この日は、行きつけの日産ディーラーのモコがナンバーを取得したのを確認したため、試乗に寄ってみました。
日産のモコは、ご存知の通りスズキのMRワゴンのOEMです。基本構造は全く変わりませんが、MRワゴンはかつてのbBに近いイメージで売りたがっているのに対し、モコは旧型同様、女性のパーソナル軽乗用車として売りたいように感じます。日産には角ばったオッティ(ekワゴン)があるので、こちらは女性向けとしたのでしょう。
オリジナルの車と違うイメージが与えられたモコですが、旧型では
当初ママの軽ワゴンとして売られたMRワゴンに対してアドバンテージを得ましたが、今回はどうでしょうか?
エンジン
新設計のR06Aエンジンが与えられました。これまで主流のK6Aは14年ほど継続したと思いましたが、実際にはいろいろと改良されていますので、K6Aエンジン搭載車に対してものすごくアドバンテージがあるというものでもないと思います。
このエンジンも電子制御スロットルバルブが採用されていますので、アクセルレスポンスとエンジンのトルクの区分けがあいまいとなりますが、アクセルレスポンスは非常に良好です。旧型でも十分なレスポンスでしたが、さらに軽い吹け上がりを示します。エコモードスイッチは付いていませんが、この吹け上がりでしたらエコモードスイッチを付け、もうちょっとゆっくりとした走りをしても良いと思います。
ダイハツムーヴとは全く正反対の性格を示します。
騒音はやや高く、俊敏な発車をすると結構にぎやかな3気筒ノイズが聞こえてきます。ボデーの遮音性とも関係するでしょうが、こんなときには、「あ、この瞬間が軽乗用車だね」と思います。これもまた
ムーヴと正反対になっています。
トランスミッション
もはやお馴染みになった、副変速機付きCVTです。上記のエンジンの俊敏性は、このCVTの発進ギヤの存在によるところも大きいでしょう。副変速機による違和感は、
当初から全くなく、せいぜい「ロックアップかな?」と感じる程度のショック(?)です。しかも、さらに変速が自然になっています。
サスペンション
タイヤのたわみも手伝ってか、それほど悪くない乗り心地です。しかし、
ムーヴでは明らかに感じられた「重厚感」がほぼなく、ちょっと薄っぺらい感じがする乗り心地です。ピョコピョコする、とでも言えばピッタリです。このあたりは、軽自動車の領域を出ません。
ステアリング
おそらくただの電動パワーステアリングですが、
スイフトで感じた違和感はこの車には全くありません。スイフトのステアリングの良くない印象は、コストを上げずに車重がある車両に適合させたことが原因かと思いますが、この車はそんな工夫が要らないので従来の方法を踏襲したのでしょう。要求操舵力は、軽すぎず重すぎず、適正であると思います。
ブレーキ
これがビックリするほどタッチが良いです。もちろん軽自動車として良いという意味ですが、スポンジーでコントロールしづらく、力も要する
ムーヴとは正反対です。
マーチよりも良く感じます。このブレーキであれば、安心して踏めるでしょう。
ボデー
これまた上から見下ろす感じがしますが、まあ、悪くもなく良くもなく、というものです。
ムーヴよりは若干見晴らしが良いかもしれません。後方視界、斜め後方視界は良好です。
乗り心地のところで書いたように、若干軽薄さを感じるボデーです。剛性自体は悪くありません。
パレットで感じた、ねじり剛性の低さはもう完全になくなりました。
内装は
マーチよりも
トヨタの下級車よりもずっと良いです。しかし、
ムーヴと比べるとやはり軽自動車っぽさが出ています。なんとなく、
パッソを思い出します。CMのごとく、女性っぽさが出ています。男性が乗るのには、やや気恥ずかしいです。しかし、顔つきは男性っぽくありませんか?この辺がちょっとちぐはぐです。
ご自慢の「スマートフォン風オーディオパネル」ですが、あくまでもスマートフォン調であるだけで、操作はスマートフォントはちょっと違います。まあ、タッチパネル式ナビゲーションの域を出ていません。やはり走行中の操作は難しいです。まあこのシステムは、オーディオパネルから機械的なスイッチを省略できないか、という実験かもしれません。しかし、車の装備品は前を向きながらでも操作できなければなりませんので、このシステムはやめて欲しいです。
まとめ
同じ時期に出た
ムーヴとは、車としての仕上がりはかなり違います。軽快かつ走りが良いものの、商品全体としては軽自動車の域を出ないこの車、装備品やボデーにお金(?)をかけ、軽自動車とは思えないような静粛性と乗り心地になるものの、エンジンがものすごく吹け上がらない
ムーヴ、全く異なります。
同じ価格ならばムーヴのほうが良い買い物をしたような気分に浸れるでしょうが、エンジンの吹け上がりの鈍さと走りのトロさ、ブレーキフィールの悪さは気になります。
この車は、車としての仕上がりは良いと思います。しかし、エンジンとトランスミッションにお金を掛けるあまり、装備品がちょっと落とされた印象です。難しい選択となるでしょうが、この車に試乗する場合は、ストレスない走りに注目されると良いでしょう。
Posted at 2011/03/06 22:30:08 | |
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試乗 | クルマ