昨日3月20日、土曜日。
久し振りに「百川」さんでつけそばを堪能。妙にウキウキした気分で、食後の散歩をしました。
以前にもご紹介しましたが、埼玉県飯能市は、武蔵のフィールド・ハイキングの玄関口。一方、嘗て西川材の江戸・東京への送り出し拠点として栄えた時代があり、当時の栄華を今に伝える旧い建築が今も散見出来ます。ボクの目的は、ガイドブックやインターネットに紹介されていない、その種の建築との出逢いなのでした。
狭い国道から脇道に入り、暫くするとこんな建物が見えて来ました。
どうやら工場の様子。
表と裏に看板建築の構造を持つ二階建ての母屋、裏に平屋が続きます。裏側にも看板部を擁する建築を見たのは、初めてです。
それにしても、平屋の中央付近が大きくひしゃげています。
そのまま進むと、こんな玄関がありました。
「AKAI FACTORY」とあります。
…ナンダ、コリャ?
左には金槌のイラストをあしらった置き看板。ショップとありますから、何か販売している様子。右はコーヒー豆をシンボライズしたような、木製オブジェ。
ギャラリーの案内です。
何かクリエイティヴな作品の展示会が催されているよう。
…コーヒー店にお店、それに展示会。
興味津々、重厚な引き戸を開けて入りました。
入口左には高級なプリメインアンプとスピーカー、それにレス・ポール。
スピーカーからは、ミリーニ・パートンやサッチモが流れています。
コーヒーの芳香が鼻腔に満ちます。
床には麻袋に入ったままのコーヒー豆が。その横には大きなロースターが鎮座します。喫茶店ではなく、豆の販売のみでした。
いかにも南国らしいデザインの袋!
一目で欲しくなりました。
奥の平屋部分を臨みます。
やはり、展覧会が催されているようです。
多摩美術大学と東京芸術大学の女子大生が、共同で開催するイベントでした。 揃ってとっても可愛らしく、チャーミング!
少しだけご紹介します。
タイトルは「朝」。
八ヶ岳に似た山並みの朝を描いたもの。
「今」。
キャンバスの左には、白い布が貼られ、その部分にはキャンバスはなく枠の木材が透け見えます。
お訊ねすると「陽が当たると、絵画部分に布の反射光が画面に煌きを放つ」そう。昨日は生憎の曇天。輝くところを見たかった…。
「脚のある卵の置物」。
女性芸術家らしい、柔軟な発想に感心しました。
「ゆらゆら」
光とともに、揺れ動く心象世界を感じました。
この種の感性は、男性よりも遥かに女性が優れていると思います。
ギャラリーの左側のスペースでは、長い顎鬚を三つ編みにした男性が、何かを制作されていました。少しお話ししました。
ここ「AKAI FACTORY」は、築80年の元金属加工工場。老朽化のため移転しましたが、空いたスペースをフリーのアート作家さんに区分レンタルされているとか。老朽化のため雨漏りや風の吹き込みは当たり前ですが、店子全員でメンテしながら活動中と仰いました。
彼は「DesertRose」という天然石やシルバーを作っているお店の方。元々は吉祥寺でお店を開いていたそうですが、家賃を払うために仕事をしているような現実に嫌気がさし、ここ飯能に移り住んだのだそう。この種のアートを仕事にするというのは、ある意味とても羨ましく思いますが、現実は我々サラリーマン以上に厳しいと知りました。
こちらは「DesertRose」さんの床。
廃棄された小学校の机のトップを再利用、敷き詰めたのだそう。あまりにも手間が掛かり、手仕事を厭わない彼でも、さすがに投げ出したくなったとか。
ギャラリーを挟み「DesertRose」さんの反対側のアトリエ。人影はありませんでした。様々な工作機械と、野生動物の骨や角がありました。それらを加工してアクセサリーを作っていると想像しました。
元工場だけに、当時の設備がそのまま遺されています。
アートと使われなくなった設備のコラボは、松本市の書店「栞日」と共通。これら二者の相性は抜群、其処に存在する「作品」が、見事な輪郭を放ちます。
こんな「流し台」がありました。
時代物のタイル貼りですが、とっても大胆な色遣い。当時のままなのか、後年手を加えたものなのかは不明ですが、現代のシステムキッチンにはない暖かさを感じました。
コーヒーショップの左側、「DesertRose」さんの手前は、和紙を使った照明類、レザークラフト製品など、複数の作家の作品を販売するスペース。お客さんが細かい「発注」の最中、撮影は控えました。
お試しに、小さなコーヒーを2つ、買いました。
毎朝、女子社員がコーヒーを淹れてくれます。いつもはスタバで買って渡しますが、明日は「天覧山珈琲」です!みんな、喜んでくれるかナァ…。好評だったら、また買いに来ます。
全くの偶然で入りましたが、この種のハンドメイド、アートがお好きな方なら、絶対に楽しめると思います。
AKAI FACTORY
埼玉県飯能市柳町25-9
【今日の『おまけ』!】
やはり、ありました。
AKAI FACTORYさんの至近、床屋さんの様子ですが、もしかすると廃業済かもしれません。
上部が半円を描く、四連の木製窓!
…感動しました。
上の欄間に相当する部分も木製だったら、もっと雰囲気が上がるはず…。
飯能に幾つか存在する、張り出し部が洋館チックな意匠の住宅が、ここにもありました。建物も庭も手入れが行き届いていますが、全ての雨戸が閉ざされ、人の気配はありませんでした。
勿体ないなぁ…。
Posted at 2021/03/21 15:54:51 | |
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