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2019年12月01日

映画「ビル・エヴァンス・タイム・リメンバード」

映画「ビル・エヴァンス・タイム・リメンバード」  2週間前。
 久し振りに川越スカラ座で「あなたの名前を呼べたなら」を見た時のことはご報告済ですが、その時にこの映画が掛かることを知り、楽しみにしていました。今日12月1日、10時30分の上映に行って来ました。

 この映画は、ジャズ・ピアニストとして最も有名な一人、ビル・エヴァンスの人生の、光と影を綴ったノン・フィクション。既に故人ですので、ドキュメンタリーのカテゴリーには属さないように思います。
 
 ジャズと言えば、アメリカのアフロ・アフリカン、平たく言えば黒人の音楽。勿論、ヨーロッパや日本にも多くのジャズメンとマニアが存在しますが、本国アメリカでは嘗て(そして水面下では今も)人種差別が半ば「制度」の如く存在しました。そんな時代に、白人の彼はジャズに魅せられ、ひたすら音楽を愛し、生涯美しき演奏を続けました。



※左からコルトレーン、アダリー、(マイルス)デイビス、エヴァンス

 彼が一躍ジャズ界で脚光を浴びることとなったのが、マイルス・デイビス・クインテットへの参加でした。あの帝王マイルスが、何と若くてハンサム、何処か学者のような容貌の白人を、ピアニストとして採用したことです。マイルスを筆頭に、ジョン・コルトレーンやキャノンボール・アダリーなど、他の4人は全員黒人。そんなクインテットでツアーに出れば、逗留地では当然、黒人客を相手のバーに入ることになります。ビルが飲んでいると、心無い客が「お、白い小鳥がこんな店にいるぞ!」的な嫌味を浴びせられたとか。ところが、コルトレーンやポール・チェンバースが「彼はマイルスが認めたからここに居る」と庇ってくれたとか。ある意味「逆差別」ですが、ビルが凄いピアニストと、他の黒人ばかりのメンバーが認めていたからだと思います。

 彼はマイルスのクインテットを脱退しますが、その半年後。
 マイルス「親分」から電話が入り、レコーディングに呼び出されます。



 帰宅し、探したら出て来ました。
 おそらく、ジャズ史上最も有名なレコード、マイルスの「カインド・オブ・ブルー」。
 
 この映画では、このレコードについても、さらっと触れています。
 マイルス名義の作品、ビルはレコーディングに雇われたピアニストに過ぎませんが、ジャズの「帝王」マイルスと、理論派・理知派・耽美派たるビルとの「対話」と言うに相応しいものです。ビ・バップやハード・バップとは一線を引いた、「美」と「即興」の祭典!ボクも大好きな作品です。
 ちなみに、英文のライナー・ノートは、マイルス名義の作品なのに、何とビルが執筆しています。しかも出出しが「日本には水墨画というものがあり…」。
 
 マイルスは、肌の色に強烈なコンプレックスを持っていたそうです。
 実際、同じ黒人のミュージシャンと映った写真を見ると、かなり濃く思います。ところが、音楽に関しては黒人も白人も全く関係なく、逸早くビルの才能を見抜いて起用したのですからさすがです。しかも、ライナーまで書かせました。如何に信頼していたかがわかります。



 これは、「カインド・オブ・ブルーの真実」という書籍。
 この作品には、実に多くの「謎」があります。
 それを解き明かしていくストーリーです。
 創作ではないので「事実は小説よりも奇なり」そのものです。
 例によって、その内容は「ナイショ!」(笑)

 閑話休題。

 そんなビルですが、私生活は「メチャクチャ!」
 酷いジャンキー(麻薬中毒)だったことは知っていましたが、そんな彼を支え続けた女性への裏切り…。そして、その死。精神的支柱だった兄と、その病気と死。盟友のベーシスト、スコット・ラファロの突然の死…。

 ちっぽけで無名のボクにも、これまでの人生には、それなりの辛苦や悲しみがありました。
 こんなに有名なピアニストでも、例外ではないと知りました。

 デュオでレコーディングした、ヴォーカリストのトニー・ベネット。
 ビルが亡くなる前の、最後の電話での会話。
 こう、言われたそうです。

 「『美』と『自分』だけを追求するのだ。
  それ以外は、全て忘れろ」

 …こんな凡人のボク。
 でも最近、つくづく思います。

 「他人の人生に勝る『宝石箱』はあらず」!

 「製作費ウン十億円!」を謳う超大作映画とは全く異なり、観る者自身にその人生を再考させる映画です。ジャズにご興味がない方でも、苦痛や違和感なく観ることが出来ます。

 なお、「映画」を観ての記事ですが、敢えて「ジャズ」のカテゴリーとしました。
ブログ一覧 | ジャズ | 音楽/映画/テレビ
Posted at 2019/12/01 16:34:22

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この記事へのコメント

2019年12月1日 19:03
ArtBlakeyさん、こんばんは。

ビル・エヴァンスのこのような映画があったのですね、まったく知りませんでした。観てみたかったです。

ビル・エヴァンスといえばマイルスとのエピソードの数々はとても興味深いですよね。私にとっては音楽ももちろんですが、若い頃に中平穂積さんの撮った写真を観たときの衝撃が今も印象的に残っています。

亡くなってしまいましたが中山康樹さんの著書も好きです。彼の痛快ともいえる文章が特に。また読みたくなりました。
コメントへの返答
2019年12月8日 13:57
takebowさん、いらっしゃいませ。

この映画のパンフを購入しましたが、中に見開き2ページで「中平穂積 ファインダー越のビル・エヴァンス」という文章と写真が掲載されています。写真は勿論、中平さんによるもの、文章はディスクユニオンの坂本涼子さんによるものです。当時の経緯が書かれており、大変興味深く読みました。

中山さんの書籍は、ボクはビル関連を読んだことはありませんが、「超ブルーノート入門」「超ブルーノート入門完結編」は、今も時々読み返しております。あの独特の文体で、実に直球で知識を授けて戴いた一人です。


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