![武相荘 (東京都町田市) 武相荘 (東京都町田市)](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/047/017/214/47017214/p1m.jpg?ct=75ed5f1eded2)
昨日10日、土曜日。
神奈川県座間市のアール・エス・アイザワさんを訪れ、車検が終わったロードスターを引き取って来ました。社長曰く、「全く問題ないよー!安心して乗って大丈夫ダヨ!!」
その帰路。
かねてから訪れたいと思っていた、こちらを訪れました。
白洲次郎・正子ご夫妻の終の棲家となった「武相荘」。
この「華麗なるご夫妻」については、今更凡人のボクが記すのは野暮、以下にウィキペディアへのリンクを貼っておきます。
白洲次郎はこちら。
白洲正子はこちら。
駐車場は反対側。こちらは鶴川街道側の正面入り口になります。
案内図。結構広い敷地です。
こちらについての、ごく簡単なキャプション・ボードがありました。
門を潜った左の建物。
一見、二階建てに見えますが、奥から眺めると崖状の立地で、三階建てです。二階は関連商品の販売コーナーで、11時に開きました。
三階の窓。
ステンドグラスの凝ったデザイン。
いいなぁ…。
その奥。
東屋の中に、黒塗りのクラシックカーが見えます。
ミッデミリアで堺正章さんが、ハンチングとゴーグルで運転して来そう…。
ちょっと暗くなってしまいましたが、右45度から。
ボクには全く予備知識がありませんでした。
ペイジというアメ車で、次郎が17歳の時に父親から買い与えられたのだとか。白洲家は兵庫の豪商でしたが、後に倒産…。
それにしても「バカデカイ」!日本はもとより、欧米でも現代とは異なり、まだ車がごく少数の時代。サイズや規格について、煩い縛りがなかったように想像しました。
ステアリング。
中心の六分儀のようなものは、何でしょう…?
ボンネット先端のマスコット。
凝りに凝った造形。アメリカ車ですが、英国車のような気品が漂います。バッジは日本の七宝焼きのような質感…。
サスペンションはリーフ式。
乗り心地は想像できますが、現代のクルマと比べる意味はありません。
東屋の奥に、白壁の立派な山門。
10時丁度に開きました。
郵便受けは軒下の臼。
右にはレストランとバー。開店は11時。
中を覗くと吹き抜けでした。
奥の本棟が、ミュージアムになっています。ご夫妻に所縁の品々が陳列されています。残念ながら、撮影はNG。ネットを探したところ、内部を紹介されているページを幾つか発見しました。
上品倶楽部
和楽web
LIFULL HOME'S
その中から、2つだけお借りします。
こちらは玄関を入ったところの居間。元々「武相荘」はかなりくたびれた農家で、ご夫妻は長い間、手直しを楽しみながら住まわれたとか。このリビングは牛を飼うスペースだったそう。床下には朝鮮風に言うと「オンドル」。温水による暖房が配されていると、スタッフの女性にご教示戴きました。ちなみにソファ等の調度品はもの凄い重量のため、ご夫妻の生前から動かしていないそうです。
こちらは、文筆家として名を成した正子の書斎。
こじんまりとした板の間に文机。
左右に蔵書。
ところが、この手前の六畳間は、壁一面が本棚!
物凄い勉強家だった証…。
レストランに立ち寄りたかったのですが、午後に所用があり諦めました。
少しだけ写真を撮りました。
これはバーの壁面。
こんな素晴らしいステンドグラスが嵌め込まれていました。
蛇口。
水面の紅葉…。
秋の再訪を決め、裏手の駐車場へと歩きました。
竹林。
切り株。
枯れの「美」…。
無駄のある家
鶴川の家を買ったのは昭和15年で、移ったのは戦争が始まって直ぐのことであった。
別に疎開の意味はなく、かねてから静かな農村、それも東京からあまり遠くない所に住みたいと思っていた。
現在は町田市になっているが、当時は鶴川村といい、この辺に(少なくともその頃は)ざらにあった極く普通の農家である。
手放すぐらいだからひどく荒れており、それから三十年かけて少しずつ直し、今も直し続けている。
もともと住居とはそうしたものなので、これでいい、と満足することはない。
綿密な計画をたてて設計してみたところで、住んでみれば何かと不自由なことが出てくる。
さりとて、あまり便利にぬけめなく作りすぎても、人間が建築に左右されることになり、生まれつきだらしのない私は、そういう窮屈な生活が嫌いなのである。
俗に言われるように、田の字に作ってある農家は、その点都合がいい。いくらでも自由がきくし、いじくり廻せる。
ひと口に言えば、自然の野山のように、無駄が多いのである。
牛が住んでいた土間を、洋間に直して、居間兼応接間にした。
床の間のある座敷を寝室に、隠居部屋が私の書斎に、蚕室が子供部屋に変わった。子供たちも大人になり、それなりに家庭を持ったので、今では週末に来て、泊まる部屋になっている。
あくまでも、それは今この時間のことで、明日はまたどうなるかわからない。
そういうものが家であり、人間であり、人間の生活であるからだが、原始的な農家は、私の気ままな暮らしを許してくれる。
三十年近くの間、よく堪えてくれたと有がたく思っている。
『縁あって』「思うこと」より
武相荘
東京都町田市能ヶ谷7-3-2
042-735-5732
10:00-17:00 月休
Posted at 2023/06/11 16:12:19 | |
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旧き良き建築 | 日記