
長かった夏が終わり、待望の秋が漸く訪れましたが、皆様お元気でいらっしゃいますでしょうか。ボクは5か月間のプータローを経て、この10月から再就職しました。今日はこの間、に経験から感じ得たことを書き綴ってみようと思います。堅苦しいテーマの上、長くなると思いますので、興味のない方はスルーされて下さい。
① 再雇用制度の拡大と事実上の「定番化」への対策
大中小を問わず、この国の企業は60歳定年、65歳までの雇用義務化を受け、再雇用制度を導入。役職剥奪、給与の大幅減は既成事実となり、定年以降の労働条件は劣悪となりました。にもかかわらず、65歳までの5年間は「国が一方的に義務化したから、仕方なく置いてやる」的な制度として定着してしまいました。これとて65歳になれば「やっと出て行ってくれるか、縁が切れてせいせいする」とばかり「ポイ捨て」されるのが実態…。ボクは65歳以降も働き続けたかったため、64歳で支給開始となる特別支給の年金と、150日間の失業保険が一直線に並ぶタイミングを見計らい、退職して再就職を目指す計画を立てました。丁度そのタイミングで40代の上司と衝突、結果的には尻を押される形で辞めました。
現在再雇用中の方で65歳以降も働き続ける意志をお持ちの方は、早くからの対策が必要と考えます。不遇に甘んじ、耐え忍ぶ日々を重ねるだけでは、道は拓けません。
② 早期立案、早期実行
ボクは結果的に資格取得に失敗しましたが、その原因は記憶力と精神力の衰退が原因でした。62歳と半年で始めましたが、「あと5年若かったらなぁ…」と、失敗という事実を突きつけられた時に思いました。理想的なのは50歳からの開始。直後から、若い人が1年で取得可能なことでも、そう簡単には行かない現実を体感するはず。長期戦が必要と悟れば、数回の失敗にも充分耐えられると感じます。
仮に、30歳でお子さんが産まれた場合、もう20歳。手は離れています。学費や住宅ローンなどの出費が残っている年代ですが、収入もそれなりのはず。生活を見直し無駄を削げば、必要経費くらいは捻出可能なはず。人によって異なりますが、例えば酒、ゴルフ、観光旅行など、対象となりそうな出費は、誰にでもあります。
③ 貧困なる年金政策
若い方で、年に一度届く「年金定期便」を真剣にご覧になっている方は稀と思いますが、50代以降の方でも決して少なくないと感じます。改めて金額を確認すると、想像以上の低さに腰を抜かされるはず。これだけ低額なのに、支給開始は少しずつ後送りされ、男性なら1961年4月2日以降に誕生された方からは一律65歳になります。しかも今、水面下では「70歳支給開始」に向けて準備が進んでいます。65歳定年、70歳までの雇用義務化が導入されれば、現在ですら残酷な再雇用制度は、益々劣悪なものとなります。企業側からすれば、既に「お役御免」にしたい労働者を嫌でも雇用し続けなければならず、黙っていても人件費が上昇します。
④ 国際情勢のドラスティックな変化
今回、トランプが返り咲いたことにより、「アメリカ第一主義」が強まるのは確実。民主党政権が招いた住宅価格の高騰や止まりを見せぬ物価上昇、増加する移民問題などへの不満を、巧みに吸い上げた結果の勝利。既にメキシコや中国産品への課税を強化すると発表、保護主義化とポピュリズムの益々の強化が懸念されます。メキシコに工場を持つ日産等の企業も対象で、海外に製造拠点を持つ日本企業は、対米貿易で経費が高騰します。また円安の現状では、輸入価格の低下は考えにくく、この国の経済の回復は、なかなか見込めません。これらの要因が雇用に与える影響は、想像に難くありません。
⑤ AIの導入進展
現時点では限られた範囲ですが、このジャンルの伸張速度は目まぐるしく、その成長は確実に人の労働を奪います。現在、ホワイトカラーとされる人々の仕事も例外ではなく、就労人口のシュリンクが想定されています。生活維持のため、ホワイトカラーからブルーカラー職種に転じざるを得ない人が今後相当数発生すると、ボクは考えています。余談ではありますが、今回の再就職では総務管理職としてのキャリアが生きましたが、業種的には底辺、待遇は役職・昇給・賞与・交通費なし。完全なブルーカラー。それでも社会保険と厚生年金に加入できることを、有難く感じております。
ほぼ20年前、マーケティング部門に勤めていた当時。会社で「日経ビジネス」の表紙を見た時のショックを覚えています。特集のタイトルは「あなたが非正規雇用になる時」。記事を読み震撼しましたが、現実になりつつあると感じています。
⑥ 働く者と政治の乖離
今回、日産が全世界で9万人の人員整理を発表しました。負の影響が巻き起こるのは確実ですが、その程度は想像不可能。過去には、予想外の松下電器によるリストラ、地上から消えた山一證券がありました。記憶に新しいのは、そごう・西武による池袋本店売却問題。労働組合の組織率は低下の一途、その全国組織は下に目を配らず、事実上、政党の集票マシンと圧力団体としてしか機能していない印象。老後も生活を維持するために不可欠な制度の構造が、根本から揺らいでいます。
⑦ 自らの暮らしは、自ら守り維持しなければならない時代の到来
国も会社も労組も年金制度も、我々働く者を守ってくれない時代が到来したと痛感しています。人生の終着駅が見え始めたボクは、それでも独り、今後も生きて行かなければならない現実を、毎日噛み締めています。
皆様は如何でしょうか?
ブログ一覧 |
定年・再雇用、その先の人生 | 暮らし/家族
Posted at
2024/11/10 06:11:01