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2020年08月15日 イイね!

Jazz & Coffee Bud (長野県上高井郡小布施町)

Jazz & Coffee Bud (長野県上高井郡小布施町) 8月8日。
 ながでん延徳駅で信州中野丸長さんのつけ麺を堪能し、小布施に向かいました。

 須坂市と中野市の中間に位置する小布施町は、北斎館を筆頭に各種の博物館が多数存在します。「カルチャー・タウン」と言うに相応しく、こじんまりとした街には統一感ある意匠の建造物が並び、観光地として機能しています。

 今日の目的地はこちらです。



 穀平味噌醸造所の南側に伸びる袋小路の突き当り。
 屋根の高い味噌蔵を思わせる建物。
 ここはジャズ喫茶「Bud」さんです。
 車を停めてドアを閉めると、中からピアノの音が聞こえました。



 入口右に、丸テーブルが置かれています。



 上には、懐かしい黒電話が!
 昔、日本橋は霊岸島の祖母宅にあったのがこのタイプ!
 ダイヤルを廻すと、内臓されたバネが押し戻す機構。その感触が楽しく、バアちゃんから「壊れるから止めなさい!」と叱られるまで続けたものです。



 玄関の引き戸です。
 店主の高齢化、デジタル音楽の主流化など様々なことが重なり、全国的にジャズ喫茶は減少の傾向です。おそらく、一棟丸ごとジャズ喫茶として営業中のお店は、全国的にも珍しいと思います。



 蚊取り線香の缶の下、コンクリートの土台にはこんなサインが!
 この書体、お洒落です。



 引き戸を開けると、60台半ばと思われるご主人が迎えて下さいました。
 蔵に特有の高い天井と、張り巡らせた梁、白い漆喰の壁が、独特の雰囲気を醸し出します。

「すみません、写真を撮ってもよろしいでしょうか?」
 ご主人、笑顔で
「どうぞ、ご遠慮なく」

 この写真は、玄関から左側を臨んだもの。
 お店のメイン・スペース。
 最深部には、ピアノやスピーカーが見えます。



 こちらは玄関から右を臨んだもの。
 短いカウンター席になっています。
 その上には2階部分がありますが、バックヤードだそうです。



 5灯のライトが吊り下がります。



 書棚には、ジャズ関連の書籍が詰まっています。
 自由に読むことが出来ます。





 さて、こちらのオーディオはどんなものかと見ると…!

 ドギモを抜かれてしまいました。
 何と、ウェスタン・エレクトリック社製ではないですか!

 ウエスタン・エレクトリック社の主要事業は、通信会社AT&T社用の電話機の製造でした。その一方、映画館用のサウンド・システムを提供していました。当時、プリアンプは真空管を使用した低出力のものが主流。それを如何に臨場感溢れるサウンドに拡張し、映画館に満たすかが設計思想でした。換言すれば、同社のパワーアンプやトランス、ネットワークといった機材が存在するということは、真空管時代の機材でオーディオ・システムを構築しているということです。
 


 蓄音機です。
 蓋の内側にニッパー君のイラストがありました。
 …すげー…。





 プレイヤー2台。
 それぞれ横には、真空管アンプが寄り添います。



 左スピーカーの手前には、グラウンドピアノがあります。
 後でご主人から、たまにライブを企画しているとお聞きしました。

 なお、スピーカー単体の写真を撮り忘れましたが、少し写っています。おそらくアルテックA7だと思います。



 何気なく壁の上を見てビックリ!
 ブルーノートの5000番台がズラリと並んでいます。
 これは有名な「バードランドの夜」。
 12インチのLPではvol.1、vol.2の2枚。
 これらのオリジナルは10インチの5000番台で、3枚で発売されたものでした。
 ボクは初めて目にしました。



 こちらは主に、夭折の天才トランペッター、クリフォード・ブラウンの10インチ作品。暫く呆然と見つめてしまいました。



 店内を一巡して、漸くカウンターに座りました。
 コーヒーを飲みながら、ご主人と少しお話ししました。
 さすがウェスタン・エレクトリックでシステムを構築されている方。デジタルの時代となり、音楽も「鑑賞」ではなく「消費」の時代になってしまったと嘆かれていました。ボクはレコード会社に20年勤めてリストラされた経験を語り、文化としての音楽が終焉近いこと、他のカルチャーでも、NHKか民放かを問わず、テレビがすっかり駄目になったとお話ししました。お互いに感じていることが極めて近く、暫く文化論を語り合いました。

 大変楽しいひと時を過ごすのと同時に、勉強させて戴きました。
 また伺います。

Jazz & Coffee Bud

長野県上高井郡小布施町伊勢町735-1
026-251-4033

11:30-17:30
月・火・水休




Posted at 2020/08/15 08:10:44 | コメント(0) | トラックバック(0) | ジャズ | 音楽/映画/テレビ
2019年12月01日 イイね!

