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