
暫く時間が経ってしまいましたが、いつも覗いて下さる皆様、新年明けましておめでとうございます。65歳になり市役所から介護保険証も届きました。今後は「前期高齢者」の視点からの記事が多くなると思います。既にこのマイルストーンを通過された方や、これから迎えられる方が多いと思いますが、今年もどうぞ宜しくお願いします。
以前の記事でも触れましたが、今月から埼玉県越生町の「Hummy's Craft 」さんに通い始めました。退職以降、両親が遺した物品や、ボクのガラクタを少しずつ片付けていました。一方、いつ終わるとも知れぬこの作業に飽きると、ロードスターに乗りあちこちを訪れる生活になりました。…が、早い時間からバーボングラスを傾けるようになり、「このままではダメだ!」と自覚させられました。この原因は仕事を辞めたことで生活のルーティン、精神的な張り合いや生活の目的を喪失したことで、暮らしの屋台骨が崩れたことと自覚するに至りました。
今の暮らしに中心軸が必要と考え、「何かをやろう!」と思案しました。
意外にも、直ぐに決まりました。
ボクは見様見真似で、W1S用にツーリングバックなどを革で作っていました。しかし、カッターや刻印で細かい模様を表面に施す、所謂「カービング」の経験はほぼゼロ。これを学びたいとかねてから思っておりましたが、働いていると講座に通ったり、練習をする時間がなかなか取れず、宙に浮いたままだったのでした。そんな訳で年末にこちら「Hummy's Craft 」さんを訪れ、その場で入会を申し込みました。
年明けの5日から通い始めました。
授業は金曜日を除く月から土の、13時から17時。昨日までに8回通いました。
今日は、どういう作業をするのかをご紹介します。
この柄、ご覧になったことのある方は多いと思います。
花、葉、唐草から成るデザイン。レザークラフトの世界では比較的新しい、シェリダン様式。アメリカはワイオミング地域が発祥で、きめ細かく立体的な造形が特徴。それだけに、技術の習得は一筋縄では行かないことで知られています。
こちらでは、ボクのように初心者にも、この手法を教えて戴けます。
絵柄が印刷された紙にトレーシングペーパーを載せ、シャープペンシルで写します。それを水分を含ませた革生地に載せ、鉄筆でケガきます。
ケガいた線を、スーベルカッターと呼ばれるこの刃物でなぞり、革の表面に刻みます。
その後、刻印をモールと呼ばれる打具で叩き、模様を刻みます。
簡単に言えばこのプロセスを、ひたすら繰り返すことで「作品」にします。
ただ、これが初心者には難しいのったら…。
デザインを見ながら、カッターで切りました。
これは、花びらと葉を終えた段階。
三日間の悪戦苦闘で出来上がった「デビュー作」がコレ。
「線」も「叩き」も、まるでヘナチョコ!
えらいことを始めてしまったと、少し後悔しました。
左が2作目。全てカットした段階。
上を向いた花びらの右半分が、直線状になってしまいました。
先生から「カッターの持ち方が悪いから、刃が左右に廻らない。常に持ち方を意識し、切る線の始点と終点を確認してから切るように」と、アドバイスを戴きました。
3回目、切り終えたところ。
少しは進歩したと思いましたが、円弧のカットが歪になってしまいました。
来週は、ここから続けます。
教室には、こんな素晴らしい作品がズラリ!
