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2022年09月04日 イイね!

新駒書店(長野県南佐久郡佐久穂町)

新駒書店(長野県南佐久郡佐久穂町) 昨日9月3日、土曜日。
 10時20分。橋の袂の「カレー屋ヒゲめがね」さん店頭の受付簿に名前を書き、至近にあるこの日のもう一つの目的地へ向かいました。



 ここは「新駒書店」さん。旧街道の商店街にある古民家を改装した書店。二週間前に「ヒゲめがね」さんが長蛇の列で諦め、帰宅後に調べていてこちらの存在を知りました。前回は全くノーマークでしたが、昨日は胸を躍らせて向かいました。



 週に4日の営業です。



 玄関扉を開けて「こんにちはー」と挨拶すると、左側からご主人が顔を見せて下さりました。初めての訪店をお伝えすると、「どうぞ、ゆっくりして行って下さい」と歓迎されました。

 正面の白い書棚の上には、何と白石一文さんの新刊「道」がディスプレイされ、横には直筆の口上が記された色紙が!最初からドギモを抜かれました。こちらのご主人、タダモノではない!



 会社で日経、自宅で朝日を読んでおり、土曜日の書評は毎回、楽しみにしております。この朝日の書評、読んだ記憶があります。ですが今回、この本は買いませんでした。東京でも手に入るから…でした。



 古民家のため、お店には靴を脱いで上がります。
 反対側から見たところです。



 右側の階段下は、絵本のコーナー。
 その左に、文庫本の書棚。
 何と、ボクが愛して止まぬ谷川俊太郎さんの詩集「二十億光年の孤独」が!
 これを読んだのは、遥か彼方の大学生時代。ラストの「黄金の魚」を読んで涙が出たことを、昨日のように覚えています。今でも家の何処かにあるはず…。



 お洒落な洋風のディスプレイ。
 釘を打たれたままの鴨居と、よくマッチします。





 書棚は、大雑把にテーマごとに分けて収納されています。
 「八ヶ岳」だったり「佐久地方」だったり「お料理」だったり…。
 来訪客は、興味のあるカテゴリーごと見れるので、探しやすく親切。



 以前にご紹介した北杜市の「チームシェルパ」は、こちらの著者たるシェルパさんの奥様のお店。「滅多に帰って来ない」と屈託なく話す、明るい奥様の顔を思い出しました。
 右にある「チルルンびと」と「住む。」二冊を選びました。



 フェイス陳列の什器は、箪笥の抽斗。
 松本市の栞日さんを思い出しました。
 時計も収まっていますが、その左横には関連書籍がありました。



 いかりや長介さんの「だめだこりゃ」が目に留まりました。
 あまり知られていませんが、ドリフは元々、ジャズバンド。腕は同時期のクレイジーキャッツより劣りますが、コミックバンドとしては遥かに成功しました。戦後の歌謡界の舞台裏が書いてあればいいな、と期待し、手に取りました。



 急な階段を上がり二階へ。



 低い天井は、信州地方の民家の特徴。でも不思議と圧迫感はありません。
 こちらには洋書と漫画が置かれていました。



 洋書のコーナー。



 階段には上から「蓋」が出来るようになっています。
 この辺りは、山岳を除き日本で最も標高が高い地域。
 お店の裏を走る小海線の野辺山駅は、旧国鉄で最も高所の駅。
 冬の寒さが想像できます。



 窓際のソファ。
 テーブル上には、動物の写真集が三冊。
 犬好きのボクは真ん中を欲しかったのですが、既にかなり手にしていたため、今回は見送りました。



 一階に降りお支払いをしようとすると、ふとこの本が目に留まりました。
 まさしく、今ボクが抱えているテーマ。
 中も見ずに購入を決めました。



 ご主人を紹介する朝日新聞の記事がありました。
 お会計後、少しお話ししました。
 近谷さんは立命館大学を出て単身渡米、演劇を学びました。が、人種差別がまかり通る中、まともな役がもらえなかったことも。帰国後は翻訳を業務とする会社に入社。ドイツで行われたブックフェアでは、欧米の会社には出版権を買うべく各国の会社が長蛇の列。対するアジアの会社には閑古鳥…。アメリカでの経験が蘇り、悔しい思いをされたとか…。その経験から、邦人作家の海外出版の代理人を始め、16年には日本人作家の作品を海外に紹介する出版社を設立しました。

 佐久穂町への移住は19年。
 先にご紹介した「ヒゲめがね」さんと同じく、お子様を私立大日向小学校に入学させることが目的だったそう。新型コロナの影響から、海外とはネットでやりとりしているそうです。

 こちらのお店、元々は「新駒食堂」というお店で、90歳まで女性が切り盛りしていたとか。ご主人は満鉄(日本の国策会社、南満州鉄道)に勤めていたそうで、敗戦後に引き上げて始めたとか。すでに93歳でお亡くなりになったそうですが、その店舗をお借りして開店されたそうです。店名はそのまま継承したのだとか…。

 この先の生き方を模索しているボクにとり、大変貴重なお話しをして戴きました。最近、つとに思いますが、人様の人生、生き様は、どれも皆「お手本」!ボクは頑張っても、せいぜい80年程度。それとはまったく異なる人生経験をした人が10人いれば、800年分の知識や経験が存在します。これを学ばない手はないと感じております。

 再訪をお約束し、お店を後にしました。



 帰宅後、テーブルに並べて撮影しました。
 暫くは通勤電車で楽しめそう…。
 楽しい一日でした!


