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2019年10月22日

江州屋(埼玉県飯能市)

江州屋(埼玉県飯能市)  19日の土曜日午後。
 地元至近の埼玉県飯能市を訪れました。
 第一の目的は飯能河原に近いアンティーク・ショップの訪問でしたが、明治の時代、飯能が嘗ては西川材を筏にして江戸に送る拠点として栄え、当時の花街の面影が残る建築と町並みが現存することを知り、散策してみたくなったことです。

 有料駐車場にロードスターを停め、傘とカメラを手に飯能のメインストリートだけでなく、横町を縦横無尽に散策しました。「びっくり」と「感動」の連続でしたが、そんな道すがら、こちらのお店が現れました。



 おそらくは明治期、いや、江戸時代の建物の可能性があります(※後述)。
 2階の閉じられた雨戸はトタンではなく、木張り。横一線に連なる手摺は一部が損壊しているものの、大変に凝った意匠です。
 1階の左半分は閉じたままですが、右には灯りが。どうやら、お店として機能している様子です。



 前の写真を撮り終えて道を渡ります。
 お店の前には、こんな物が。
 全て鉄製の小物です。

 恐る恐る中を覗くと、薄暗い奥の右側で人が動く気配がし、こちらを覗うのが見えました。

 「すみませーん。通りすがりの者ですが、こちらはお店ですかー?」

 「はーい」

 綺麗なメゾソプラノの声がし、痩身の女性が出ていらっしゃいました。

 「どうぞー。何もありませんが、ご覧になって下さいネー」

 導かれるまま、店内にお邪魔しました。
 撮り忘れましたが、玄関の敷居は太い材木製で、一段飛び出たもの。
 こんな建物、すっかり珍しくなったよナー、と妙に感動しながら、心の中でヨッコラショと呟いて跨ぎました。



 お店の中央部には、こちらのテーブルが。
 上には鉄製の製品が並びます。
 どうやら「鍋敷き」のよう。

「うちは、主人が鍛冶職人で、この種のものを造っております。この建物は、私の祖父が酒店をやっていたそうです。先祖代々から受け継がれたものです。隣半分は店子に貸していたのだそうです。相続で私が引き受けることになりましたが、空気の入れ替えも兼ねて、週末だけ主人の作品を販売する店として、私が開けております」

 いやー、お話しぶりが立て板に水で、とても頭脳明晰な方です。
 しかも、ちっとも大上段ではなく、とってもチャーミング。
 ご主人が羨ましくなりました。



 洋館の壁際に鎮座するような、暖炉を模した飾り棚の上には、沢山の鉄製品が。3連のハンガーフツクを手に取りましたが、重厚で貫録に満ちたものでした。失礼ながら奥様にお値段を訊きました。
 …ここだけのハナシ、驚くほどの「お勉強」デシタ!



 昭和の時代を彷彿するランプシェード!
 今ではすっかり珍しくなりました。



 西洋建築ばかりをコラージュしたリトグラフが飾られていました。
 この建築にこのセンス、脱帽です。



 白い西洋建築風のドアは仕切りとして存在し、その奥はお店の事務スペース。更にその奥はガラスが嵌められた引き戸で、奥へと延びる通路の右は、一段高い畳敷きになっているのが見えました。言葉足らずで申し訳ありませんが、左側は「土間」になっていて、右側は50センチくらい高い居間としての設計なのかも知れません。
 …とっても、入ってみたかったー…。



 個人的に、最も欲しかったのが、このランプシェード!
 勿論、ご主人の作品だそうです。
 笹や紅葉を彷彿させる複雑な切込みが施され、しかも表面を敢えて「錆」で覆ったもの。赤い錆面が反射する白熱灯の色は、この上もなく優しいものでした。
 
 こういう作品を制作されるご主人。
 先祖代々の旧いお店で販売される奥様。
 インテリジェンスに富んだ、素敵な生き方をされています。
 お手本にしたいと思いました。

 ちなみに、「江州屋」の屋号は「ごうしゅうや」と読むそうです。
 江州とは、今の滋賀県、近江のあたりを指すそうです。
 江戸の人々は「近江」と呼びましたが、関西や長州など、当時の近江より西の地方では「ごうしゅう」と呼んだのだそうです。
 59年近く生きてきて、初めて知りました。

 いつもクルマやバイクで素通りしていました。
 徒歩での散策では、こういう発見もあるのですネー。
 ロードスターやWに乗るのとは、別の楽しみが味わえます。

 奥様、「売らんかな」の態度は全くありません。
 とっても優しく、素敵な女性です。
 こういうオブジェがお好きな方には、太鼓判でお薦めさせて戴きます。


 オマケ

 飯能には、実に魅力的な旧い建物が現存します。
 沢山撮影しましたが、今日は少しだけご紹介します。



 お蕎麦屋さん「時」です。
 蔵をそのままお店にしています。



 うどん屋さんの「古久や」さん。
 江戸時代の建築と聞きました。
 この時、既に看板で、店内ではスタッフの方々が遅い賄いを食べていらっしゃいました。お食事中にお客でもないのに撮影は遠慮しましたが、店内のは造作は江州屋さんの奥とそっくり!



 こちらは、元「住田屋」さん。
 数年前に閉店してしまいましたが、おいしい「ラーメン」と「つけそば」を食べたものでした。
 「つけそば」は今風の「つけめん」とは異なりました。
 今もこのあたりでは、薄い塩味で豚肉と玉ねぎを煮込んで抽出したスープにつれてうどんを食べますが、それを中華麺で出して下さいました。
 閉店は、ボクにはとてもショックでしたっけ…。



 その住田屋さんに残る「料亭」の札。
 この辺りが花街として機能した当時の名残です…。


江州屋(ごうしゅうや)

357-0032
埼玉県飯能市本町2-8

090-6958-7282

※週末に開けるそうですが、確実に訪れたい時は電話で確認して下さいとのことでした。






 
 
 


 
 
 
 
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Posted at 2019/10/22 16:08:08

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