早くこのレベルになりたいものですが、首や肩が凝るは、刻印を支える左手の指が攣るはで、モータイヘン!先生からは「最初は仕方がない、徐々に慣れます」と仰って戴きました。
ここで、感想を少し述べてみます。
1.退職後は「生活の目的」「リズム」が大切になる
40年も働きましたが、退職により日常の屋台骨を喪失したと気づきました。ボクの場合何をするかが直ぐに見つかりましたが、趣味のない「仕事人間」だった方は喪失感に苦しむ例が多いとか。何十年もの間、「会社のため」に一筋に歩まれた方は、「会社=自身」に陥りがちのため、退職後に自身の目的を見つけられなくなると、ある動画で知りました。
退職後をどう生きるかは、自身で決めるしかないのが現実。
もう、今まで仕事を与えてくれ、給料を払ってくれた会社はありません。
家に籠りゴロゴロしている夫に、我慢が出来なくなる奥様は多いそう。
ボクの場合はレザークラフトでしたが、人それぞれ、何でもいいと思います。
ゴルフ、旅行、クルマ、バイク、ハイキング、日曜大工、ガーデニング…。選択肢は無限にあります。やる前に「そんなこと、オレには難しい」と決めつけず、「まず、やってみよう!」の精神が大切と思います。
「自分には会社しかない」と思われる方は、いつかはサラリーマン人生に必ず終焉がやって来ることを、強く心に刻むことが、ターニング・ポイントと思います。
ボクの場合、新卒で20年働いたレコード会社で人員整理の対象となり、以降好むと好まざるとに拘わらず、7社を渡ることとなりました。最初の退職で、会社とは実に残酷なことをしてくれると実感させられ、会社に滅私奉公するとの考えは、さらさらなくなってしまいました。
2. 学びは「新鮮」!
やりたかったことを一からプロに学ぶのは、目からウロコ!
技術や知識を得たいと能動的に思うから、その場に参加することとなります。
相手は、その道のプロフェッショナル。自分にないもののオーナーだからこそ、月謝をお支払いし、アドバイスを戴くことになります。そこには年齢や性別、人種や宗教は無関係。会社での上司からの「命令」ではなく、「なりたい自分を実現する」から学んでいます。毎回、稚拙な自身を意識するのと同時に、新しい発見、体験に、まさしく「目からウロコ」です!
3. 夢が描けた
あれだけ働くことに固執し「生涯現役」を目指していたボクですが、最後に勤めた会社で、組織と人材の酷さに愛想を尽かして辞めました。最初は「これから、どうしよう…」状態でした。振り返ってみれば、午後の3時から酒を飲み酩酊するようになったのは、そんな心理が影響していたように思います。
此処に通い始め、生活に張り合いが生まれました。
先生から「ここの切り方は、こうした方がいい」とか「これは良く出来た」とアドバイスをされれば、「よし、もっと頑張ろう!」という気持ちになります。これが「目的意識」!誰でも「自分はこうなりたい」と思えば、自己実現のために努力することが苦にならず、褒められれば嬉しいもの。…そう、自らの成長を自覚できることが大事ですし、明日を切り開く糧になるのだと感じます。
ちなみに、先生の弟さんの実話。
60歳で退職、何もしていなかったそうですが、先生が「それならレザークラフトでもやってみれば?」と水を向けたとか。今では電気ペンで緻密な動物画を描いた革製品を製作し、販売しているそう(現物を拝見しました)。先生に「ボクもそうなりたい」と言うと、にっこり微笑んで「がんばってネ!」と仰りました。
4. 女の仲間に男が一人
教室に通っている生徒さん、それに先生は、ボク以外は全て女性!
65年間生きて来て、半日をこんな環境で過ごすのは初体験。
ティータイムは、お菓子や果物を食べながらの「おしやべりタイム」。
女性同士の会話は、実に華やか。
旦那さんの悪口、介護中の苦労話、バーゲン情報、隣近所の変人の話題、おいしいケーキ屋さんの話題、飼い犬のこと…e.t.c.。会話のフォーカスが、目まぐるしく移ります。男のボクにも時々水が向けられるので、しっかり聞いていないと、へどもどした言葉しか返せなくなります。彼女たちは年齢は関係なく、全て「タメグチ」!水を向けられたボクが無意識に敬語を使って話すと「ヤッダーー、モウ!」と笑われてしまいました(笑)。
女性は、男よりも遥かに頭の回転が速いと思いました。
同時に逞しい!
スーパーの仕事を辞めたばかりの方は、実に「あっけらかーん」デシタ!
5. 人生の主役は「自身」
今の教室は、暫く通うつもり。
目的、なりたい自分を描けたからこそだと思います。
そして今日、別の選択肢の可能性を求め、ある処に行きます。
これについては、またご報告します。
これからのセカンドライフの青写真はまだ描ききれていませんが、少なくとも「能動的に求めて日々を送る」とのモットーが心に刻まれたと思います。
人生の分水嶺に立たれている方、
これから迎えられる方へ。
こんなボクでも、毎日楽しく暮らしています。
ご一緒に楽しみましょう。