![KM90再生の記録 その四拾 KM90再生の記録 その四拾](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/043/564/266/43564266/p1m.jpg?ct=d21b4768102f)
【はじめに】
高校生の時、卒業する先輩から1万円で譲って戴いたのがMC1。この名前はあまり耳馴染みがありませんが、所謂型式名です。日本ではカワサキ90MSを経てKM90の名称で販売されましたが、ヤマハのミニトレが大ヒット、終始日陰の存在でした。ところが輸出先のアメリカではそのままこの型式名で市場に出て、小さな車格とパワフルな2ストエンジンが好評で、大量に流通しました。
以来40年。今も我が家に棲み続けております。
此処では某ブログに掲載した内容を、一部修正しながら「引っ越し」掲載します。かれこれ10年以上前に書いたものですので、パーツの供給状況等に変化が生じている可能性がありますことをご承知下さい。
引っ越しの理由は、今もこの記事が残っている某ブログが、サービスの停止を発表したことです。本来の目的はボク自身の備忘録ですが、もし興味を持って戴けたらお読み下さい。
なお、90MS、KM90、対米輸出されたMC1の全てを対象としますので、カテゴリはMC1としますが、タイトルには日本で一般的に通っているKM90を使用します。
2010-02-02
ピストンとシリンダ その壱
相変わらず遅々とした更新で、すみません。
毎日ちょこちょこやっていますが、清水トンネルを一日に1センチ程度掘っているに過ぎず、ご報告がヤボな毎日です。
今日、「ほんのちょこっと」だけ、前進しました。
フロントスプロケットを外します。ウェスを噛ませ、直立固定したワッシャーを平らにしました。
マグネトのフライホイールを外しました。
コイルはキレイ。
ポイントは老眼が進んだため、後でゆっくり外してチェックします。
シリンダヘッドを外しました。
4つのうち、1つにしかスプリングワッシャーがありませんでした。これは、雑な仕事。
嫌な予感…。
ピストンを取りました。ベアリングは一見で「×」でした。
ご覧の通りの有様。
シリンダの内壁にも、細かな縦キズがいっぱい。
噛み付き抱きついたような、明らかなキズではありませんが、このまま組む訳にはいきません。
カワサキからはOSも含め、ピストン、リング、シリンダ、全て出ません。
あーあ、こりゃ、高い送料でebか…。隣のバイク屋は火曜定休だし…。
ところが、「行ったことのないあるところ」を思い出しました。
ネットで営業時間をチェックすると17時まで。まだ1時間、余裕です。
さー、レッツ・ゴー!
ここが目的地。
車で20分。こちらに曲がる前の街道は頻繁に通っていますが、訪問は初めて。
かの『井上ボーリング』さんです。
玄関扉。
あら、ちょっとオレンジの頬紅の「美女」が…。
…こんな娘に迎えられたら、「卒業」よろしく奪い去りたくなります(旧い)!
「ごめん下さい」
「はーい」
奥から、何度もバイク雑誌で見た、井上社長が出ていらっしゃいました。
「あのー、ご相談があって参りました、初めてです」
「どうぞー、どうされましたか?」
(部品を出して、ご相談)
「おー、スカートが長いー。カワサキだ。ちょっとお待ち下さいね」
社長、ピストンとシリンダを携えて離席。約5分後に戻られました。
「縦に0.4ちょっと、横に0.2ちょっとのヌケがありますが、メーター読みで1万オーバーの90cc2スト40年選手にしては、程度は極上です。ホーニングだけで大丈夫です」
「有り難うございます。いかほどですか?」
「3500円に消費税、納期は1週間見て下さい」
KMとしか言う余裕のない問答で、このお答えでした。
井上社長は、自らもブルタコのオーナーでツースト派。
旧車の世界では有名な方ですが、ちっとも驕ったり高ぶったりしないお人柄。
ドリーム商会の社長もそうですが、こういう「バイクが好き」な職人さんは、相通じるものがあります。
で、エンジン君は、こんなに細ってしまいました。
でも、まだこれからが…
(※続く)
Posted at 2019/12/22 12:35:06 | |
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