
昨日のこと。
坂戸の丸長でざるそばを堪能。満足して川越に向かい、買い物をした帰りのことでした。国道16号線内回りを走行中、衝撃の光景が目に飛び込んで来ました。
16号を横切る西武鉄道安比奈線。
あまり耳馴染みのない路線名ですが、この名を聞いてピンと来る方は、相当の「廃好き」に違いありません。
安比奈線は1963年に運転が中止され、その後半世紀も「休止路線」となっていましたが、2017年になり正式に廃止されました。その後、少しずつ架線と支柱が外されましたが、何と、ご覧のようにレールの撤去が始まっていました。
レールがそのままの「枯れた風景」は何故か美しく、心惹かれるものがありましたが、まさか遂に…。それで、少しだけ現状を見ておこうと思いました。
安比奈線は入間川の砂利を運搬するために、1925年(大正14年)に開業。その後、砂利の需要が下がり運行を中止しました。暫く後に、終点に西武新宿線の車庫を造る構想が浮上しましたが、この計画も頓挫してしまいました。
背後は新宿線から分岐する南大塚駅。足元に少しレールが見えます。
逆の方向です。
左奥に片づけられたレールが見えます。
この地点は踏切ですが、何故か本線と位置がズレております。本来はもっと左でしたが、およそ10年前に、踏切部分だけこの位置に移されたのでした。
16号線を横切った先です。
夏を前に、雑草で物凄いことになっています。
入間川街道との横断部。
まだ撤去はされておらず、
その先にも錆びついたものが見えました。
どうやら、16号線から先は、まだ撤去されていない様子でした。
こんな小さな鉄橋が。
線路の接合部がズレてしまっています。
半世紀の歳月を感じます。
ここは、安比奈線で最も有名なポイント、「緑のトンネル」。
すっかり雑草が跋扈していますが、
秋から春にかけては、こんな幻想的な光景を見せてくれます。
何時だったか、もう20年ほど前のこと。
「枯れの光景」を鑑賞するためにここに佇んでいたところ、南大塚の方からまだ幼顔の若い男性二人連れが歩いて来ました。
「こんにちは!」
関西のアクセントでした。少しお話ししました。
二人は大阪の高校の同級生。鉄道好きで、とりわけ「廃線巡り」がたまらないとのこと。地元関西の廃線は殆ど歩いたそうで、何としても「レールと架線が残る廃線のメッカ」安比奈線を歩きたく、実に日帰りの強行軍で訪れたと言っていました。彼らも今は30代半ばのはず。日帰りで訪れたこの安比奈線の正式廃止を聞き、どんな思いを抱いたのかナァ、と思いました。
あまりにも身近で、そこに存在するのが当たり前になっていた安比奈線。
片づけのし易い南大塚から、いよいよ撤去が始まりました。
草が枯れてから、おそらく作業が再開されそうです。
秋になったらまた訪れ、最後の風景を心に刻もうと思いました。
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廃の美学 | 日記
Posted at
2020/06/21 12:52:27