今期ドラマで一番面白いと思っていた、「ON 異常犯罪捜査官」ですが、ここへ来て視聴率が息切れのようです。裏番組にオリンピックが放送されていることが原因であるのは当然ですが、見ているとやはり「飽き」を感じるのです。
主人公は心に裏を持つ、記憶力も優れた女性(葉瑠)なのですが、同時に被害者への感情移入も何もない、またまた「アスペルガー気質」な性格を持っています。これが視聴者の感情移入を阻む要素になっているように感じます。
刑事といえば正義感、犯罪を憎み、街の平和を守る気持ちがなく、「個人的な趣味で事件を解決したい」と言われても、見ている側は「はあ、そうですか。趣味ですか。」と、冷めた気持ちになってしまうだけです。
ここへ来て、被害者たちの惨殺ぶりやその死体に注目が向いているようですが、これまた「スパイス」であり、ドラマの本質ではありません。言ってみれば、犯人に要求されたお金や宝石には実物を使いました、ということと同じレベルのことです。
事件自体も、今ようやく第二の事件が解決されたところですが、脳科学だの臨床心理だのプロファイリングだのが出てきて、事件の捜査らしい捜査は行われていません。特にプロファイリング、脚本をおそろかに出来る手法として、また、おそらくアメリカの刑事もののよくある手法として、国内刑事ものに絶賛使用中です。
少し前に流行し、丁寧な描写よりも情報争奪戦にしてしまう諸悪の根源であった「USBメモリー」ですが、多くの会社がUSB使用禁止、パソコンを含むデータの社外持ち出し禁止により、遺物になってきました。階段教室型捜査部屋や本庁の警視も、踊る大捜査線の影響がなくなったのか、あわせて減少してきました。残るは「プロファイリング」ですね。
さて、ストーリー展開の多くの時間がプロファイリングやそれに似た手法で展開され、肝心な証拠固めや地道な捜査をすっ飛ばしている本作の脚本、やっぱり空虚と言わざるを得ません。それに気づいてか、気づかずか、死体を忠実に再現する、という横道にそれた努力をするあたり、「あ、この瞬間が関西テレビだね。」と言えます。
まあ、見続けるのですが、昨年の「サイレーン」同様、脚本の中身のなさが気になるのです。
Posted at 2016/08/12 00:47:58 | |
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