先週、4月2日の土曜日。
低音難聴の治療に、三週間振りに長野県須坂市へ。
帰路、愛して止まぬ安曇野を訪れました。今回は、かねてから訪れたかったラーメン屋さんが目標。
ここは、長野県北安曇野郡松川村。147号線を北上、安曇野市から松川村に入って直ぐの右側。「らあ麺 麦一粒」さん。
2年前の4月。
過去にご紹介した406号線の白沢洞門で、春の銀嶺が眼に焼き付いた帰路のこと。147号線を南下中、この看板の横を通りました。ほんの一瞬のこと、ラーメン屋さんとの認知しか出来ませんでした。この時は「感染」が外洋船から拡散した直後。飲食店の殆どが休業を余儀なくされており、そのまま通過してしまいました。
…安曇野に魅せられ、帰路の「寄り道」が楽しくて、毎回前日にネットで調べるのが日課に。
そんなある日のこと。
「あー、あのお店だ!」
頭の何処かに刻まれていたラーメン屋さんらしからぬ店名。いつも日帰りの安曇野詣で。「シュタイネ」さんなど魅惑が多く、ちょっと足を伸ばさなければならない此処は、未訪のままでした。
今回、第一目的地に据えました。
営業は11時から14時。売り切れ「ごめんなさい」も頻繁とのこと。
9時に治療が終わり、安曇野インターを降りて着いたのが10時30分。もう7台も停まっていました。「松本」が5台、「堺」と「浜松」、8台目が「所沢」!
ファミレスのように、記帳して順番を待ちます。
ナンバープレートを記すのは、車による来店が前提の立地。
ボクも「所沢●●…」と書きました。
お店の後ろには大糸線。
既に雪はなく、田園が広がります。
11時に近づくにつれ、こんなのどかな場所に、次々と車が吸い寄せられて来ます。あれよあれよという間に、駐車場は満杯。
やがて女性のスタッフが現れ、記帳簿の順番に呼び込みが始まりました。ボクは辛うじて、最初の「満員」に入ることが出来、カウンター席に座りました。
メニューです。
こちら、サイドメニューの「ごはんもの」も美味しいと事前情報で知っていましたが、元々が小食なこと、腹一杯で帰路の長距離は睡魔が必至のため「醤油らあ麺」だけにしました。
既に店内は満席、他のお客さんのご迷惑になることを考慮し、店内の写真は控えました。
お店は30代とおぼしき男性のご主人と、女性3、4人でのオペレーション。
たまたまカウンターに座ったので、工程を見ることが出来ました。
ロットは一度に3人前の模様。
まず3つの丼に鍋のお湯を注ぎ、十分に温めます。
次に小鍋にスープを一人前ずつ注ぎ、右側のガス台で温めます。
これが終わると麺を丁寧にほぐし、一人前ずつ深ザルに入れて茹で始め、丁寧に菜箸で攪拌。茹で時間はきっかり1分35秒。
この僅かな間に、温めた丼の湯を捨てて丁寧に拭き清め、スープの小鍋から一つずつ、きっかり「お玉」擦切り分を丼に注ぎます。
1分35秒はあっと言う間。丁寧に湯切りした麺を丼に入れ、具材を入れます。最後に、善光寺の八幡屋磯五郎の「ゆず唐辛子」を一振りして出されます。
御覧のように、カウンターに調味料はありません。
また、こちらでは「大盛り」もやっていません。
おいしいものを、おいしく食べて欲しいとの方針のよう。
「おまちどうさまでした!」
女性のスタッフが運んでくれました。
おー、見るからに「おいしそう!」
「いただきまーす!」
キレイな醤油スープの表面に、鶏油(チーユ)が輝いています。この二者は、昭和のおいしい「中華そば」の必要充分条件。まず一口啜りました。
…日本蕎麦のスープを彷彿させる、何処か懐かしく優しい味わいですが、鶏や鰹節、昆布などがブレンドされた、「らあ麺」に軸足を置いた味わい。長くラーメンを食べておりますが、これは初体験。麺を食べる前に、このスープにご飯を入れて「おじや」にしたら、さぞかしおいしいはず、特に飲んだ後に食べたいと思ってしまいました。
1分35秒と、極めて短い茹で時間の麺。自家製とのこと。
ウェーブのないストレート。啜るとどんどん口に入って来ます。
硬くはないけれど、「パツパツ」とした印象。軽くザラついた表面にスープが載り、絶妙の味わい。
…こりゃ、ウマい!
チャーシューは、豚が二枚と鶏が一枚。
豚は脂のサシを含んだもの。ペラペラまでは行かない薄切りで、しつこくならないようにスライスしたように思いました。スープと馴染み、柔らかく優しい味わい。鶏はちょっと厚いムネ。元々淡泊な食材ですが、こちらはスープを吸い、ベストポイントの味に仕上がっていました。
メンマです。
一般的な短冊形・枕木型ではなく、細長いもの。例えるなら、絡み合った毛糸のような形状。カウンターの中、ご主人の横に立っていらっしゃった女性が、ひたすらこれを丁寧にほぐしていました。軽ーく甘辛の味がついていましたが、スープとの相性はバッチリ!
小食のボクですが、あっと言う間になくなってしまいました。
これならば「ご飯」も食べればよかったと、少し後悔しました。
大盛りがない分、よく考えられたラインナップと思いました。
隣の席は地元の常連らしき男性で、ご主人と親しくお話ししていました。北隣の大町市と、東隣の池田町に、新しくラーメン屋さんが開店した話題でした。特に池田町のお店について、ご主人は
「あちらのご主人が東京で修行したお店は、ボクが入っていた処の近くなんです。お互いに切磋琢磨しようと思います」と仰っていました。
ナルホド、東京で修行されたのか…。
帰宅後、少し調べました。
ご主人は千葉県のご出身。あの山岸御大の「東池袋大勝軒」の末期、並み居るお弟子さん達の中でも若手のホープだった、栗山さん(横浜「くり山」店主)と同級生。栗山さんに誘われて板橋大勝軒に入り、次には湯島(現在は御徒町)の「大喜」で修行され、最後に「くり山」に入ったそう。安曇野は奥様の出身地で、独立の地に選ばれたとか。
…こりゃ、おいしいわけだ(笑)。
今度は「ご飯」も食べようと決めました。
それと、池田町のお店にも…。
お店を後にし、閑静な農道で一枚撮りました。
まだツンとした空気、青空を従えて白い北アルプスの姿が目に沁みました。
こんな地でおいしい「らあ麺」に出会い、感動でした。
らあ麺 麦一粒
長野県北安曇野郡松川村字赤芝7002-3
0281-85-0610
11:00-14:00 火休
「麦一粒」さんのツイッターはこちらです。「くり山」さんや「大喜」さん、池田町の新店「大渡」さん等の最新情報が掲載されています。…みんな、仲間なんだなぁ。
「麦一粒」さんのご主人へのインタビューはこちらです。
Posted at 2022/04/10 08:20:38 | |
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