この日は代休、先週行けなかった試乗に行ってきました。まずはトヨタ「SAI」です。
エンジン+モーター+トランスミッション
この車もプリウスと同じ650V三相交流モーター+リダクションモーター発進です。トルク不足はいくら電圧を上げてもリダクションモーターを持っても補うことは出来ていませんが、こんなものと思えばこんなものです。トルクコンバーター付きATには劣りますが、多板クラッチ型発進機構の旧型ホンダマルチマチックやMTと思えば不満はありません。ただ、2400ccエンジンの恩恵にあずかれると思ったら、そういうことはありません。あくまでも発進はモーターなのですからね。
この辺は街中走行時にも現れ、ゆるいアクセル操作では車の反応が非常に緩やかです。2400ccの恩恵は、アクセルを大きく踏んだときに現れます。プリウスのパワーモードには劣りますが、アクセルペダルを踏んづけていると強力な加速が始まります。プリウスのパワーモードが不自然なくらいトルクを発生していることのほうが変なのであり、この車のほうが自然な感じがします。が、それでもパワーモードは残しておいても良かったかな???
この2AZ-F(X)Eというエンジンはなかなか獰猛な音を立てるエンジンなので、加速感は気持ちよいですよ。現行プリウスのスムーズな2ZRエンジンとは異なりますが、普段静かなこの車ではこの獰猛なエンジン音は「二面性」の現れであり、なかなか楽しいものです。エンジン+モーターのパワーは十分ですが、全開加速時の体感は、車体が重いためかプリウスと同じかちょっと劣るような感じがしました。
上記に書いたとおり、普段の走行時はまったく静かな車です。この静けさは大変なものですよ。そしてアクセルを踏んだときの音はそれなりにするのですから、楽しい限りです。この楽しさは、「
パッソセッテ」でも味わったなあ。
ブレーキ
今問題に挙げられている回生協調電子制御遅れ込め油圧ブレーキですが、報道されているような状況は発生しませんでした。油圧ブレーキの常で、ペダルを強く踏み込まないと効かないのは確かです。
乗り心地
これが非常に絶妙な設定で、しなやかに路面の突起をいなしつつ、かといって柔らかすぎないしっかりした乗り心地です。
プリウスLで感じたリヤが左右に振られる感じはしませんし、
プリウスGツーリングのような硬さを感じることもありません。タイヤの性能がよいということもありそうですが、ボデー剛性の高さが効いています。フロントセクション、リヤセクションとも突起乗り越路にまったくブルッとせずに、サスペンションのみがストロークしている感じがします。しかも、リヤサスペンションの設定が良いのか、ストローク時のスカッフ変化(サスペンションがストロークするときに、車体を横方向に動かす力により、車体後方が左右に振られる現象)を全くといってよいほど感じません。リヤサスペンションに半独立式を採用する車が増えている中、やはり独立懸架の優位性はあります。しなやかな乗り心地と左右の振られの少なさは特筆ものです。
ボデー
剛性の高さは、上に書いたとおりです。もはや現代のボデーにタワーバーは不要なのかもしれません。視界はセダンであるため良好で、ストレスを感じずに運転できます。フロアトンネルがないため後席の足元は広いですが、G11ブルーバードシルフィやC11ティーダの様な「広大」さは感じません。ごく普通のFF車より少し劣る感じはします。
装備品
雑誌や評論家がほめる「ジョイスティック操作によるナビゲーション、オーディオ、エアコン」操作は、まったくダメです。左手で操作することもうまく操作できないことにつながる上、カーソルの動きが敏感すぎてなかなかボタン位置に合わないし、操作したい画面になかなか移行できないこともよくありません。そもそも、ナビゲーションもオーディオもエアコンも、信号待ちなどのときに瞬時に操作するものです。渋滞の方式であれば、ナビゲーションならすばやく画面にタッチしますし、エアコン、オーディオは位置を手で覚えていて、わざわざその位置を見ながら操作することはありません。それが、「まず現在の画面から操作をしたい系統へと画面を切り替え、そしてカーソルを動かして選択し、そして元のナビなどの画面に戻す」と、文字で書いても長くなるような手順を経る必要があるため、まどろっこしいといったらありません。
また、2000年頃の車もこのように画面統一方操作パネルを採用したのですが、画面が壊れるとエアコンもデフロスターも使えなくなるため、大変不便な目にあいます。それを反省して2003年ごろにはもとのナビ・各種操作系独立型に戻ったのですが、その歴史を忘れたのでしょうか??設計者は、アニメーションの見すぎかな???一つの画面であちこち操作できて、しかもその他の部分がすっきり、というのは現代アニメの操作機器なのでしょうが、そういう「イメージデザイン」はダメです。三本和彦さんがよく言っていたように、「デザインとは機能のパッケージング」です。設計者は、これを忘れています。
まとめ
非常にうまくまとまったセダンであるといえます。新しい時代の「コロナ(プレミオ)マークⅡ」かな?カムリはまったく不要になってしまいます。プレミオ、アリオンも、マークXのおとなしい雰囲気のグレードも難しいでしょう。プリウスでは、「あれが気になる、これも気になる」だったのですが、この車は「あれも良い、これも良い。」です。が、価格が高い!これだけ高ければ良くて当然、と思えてしまいます。価格意外は非常に良くまとまった車ですので、買って後悔することはないでしょう。
Posted at 2010/02/06 22:26:37 | |
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