映画「ビル・エヴァンス・タイム・リメンバード」

映画「ビル・エヴァンス・タイム・リメンバード」 2週間前。
 久し振りに川越スカラ座で「あなたの名前を呼べたなら」を見た時のことはご報告済ですが、その時にこの映画が掛かることを知り、楽しみにしていました。今日12月1日、10時30分の上映に行って来ました。

 この映画は、ジャズ・ピアニストとして最も有名な一人、ビル・エヴァンスの人生の、光と影を綴ったノン・フィクション。既に故人ですので、ドキュメンタリーのカテゴリーには属さないように思います。
 
 ジャズと言えば、アメリカのアフロ・アフリカン、平たく言えば黒人の音楽。勿論、ヨーロッパや日本にも多くのジャズメンとマニアが存在しますが、本国アメリカでは嘗て(そして水面下では今も)人種差別が半ば「制度」の如く存在しました。そんな時代に、白人の彼はジャズに魅せられ、ひたすら音楽を愛し、生涯美しき演奏を続けました。



※左からコルトレーン、アダリー、(マイルス)デイビス、エヴァンス

 彼が一躍ジャズ界で脚光を浴びることとなったのが、マイルス・デイビス・クインテットへの参加でした。あの帝王マイルスが、何と若くてハンサム、何処か学者のような容貌の白人を、ピアニストとして採用したことです。マイルスを筆頭に、ジョン・コルトレーンやキャノンボール・アダリーなど、他の4人は全員黒人。そんなクインテットでツアーに出れば、逗留地では当然、黒人客を相手のバーに入ることになります。ビルが飲んでいると、心無い客が「お、白い小鳥がこんな店にいるぞ!」的な嫌味を浴びせられたとか。ところが、コルトレーンやポール・チェンバースが「彼はマイルスが認めたからここに居る」と庇ってくれたとか。ある意味「逆差別」ですが、ビルが凄いピアニストと、他の黒人ばかりのメンバーが認めていたからだと思います。

 彼はマイルスのクインテットを脱退しますが、その半年後。
 マイルス「親分」から電話が入り、レコーディングに呼び出されます。



 帰宅し、探したら出て来ました。
 おそらく、ジャズ史上最も有名なレコード、マイルスの「カインド・オブ・ブルー」。
 
 この映画では、このレコードについても、さらっと触れています。
 マイルス名義の作品、ビルはレコーディングに雇われたピアニストに過ぎませんが、ジャズの「帝王」マイルスと、理論派・理知派・耽美派たるビルとの「対話」と言うに相応しいものです。ビ・バップやハード・バップとは一線を引いた、「美」と「即興」の祭典!ボクも大好きな作品です。
 ちなみに、英文のライナー・ノートは、マイルス名義の作品なのに、何とビルが執筆しています。しかも出出しが「日本には水墨画というものがあり…」。
 
 マイルスは、肌の色に強烈なコンプレックスを持っていたそうです。
 実際、同じ黒人のミュージシャンと映った写真を見ると、かなり濃く思います。ところが、音楽に関しては黒人も白人も全く関係なく、逸早くビルの才能を見抜いて起用したのですからさすがです。しかも、ライナーまで書かせました。如何に信頼していたかがわかります。



 これは、「カインド・オブ・ブルーの真実」という書籍。
 この作品には、実に多くの「謎」があります。
 それを解き明かしていくストーリーです。
 創作ではないので「事実は小説よりも奇なり」そのものです。
 例によって、その内容は「ナイショ!」(笑)

 閑話休題。

 そんなビルですが、私生活は「メチャクチャ!」
 酷いジャンキー(麻薬中毒)だったことは知っていましたが、そんな彼を支え続けた女性への裏切り…。そして、その死。精神的支柱だった兄と、その病気と死。盟友のベーシスト、スコット・ラファロの突然の死…。

 ちっぽけで無名のボクにも、これまでの人生には、それなりの辛苦や悲しみがありました。
 こんなに有名なピアニストでも、例外ではないと知りました。

 デュオでレコーディングした、ヴォーカリストのトニー・ベネット。
 ビルが亡くなる前の、最後の電話での会話。
 こう、言われたそうです。

 「『美』と『自分』だけを追求するのだ。
  それ以外は、全て忘れろ」

 …こんな凡人のボク。
 でも最近、つくづく思います。

 「他人の人生に勝る『宝石箱』はあらず」!

 「製作費ウン十億円!」を謳う超大作映画とは全く異なり、観る者自身にその人生を再考させる映画です。ジャズにご興味がない方でも、苦痛や違和感なく観ることが出来ます。

 なお、「映画」を観ての記事ですが、敢えて「ジャズ」のカテゴリーとしました。
Posted at 2019/12/01 16:34:22 | コメント(1) | トラックバック(0) | ジャズ | 音楽/映画/テレビ

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