
4月3日、長野県上田市の戦没画学生慰霊美術館「無言館」を訪れた記事を、以前にご紹介しました。あの時は、ボクという個人の価値観・感性を除外し、可能な限りノンフィクションとして書くことに努めました。暫く間を置いてから続きを書こうと思っておりました。それには、理由があります。
前回ご紹介した、無言館のシルエット。正面中央が入り口になります。
この写真の左手前には、
「記憶のパレット」と名付けられた、絵具を調合し筆に馴染ませる画材をモチーフにした石碑が。こちらに展示されている作品を遺した、戦没画学生の指名が刻まれた、たいへん尊いもの。まさしく「墓碑銘」の団地…。
一方、無言館に向かう坂道の折り返し地点には、この建物が存在します。
タイトル写真にありますが「傷ついた画布のドーム」「オリーブの読書館」。
前に、この巨大なオブジェクト。
横には、灰色の旧式ボスト。
共に、一部に朱色のペンキが…。
2006年6月18日のこと。
上にご紹介した「記憶のパレット」に、赤いペンキが流される事件があったのだとか。それを忘れない目的で、敢えて施したそうです。
ttps://isao3264.exblog.jp/21525313/
こちらで、経緯の詳細と写真を閲覧できます。
このドアを開けて入ります。
館内は撮影禁止。「無言館」のH.P.で公開されている写真をお借りしました。
ドーム状の天井全面に、描かれた画布が…!
見上げるボク。
無念を抱いて亡くなった学生さんたちの魂がベクトルとなり、ボク一人に降臨されました。見上げながら、とめどなく涙が溢れました。「ひめゆりの塔」を訪れた時、生き残った方の生々しい証言に涙したことはありましたが、静謐な空間でたった一人、天を見上げてこんな体験をしたのは、60年の人生で初…。
キリスト教会の天井が高く造られている理由が、少しだけ理解出来ました。
併設されている図書室。
美術系の膨大な蔵書!
自宅が至近だったら、毎日通いたくなりました。
こんなボードがありました。
「オリカケノツル」。
タイトルだけで、全てが理解できます。
本館で買ったある作品の絵葉書に、今の気持ちを書いて投函しました。
「右」とか「左」で一括りし、「反対」「賛成」を数の論理で押し切る風潮は不毛と再確認しました。国家の論理で未来を絶たれ、還って来れなかった若人が存在した事実は、今や詭弁がまかり通るに至った答弁や喚問でも、決して覆すことは出来ません。
ボクは「防人」の息子を持つ、「上級国民」ではない父親…。
彼が「殺し」たり「殺される」事態は、断じて許し難きことと確認した一日でした…。
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Posted at
2021/06/27 16:06:21