
関東地方でも、めっきり朝が寒くなりました。
平日は始発電車で通勤のため、朝4時40分にロードスターで最寄りの駅へ向かいますが、始動時にタイミングベルトが鳴るようになりました。早朝で近所迷惑になりますので、先週10日の日曜日、座間のアール・エス・アイザワさんで調整して戴きました。
その帰路。
いつもアイザワさんに行く時は、前日までに電話で連絡、朝一番で作業して戴いておりますが、この日は思い立ったが吉日で飛び込みの訪問だったため、時刻は丁度12時近く。何処でお昼にしようかと思った時、直ぐにあるお店が浮かびました。
場所はJR横浜線沿い、矢部駅と淵野辺駅のほぼ中間です。
「佐賀熊本らーめん梅吉」さんです。
ボクはこちらのお店は初めてですが、嘗てここで営業していたラーメン屋さんには、5、6回訪れたことがあります。
暖簾です。
「淵野辺肥後っ子大石家直伝」とあります。
嘗てここに存在したのが大石家さん。
何とも強烈なキャラクターのご主人・大石さんが営んでいらっしゃいました。客との話しに夢中になると1時間もラーメンが出て来なかったり、夏休みを1か月半もとったりと、既存の枠に収まらないお人柄でした。
そんな大石さん、こちらのお店ごとお弟子さんに譲られ、故郷に帰られたのだそうですが、その後お亡くなりになったとか…。
当時ボクは相模原方面には殆ど縁がありませんでしたが、友人と横浜に出掛けたついでに、彼に連れて行って貰ったのが最初でした。そのおいしさとご主人の濃いキャラに惹かれ、1年から2年に一度程度、横浜線に乗る機会があると途中下車して訪れました。
大石さんの後をお弟子さんが継いで「梅吉」さんになったこと、大石さんがお亡くなりになったことは、こちらのご主人のブログで知っておりました。なかなか訪れるチャンスがありませんでしたが、最近ボクの中で熊本ラーメンが中央に寄って来ており、一度行ってみようと思っていたのでした。
「いらっしゃいませ!」
カウンターの中から、ご主人が声を掛けて下さいました。齢の頃は30代半ばくらい。短髪にネガネ、にこやかな表情です。
先客はなし。低いカウンターだけの、猫の額のような店内。しかし厨房とバックヤードは、客席の面積の数倍はあります。
奥には製麺機が鎮座しています。
師匠が使っていたものを受け継いだそうです。
大石家時代のメニューの名称は、全く覚えていませんでした。
ただ、ラーメンを食べたかったのに、「ちゃんぽんにしなョ!」と長崎ちゃんぽんを食べさせられたり、何故かラーメンにタコ焼きがトッピングされていたり、イカゲソをてんこ盛りで出されたことを思い出しました。普通のお店だったらトラブル必至ですが、根っから陽気で嫌味がなく強烈な磁石のようなキャラの大石さん。先が全く読めない彼の行為を、お客さんも楽しんでいたフシがありました。その大前提は「お客さんに、とにかく楽しんで貰いたい、おいしいものを食べさせたい」との、大サービス精神でした。
そんなことを思い出しながら、「黒ラーメン」に「こがしねぎ」のトッピングをお願いしました。全部で950円、こちらは前払い制です。
店内は、綺麗に保たれています。
大石家時代は、薀蓄書きや写真がゴテゴテと貼られていたことを思い出しました。
カウンターの壺の中身は、ガーリックチップでした。
暫くして、ラーメンが出て来ました。
何しろ「マックロケ!」の水面。これは期待です。
具はきくらげ、チャーシュー、のり、それにチーズ1枚、大量のこがしねぎ。チーズを入れるのは、大石家のスタイル。熱いスープに溶け込んでしまわないうちに、麺に絡めて食べるのがコツ。イタリアンちっくな味わいです。
トッピングで追加した大量のこがしねぎはスープを吸い、とても美味しく感じました。これは正解でした。
スープには焦したニンニクベースのマー油が大量に加えられていますが、にんにく臭さや油っ濃さを殆ど感じません。香ばしく優しい味わいで、素直においしく思いました。
麺は自家製。中太の歯ごたえのある食感で、このスープとの組み合わせはバッチリでした。
チャーシューが2枚入ります。
こうして見るとシツこそうに見えますが、薄い塩味の上品なものです。
という訳で、スープ以外は完食しました。
店内に、大石さんの写真が飾ってありました。
少しだけ、ご主人とお話ししました。
大石家の頃が最後でこちらは初めて、埼玉県から来た旨をお伝えすると、大変喜んで下さいました。
大変まじめで物静かな方で、率直に食後の感想を訊かれました。亡き大石さんとは全く逆のキャラクターですが、ラーメン作りに臨む姿勢は師匠譲りです。そして、こういう真逆な二人が互いに認め合い師匠と弟子の関係になり、遂には師匠は店ごと託して帰郷したというのですから凄いエピソードです。
大変美味しく戴いた上、人生の勉強をさせて戴きました。
ご馳走様でした。
また必ず伺います。
佐賀熊本らーめん 梅吉
神奈川県相模原市中央区鹿沼台1-1-1
月-金
11:30-14:00/18:00-20:00
土・日
11:30-14:00
不定休(ご主人のブログで告知があります)
ボクのおすすめ度(味のランキングや評価ではありません)
★★★★★ + ★★
★1つ目の追加は、「とにかく、おいしい」!
桂花とも育元とも異なるスタイルですが、大石さん直伝の立派な「熊本ラーメン」!これは感動しました。
ご主人は、熊本の食材を使っているのでクセがあり、関東の人の舌に合うか、多少不安と語っていましたが、「ゼッタイに美味しい!」と答えました。
★2つ目の追加はご主人の哲学。
亡き師匠の教えとスタイルを守り続け、毎日ラーメンを作っていらっしゃいます。その姿勢に、間もなく59歳になるボクは勉強させて戴きました。
こちらのお店、遠くからでも訪れる価値が、充分にあると思います。
駐車場は店の横に2台分ありますが、狭い一方通行路ですので、コインパーキングの利用が無難です(ボクはそうしました)。
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熊本ラーメン | グルメ/料理
Posted at
2019/11/16 09:02:37