他の作品に遅れること、ようやく先週末に始まった大人の土ドラ「ノンママ白書」を、本日見ました。主演は鈴木保奈美で、広告代理店の管理職をしています。設定は、離婚歴があり、子供は一人いるようです。
男女雇用機会均等法第一世代の現在を描くことがテーマのようです。「部長 吉良奈津子」も広告代理店が舞台となっており、同じ時期の同じテレビ局の作品がともに広告代理店が舞台とは、既視感の面で損をしています。もっとも、ノンママの方は東海テレビが制作しており、厳密にはフジテレビの作品ではありません。昼ドラマが廃止されたとのことですが、この枠に作風を持ち込んだだけのような気がします。
作品の肩を持つわけではありませんが、1986年当時の女性の事務仕事というと、お茶くみ、コピー取り、書類作成、伝票チェック、書類ファイリング、ワープロ打ちが中心だったようです。大卒女性が総合職に、となると、知的生産系産業か新しい産業(リース、ノンバンク、ソフトウェア)か、出版位しかありませんでした。その最右翼が、広告代理店、雑誌社、放送関係でした。
さて、この作品は冒頭こそ事務所内の風景が描かれますが、すぐに主人公級の女性3人組が、おしゃれな小料理屋でおしゃべりをするシーンに移行します。やれ、DINKS(ディンクス)だのコキン法(男女雇用機会均等法のこと。初めて聞く略語です。)という単語を口にしますが、その度に画面が止まっておそらくスネ夫の声優さんが解説をします。
かつて、日本テレビ系で「バンビーノ」というレストランを舞台にしたドラマがありましたが、シーンが変わるごとに小見出しとも言える題名を提示、音とともに一旦ドラマ展開を止める手法をしましたが、あまりのひどさに同ドラマ公式サイトの書き込み欄が荒れたのでした。
ドラマ展開のバランスが悪く、料理店のシーンで退屈さを感じさせます。まるで友達に、私は知らないその友達の友達が集まる飲み会に招待され、おしゃべりをしている風景を見せられている気分になります。
また、鈴木保奈美演じる女性はやり手の管理職であり、格好良い女性を演じています。「部長 吉良奈津子」もそうですが、結局格好悪い役はやりたくない、わがまま女優なのですよね。「私が周囲を正すか、格好よく活躍する役でないと出演しません。」という注文があったのでしょうかね。
昭和47年12月、「太陽にほえろ!」では、「そして愛が終わった」を放送しました。当時(よりも少し前か?)に大変な人気があった沢田研二氏は、主役のマカロニ刑事(萩原健一)に射殺されます。それまで売れっ子の俳優は悪役を演じない、という不文律がありましたが、沢田研二氏の活躍を見ていろいろな俳優が悪役を演じるようになり、ドラマの幅が広がったのでした。
鈴木保奈美氏や松嶋菜々子氏が悪いわけではありませんが、人としての器が小さいな、と感じます。
さて、この作品ですが引き続き社内の人間模様などに主人公が巻き込まれていくようです。「あれ?仕事は?」と思わせること請け合いですが、テーマ全体が古臭く、出演者の道楽に付き合っている暇はありません。二話以降にどうなるか見届けたい気持ちもありましたが、挫折することにしました。
追伸、鈴木保奈美さんについて
私は鈴木保奈美さんを、TBS系23時ドラマで知りました。会社と一般職の女性を舞台にした、「コピー室より愛をこめて」という作品です。元気で明るい女性を演じていました。かわいらしっくてねえ。ほどなくフジテレビ系で片岡鶴太郎を主役とした、「季節はずれの海岸物語」に客演しました。ここでもフレッシュな演技で光っており、非常に魅力を感じました。その後、「東京ラブストーリー」などで人気が急上昇しました。
結婚、出産を経て、一昨年だったかな、「SMOKING GUN〜決定的証拠〜」という探偵事務所を舞台としたドラマで、神経質な所長を演じていました。シワは良いとして、小うるさい、神経質なさまが、癇に障る嫌な女性になっていました。市原悦子さん同様、癇に障るという男性は少なくないと思います。
追伸2、女性管理職について
どちらかというと「部長 吉良奈津子」の方に言えるのですが、「広い視野で物事を見られない」「目先のことで動く」「最初だけ調子よく、すぐに他人に放り投げる」という、おそらくあちこちで起こっているであろう、女性管理職特有の問題を描いています。女性管理職で「これは!」と思えるのは、「太陽にほえろpart2」の「筧ボス」だけです。
女性管理職には、「落ち着き」「人間的器の大きさ」「多角的かつ広い視野」を持ってもらいたいものです。ただ、漠然とした印象ですが、女性の中には「チマチマ小うるさいことが、なめられないために必要」と思っているフシがあるのです。ジェンダーフリー推進派の私ですが、ここが大きな間違いなのではないでしょうかね。
追伸3
登場人物の一人に、モンスターワーママ(早帰りなどの権利の主張ばかりで、働きが悪いワーキングママ?)として内山理名さんが登場するようです。役柄にぴったりです!?これもまた、企業の新しい問題だと思います。この問題が他社に先駆けて発生した資生堂では、育児期間中の女性にもノルマを求めるようにしたそうです。当然ですよね。
追伸4
主役級の女性3人は、互いに苗字の呼び捨てで呼びます。他人がどう呼び合おうと他人の勝手、私が関知することではないですし、架空の人物ではあるのですが、なんだか見ているこちらが気恥ずかしくなってしまいます。それぞれに若い時期もあり、学校でクラブ活動もしていたことでしょう。それでもなんだか、部室の香りが漂ってきそうです。他人の前で互いの仲の良さをアピールしなくても良いと思います。
Posted at 2016/08/14 22:53:30 | |
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