
昨日は5月の最終稼働日。
ちょっときつい一日でした。
で、今日は気分転換に、近場へ出掛けました。
以前から存在は知っていました。
五日市駅前から秋川街道を青梅方向に向かった左側にあるはずなのですが、通る度に気付かず「あれっ、今回もわからなかったなぁ…」となっていたのでした。今日は出掛ける前に、インターネットで予習しました。
石畳の先に、左右に石柱の門。その奥に少しだけ見えます。
ロードスターを遠慮がちに進め、門を潜ったところでエンジンを切りました。
降り立った瞬間、思わず呟いてしまいました。
「す、スゲー…」
白亜の二階建てがほぼ半分だけ顔を覗かせていました。
古代ギリシャのドーリア式の柱が目を惹きます。
ボクが立つ左側の建物の前で、白い髭を蓄えた青い作務衣の方が、ボクを見ているのに気づきました。
「すみません、ちょっとだけ見学させて戴けますか」
「どうぞ、どうぞ。ご遠慮なく」
後で分かったのですが、こちら小机家のご当主さんてした。
総二階建て、それぞれに4本ドーリア式の石柱が並び、建物を3つの区画に分けています。バルコニーには西洋風の彫刻が施されたバラストレードが並びます。一方、屋根は純日本風の切妻。典型的な和洋折衷の意匠ですが、大変に美しい姿です。
角の部分には凹凸をつけて、石材が貼られています。
和式の建築では、こういう処理はされません。
二階の雨戸(と表現して良いものかわかりませんが)は鉄製。
赤錆に覆われたフォルムは、白亜の外壁にうってつけです。
キャプション・ボードが設置されていました。
個人のお宅ですが、東京都の有形文化財に指定されています。
ご当主さんから少し説明して戴きました。
建築から今年で144年だそうで、建てたのは小机家の7代目の当主さんだったそうです。これだけ旧く大きな建築を維持するのは。結構なお金が掛かるそうです。
金曜日から月曜日は、喫茶室として営業していますが、このコロナ禍のため、現在は休業中とのこと。
「折角いらして戴いたので、玄関を開けましょう」
「有難うございます!」
あれ、外観とは似ても似つかない、土間のような造りです。
個人的に、この照明に惹かれました。
木と和紙の組み合わせ。
形は独創的ですが、和風の面持ちです。
玄関左には、畳敷きの和室が広がります。
一歩足を踏み入れた途端、外観から抱いた予想を見事に裏切られます。この意表を突く展開、7代目ご当主さんが敢えて意図し、来訪者の反応に
「ウッシッシ!…おぬし、見事に騙されよったナ!」
と、舌を出して楽しんでいたような気がします。
玄関の奥です。
見事な装飾彫りを施された、木製の螺旋階段に目を奪われます。これだけ手の込んだ細工、時間とお金が絶対掛かります。
喫茶店を営業する時、お客さんはここで靴を脱ぎ、奥の部屋に通されるのだそうです。今日は残念ながら、ここまでです。
ちなみに、二階は普段お客さんを入れませんが、不定期でミニコンサートなどを催すことがあると伺いました。
玄関の上には、何か動物の彫刻が。
ご当主さんに伺ったところ、「獏」(バク)だとか。
獏は「夢を食べる」と言いますが、実は食べるのは「悪い夢」だけで、出掛ける時に玄関で悪夢を処理し、体を浄化してくれるように設置したのだそうです。
…うーん、こういう考え方、いいなぁ…。
ご当主さん、大変穏やかで優しい方でした。
突然邸内に入って来た風来坊を追い返すことなく、丁寧な解説付きで案内して下さいました。有難うございました。
コロナが落ち着き喫茶店が再開されたら、必ず伺おうと思いました。
ちなみに、ボクが予習したページをご紹介します。
この建物について、美しい写真と解説つきで紹介されています。
ご興味のある方は、訪れてみて下さい。
ttps://soraironokaze.exblog.jp/238277744/
(頭にhをつけて下さい)
小机邸
東京都あきる野市三内490
【今日の「おまけ」】
小机邸から程近い日の出町大久野に、こんな渋い理髪店があります。
サイドビューです。
2連のピンクの窓枠がお洒落です!
玄関です。
この「渋さ」、目を奪われてしまいました。
今度、切ってもらいに行こうーーっと!
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旧き良き建築 | 日記
Posted at
2020/05/30 16:47:37