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2022年05月22日

耕心館 (東京都西多摩郡瑞穂町)

耕心館 (東京都西多摩郡瑞穂町)  昨日5月21日、土曜日。
 朝から家の片付けを始め、土曜は半日だけ開いている市のクリーンセンターを2往復、ガラクタを持ち込みました。1階トイレ前、半間の収納を開けると、あるわ、あるわ…。鉄アレイやら、海外でも使える変圧式の湯沸かし、未開封のチャイナガウンや壁かけのソーラー時計…etc。いい加減、嫌になっておりますが、布団、親父が遺した大量の本、お袋が棚に「飾っていた」だけの食器類を除けば、ほぼ6割の処分が済みました。
 という訳でクリーンセンターからの帰路、ランチを兼ねて至近の名所を訪ねました。



 東京の西、西多摩郡瑞穂町にある「耕心館」。最寄り駅は八高線の箱根ヶ崎ですが、徒歩だと30分以上かかると思います。

 こちらは嘗ての豪商、細渕家の屋敷。竣工は江戸末期から明治初期とされておりますが、どうも定かではない模様。現在は瑞穂町が買い取り、非営利の催事に使われています。キャプションにあるように、社会教育施設としてのスタンスで運営されています。



 門を潜ります。
 正面が母屋。イベントスペースやレストランがあります。
 右側は事務所として使われていますが、嘗ては細渕家が製造した醤油の販売所だったとか。長野県須坂市の旧小田切家住宅にも、同様のものが存在したことを思い出しました。



 玄関ホール。
 剥きだしの無骨な梁と白い漆喰の対比が目に染みます。
 正面の階段は、まるでフランスの宮殿のような意匠。江戸から明治の建築なのに、和洋折衷の不思議な空間です。
 階段右奥は展示スペースで、展覧会などに使われます。この日は催しがなく、入ることは出来ませんでした。



 嘗てはおそらく、上がり框だったのかも。大理石の段差を上がります。



 シャンデリアが優しい光を放ちます。



 ロココ調のカラフルなドレスを纏ったご婦人が、裾を持つ従者とともに降りて来そうな階段。ここで新郎新婦が記念写真を撮ると、一生ものになりそう…。



 後ピンになってしまいましたが、手摺の先端。実に凝ったデザイン。製作はさぞ手が掛かったと思います。



 右はレストラン。
 こちらは後回しにし、先に2階を見学します。



 2階から見下ろしたところ。
 階段スペースの意匠は1階からここまで続きますが、



 一転して「和」の空間が広がります。
 天井は低く、三角屋根の構造。
 嘗て細渕家はここで、養蚕を営んでいたのだとか。
 窓際の正面は、所謂「バンドスタンド」、右端にはグランドピアノがあります。ここではコンサートや詩の朗読会が催されるのだとか。



 大きな窓から庭が見えます。



 その上には、こんなステンドグラスが。
 細かなデザイン、ガラスの切削と嵌め込みに、とてつもない手間と時間が掛かったはず、と思いました。



 窓際から階段の方向を振り返ったところ。
 これはおそらく「大黒柱」。
 1階の玄関スペースには見えなかったので、壁裏などに存在すると想像しました。



 さて、1階へ降りレストランへ。
 欧風カレーセット(1180円)に、食後のコーヒー(200円)をお願いしました。



 食事が届くまで、見学しました。
 庭を隔てる大ガラス窓の手前には、立派な鴨居。
 嘗てここに障子があり、その向こうは廊下だった模様。



 カーテンは、分厚く瀟洒なもの。まるで「緞帳」!
 束ねる房も、実にゴージャス。



 廊下の突き当りは「電話室」。
 ガラスには特注で「電話七番」の文字。
 当時、交換手に「7」を告げるだけで、こちらに掛かった時代…。携帯電話が消耗品となった現代とは、隔世の感があります。



 電話機は昭和27年製ですが、寄贈とありますので、当時ここで使われていたものではなさそう。


 
 ここにもステンドグラス。



 電話室上の柱頭。洋風建築の味わい。
 ガラスには樹木のようなデザインが施されています。



 電話室扉の握り。
 マイナス螺子が使われています。



 廊下のカーテンレールは、太い金属パイプ製。あのカーテンはかなりの重量、こんなにしっかりとした真鍮の支えが必要と想像しました。



 このレストラン空間には幾つもの鴨居が存在、和室として区切られていたものを改装、広い空間にした模様。昭和の末期にフランス料理店として開業したそうです。玄関周りや階段も、その頃に改装したと思われます。
 各鴨居には、その金属製の飾りがあしらわれています。お店の方に何かをお訊きしましたが、わからないとの返答でした。



 この鴨居だけは色合いが異なり、罅割れもありません。飾りもなし。
 老朽化などのため、改装時にリプレイスした可能性があります。



 個室がありました。
 予約客などを通すのでしょうか。



 個室裏には、離れの「書院」に繋がる廊下が。
 靴を脱いで上がります。



 突き当りには、風流な丸窓が。



 書院の内部全景。
 こうして見ると特段変わったことがなさそうですが、



 これには驚かされました。
 …これ、何と「障子」!
 二枚に渡る木の細工、実に素晴らしい作品です。
 こんなに手の込んだ障子、初めて見ました。



 もう一つが「採光窓」!
 八角形の開口部に、蜘蛛の巣状に切り嵌められた曇り硝子。
 所謂ステンドグラスを、単色で作ったもののよう。
 幾何学的なデザインは、和の雰囲気を壊さず、却って溶け込んでいます。
 ここだけ切り取り、持ち帰りたくなりました。



 さて、食事です。
 カレー、サラダ、スープのセットで1180円。プラス200円でコーヒーもお願いしました。お味はごく普通。公共施設のレストランとしてはお高いとも言えますが、この建築物の維持管理には相当の経費がかかるのは明らか。文句は一つもありませんでした。



 食後、外を見学しました。
 庭から見たレストラン。
 出桁造り的な様式。
 1階の改装前の姿を見てみたかったナァ…。



 小雨に、大きな花がしっとりの姿…。



 土蔵がありました。





 残念ながら、非公開でした。



 酒造りに使われた釜とのこと。
 細渕家とは、直接関係がないようです。





 駐車場の隅には、煉瓦の煙突が残っています。
 細渕家は戦後、煉瓦も製造していた時がありましたが、その名残とか。



 日光街道沿いに、白い漆喰と下目張りの外壁。
 のどかなこの地にあって、嘗ての栄華が偲ばれます。

 細渕家が養蚕、醤油、煉瓦を生業としていたことは分かりましたが、その栄枯盛衰を時系列に紹介した展示や解説がないのが、唯一残念でした。
 でも、ボクのように旧い建築に心惹かれる方には、お薦めの場所です。


耕心館

東京都西多摩郡瑞穂町大字駒形富士山317−1
042-568-1505

10:00〜21:00
休館は、第3月曜日(国民の祝日にあたるときは翌日休館)、年末年始




 



 
 




 
ブログ一覧 | 旧き良き建築 | 日記
Posted at 2022/05/22 09:26:46

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