現在、トレンディドラマについて色々調べています。どうしてそのようなドラマが出てきたのか、大筋で分かってきました。
都市再開発、男女雇用機会均等法と働く女性、「ダサい」「イモ」などの差別用語がキーワードだと感じました。色々作品はありますが、フジテレビ「世界で一番君が好き」と、TBS「オイシーのが好き」を検証しました。
この「世界で一番君が好き」第一話が放送された年初、私は友達に誘われて国語の先生のお宅へお邪魔したのでした。その数日前、フジテレビ系の深夜に「さらば宇宙戦艦ヤマト」が放送され、当然録画した私は、とても幸せな気分でいました。このことを同行者に話すと「え~、いいなあ。うち、ビデオデッキがないんだよ。」と、言いました。当時は家庭に急速にビデオデッキが普及し始めた時期で、やや遅れたことを言うものだ、と思うのでした。
そしてその先生のお宅、木造モルタルの古いアパートで、風呂なし共同便所で、なんと冷暖房もありませんでした。誘われて行ったものの、私はあまり話が合わず、早く帰りたいと思ってしまうのでした。夕方に我慢できないほど寒くなると、先生は小型ガスコンロに水を入れたヤカンをかけるのでした。「学校の先生とは、こんなにも収入が少ないのか?」と疑問に思うのでした。
一方、始業式が始まって学校に行くと、担任の社会科の先生は「君たち、大学へ入って遊ぼうと思っていたかもしれないけれど、残念ながら好景気は終わりだよ。」と言いました。年末に最高価格を記録した株価が、ついに大幅下落へと転じたのです。
そんな、好景気の時期に企画された「世界で一番君が好き」ですが、こんなワンシーンがあります。主人公の上司と主人公が語るシーンですが、主人公たちが入っているお店はきれいなのに、道路の反対側には古い木造モルタル二階建てアパートが並んでいます。まるで、テキサス刑事とゴリさんが張り込みをしていそうな雰囲気です。
そしてこのドラマのオープニングテーマの最後、主人公はスポーツカー(MR2のSW20とAW11)で交差点の真ん中に乗りつけ、堂々とキスをします。スポーツカーは非日常感をあらわし、交差点でキスは、「自分たちが幸せなら、他人はどうでも良い」の象徴でした。
すなわち、「周りには汚いアパートや暮らしをしている人はいるけれど、(これを見ている)私はきれいな場所できれいな車に乗って、周囲の目もはばからず幸せをアピールしたい」、と思うための作品だったと考えられます。
また、オープニングテーマに登場する、この「ワンレンボディコン」の女性、登場人物にクレジットされている財前直見さんでしょうか?それとも単なる風景の人でしょうか?
三上博史さんです。当時的な、肩幅が広く緩く作ってある「ソフトスーツ」を着用しています。当然古いスタイルですが、これより前(昭和50年代終わり)の男性の服のダサさから比べると、バブル期は男性におしゃれを覚えさせた時代と言えます。
一方、「オイシーのが好き」です。トレンディドラマと呼べそうな作品をTBSも制作していましたが、もう少しお仕事ものの要素が強く、こちらの方が自然に見られたものです。
主人公は雑誌編集部でアルバイトをしているのに、北松戸ではありますがワンルームマンションに住んでいます。
食事は野菜にシリアルです。今や健康食ですが、当時はご飯と味噌汁から離れることが「今風」とされました。
主人公は、平凡社から社名を変更した「マガジンハウス」社の「HANAKO」編集部で、お茶くみやコピー取り、FAXやお使い等に携わっています。オフィス内には、ワープロが一台あるだけで、社員編集部員は、手書きで原稿を書いています。
ドラマ内部では、おじさん社員が「ユキちゃん、このFAX、送っても送っても原稿が出てきちゃうんだよ」と言うシーンがあります。また、女性社員編集部員に対して「(お茶くみとコピー取りみたいな補助的な仕事の方が)楽だし責任はないしお金は貰えるし、その方がいいんです。」と、お気楽なセリフを言います。今や、おじさん社員でも自分でするか、別の手段に置き換えられてしまい、わざわざ人を雇ってさせる仕事ではなくなりました。
どちらも到底現在の価値観に合わない作品ですが、生きた歴史の財産として、価値があると思います。
Posted at 2017/11/24 00:45:04 | |
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