
ボクは東京生まれの東北育ち。
親父の本家のルーツは新潟県長岡市。お袋の実家は、もうなくなってしまいましたが日本橋の外れの霊岸島で、チャキチャキの江戸っ子。そんな訳で、幼少期から高校を卒業し上京するまで、関東的なものを食べて育ちました。
高校を卒業と同時に浪人となり、上京して予備校に通いました。
当時借りたアパートは、東横線の学芸大学駅から徒歩2分。高架沿いの、電車が来ればガタガタ揺れる4畳半でした。授業の後は、夜9時まで開いている予備校の自習室で勉強、帰路に外食で夕食を済ませ、一旦アパートに帰り銭湯に行く日々でした。
ところが、日曜日は予備校も休みなので、地元の図書館に行き勉強しました。
ある日のこと。
帰りに東口商店街をぶらぶら歩いていた時でした。
駅から少し離れた左側に「熊本ラーメン」と書かれたお店を発見しました。開業間もない様子で、明るく清潔感溢れるお店。あたりに漂う豚骨を炊く臭いに誘われ、つい入ってしまいました。
メニューを見ると「太肉麺(ターローメン)」が目に飛び込んで来ました。
豚の角煮状のごろっとした肉を添えた豚骨ラーメン、お店で最も高い値段でしたが、直感的にオーダーしました。
さて、出て来たものは、生まれて初めての味でした。
豚骨を長時間煮て抽出した白いスープに、焦がしたニンニクを原材料に、ラードで精製した黒い「麻油(マーユ)」が垂らされていました。麺は太目で縮れのないタイプ。まるで生煮えかと思いましたが、不思議とこのスープにビッタリでした。太肉はトロトロで美味しく、感動しながらあっと言う間に食べてしまいました。以来、日曜日の夜は、ほぼこちらに通いました。なのに何故か屋号をはっきりと覚えておらず「熊本ラーメン 清●」だったような気がします。
猛勉強の結果、1年後に無事大学に入りました。
音楽、小説、酒が好きな連中ばかりが不思議に集まり、歌舞伎町でお酒を飲む機会が多くなりました。
そんな時。
飲み屋からの帰路、ラーメン好きのK君が「桂花に行こう」と提案しました。果たして出て来たラーメンに、皆驚いていました。ボクは桂花は初めてでしたが、学芸大学の清●で頻繁に食べていたので、大して驚きはしませんでしたが、新宿にも熊本ラーメンのお店があると初めて知ったのでした。
その後、清●は閉店してしまい、新宿の桂花に通うに至りました。
以来40年間、ボクは桂花に通い続けています。
経営危機に見舞われた時もありましたが、流行廃れの多い飲食の世界で、40年以上も営業を続けているのは、大したものだと思います。
この日訪れたのは、渋谷センター街のお店。
40年前、桂花は新宿に3店だけでしたが、今では池袋や渋谷でも味わえます。
「いらっしゃいませー!」
入口右の券売機で食券を買います。
毎回決まっての「太肉麺(1000円)」、今日はトッピングに「味玉(100円)」と「ねぎ(100円)」を追加しました。
店内です。
2階にも客席があり、店の前に行列することはありません。
「おまちどうさまー!」
相変わらず「オイシソー!」
具はメインの太肉のほか、キャベツ、メンマ、味玉1/2、茎ワカメ、ねぎ。
これらが揃って、初めて桂花の「太肉麺」と言える気がします。
麺は太目のストレート。硬い茹で加減で、このクリーミーでニンニク味のオイルが浮かぶスープにはうってつけ!毎回、ハフハフ言いながら啜っております。
生のキャベツです。
これがまた、スープとの相性がバッチリ!
デフォルトで味玉1/2が入りますが、今日は1個追加しました。
黄味にスープが沁みると、これまた、「ウマーーー!」
太肉は脂身が「テロンテロン」の状態!
どうやら、一度煮たものを蒸しているような気がします。
口の中で溶けてしまいます。
茎ワカメです。
コリコリとした食感がグー。
脇役ですが、絶対必要な具材です。
という訳で、完食しました。
若い頃にはスープも全部飲んでいましたが、あとひと月で59歳になる今では、胃もたれしてしまいます。美味しいのですが、ここはグッと我慢です。
桂花の本店は熊本。
東京に「熊本ラーメン」を伝道した存在です。
味わったことのない方は、是非一度、お試し下さい。
桂花ラーメン 渋谷センター街店
150-0042
東京都渋谷区宇田川町27番1号
03(3462)5231
住所
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町27番1号
電話番号
03(3462)5231
営業時間
月~土:11:00~23:00(L・O)
日:11:00~22:30(L・O)
ボクのおすすめ度(味のランキングや評価ではありません)
★★★★★ + ★
★1つプラスは、関東における熊本ラーメンのスタンダードとしての存在が故です。今では関東にも「熊本ラーメン」を標榜するお店は沢山ありますが、こちらはそれらの「物差し」と言っても良いと思います。もし他のお店で「熊本ラーメン」を食べて良い印象を持てなかった方は、一度暖簾を潜ってみて下さいね。
Posted at 2019/10/20 08:49:34 | |
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熊本ラーメン | グルメ/料理