新駒書店

長野県南佐久郡佐久穂町高野町2914

営業日と時間は、記事中の写真をご覧ください。



【今日の「おまけ」①】



 新駒書店のお隣は元洋品店、アクセサリーの体験製作工房!
 還暦越えのチョンガーには、ちょっと縁が遠い印象。
 ちょっとだけ見学しましたが、インテリアは秀逸!
 本当はご紹介したかったのですが、お支払いなしで撮影はお願い出来ませんでした。結婚指輪を作りに来るカップルが多いと聞きました。

【今日の「おまけ」②】



 ちょっと車を走らせると、国道299号線に出ました。その終点は、自宅至近の埼玉県入間市の小谷田交差点。おそらく、佐久穂からは最短距離。

 …が、この先は関東でも有数の「酷道」!擦れ違いも困難な道が続きます。特に昨日のような天候では、絶対に避けるべき…。上信越に向かいました。



 案の定、軽井沢ではこんな霧が!
 これでも多少薄くなり、視界が見えた時に当てずっぽうにシャッターを押したもの。299に行っていたら…。


Posted at 2022/09/04 10:30:32 | コメント(0) | トラックバック(0) | 書店 | 趣味
2022年09月04日 イイね!

カレー屋ヒゲめがね(長野県南佐久郡佐久穂町)

カレー屋ヒゲめがね(長野県南佐久郡佐久穂町) 昨日9月3日、土曜日。
 二週間振りに、長野県須坂市を往復、450キロを走りました。先週の1000キロ点検で合格点を貰い、5000までを許されましたが、そんなに「出せる」ものではありませんでした(笑)。

 閑話休題。
 前回、佐久穂町のカレー屋さんが、待ち客だらけで諦めた旨をご報告しました。その後、こちらのお店のホームページを拝見。3人のお子さんを抱え、神奈川県から佐久穂町へIターンして開店された経緯を知りました。「これは行くしかない!」との思いが募り、昨日訪れました。



 千曲川を跨ぐ美しき石橋、栄橋の袂にお店はあります。
 9時に須坂での治療を終え、到着したのは10時20分。まだ人影はありませんが、受付簿が玄関に出ていました。既に一組、署名がありました。ボクも書き込み、開店までの小一時間、この日のもう一つの目的地に向かい時間を有効に使う作戦をとりました。
 

 
 戻ったのは11時25分。ほどなくご主人が中から現れ、受付簿順に店内へ誘ってくれました。



 木と白を基調とした、清楚なインテリア。
 カレー屋さんと言うよりも、お洒落な喫茶店風。

 予めお店のホームページで予習して伺ったので「…ふむ」と心の中で頷きました。こちらは元スナック。Iターンでの開店を決めた際、幸運にも店舗兼住宅のこちらに入ることが出来たのだそう。



 店内には、ちょっとレトロな「ハウスバーモントカレー」の看板が。
 ご主人は、ハウス食品に17年間勤め、社内資格「スパイスマスター」を取得された、スパイスのプロ。
 
 スパイスが詰まった瓶に囲まれたグレーの「カレンダー兼時計」がイイ!デジタルではなく、パタパタとウィングが落ちるもの。1分毎に、ウインクするかのように動きます。



 厨房右の壁は黒板風になっており、「本日のきまぐれ」メニューが告知されています。この日は「麻婆豆腐な咖哩」。開店日と実営業日数もあります。



 居抜きのスナックにあった照明。
 明るいインテリアに、上品に溶け込んでいます。







 メニューはA4サイズの二ツ折り。磁石のついた小さな竹の洗濯挟みで、カウンターに提がります。「スパイシーカレー」と「ラッシー」のセット、1100円をお願いしました。







 二ツ折りの間には、A5のカラーものも挟まれていました。
「本日のきまぐれ」の他、そこから定番になった「バタチキ麺」、それに「トッピング」でした。



「おまちどうさまでした」

 チャーミングな奥様が出してくれました。
 おー、オイシソー!



 1本のスプーンを、こんなお洒落な木箱に入れて出してくれました。

「いただきまーす!」



 ルーは、挽肉のツブツブ感と硬さが残っていながら、柔らかくて咀嚼を楽しめるもの。そんなに辛くはなく、メニューに子供でも大丈夫とある通り。ですがスパイスは効いていて、食べ進めるにつれ頭皮にジンワリ汗が滲みました。これは素直に「おいしー」!
 
 ごはんは日本食の「銀シャリ」とは別物。硬い炊き加減で「ゴワゴワ」とした食感(決して「ゴリゴリ」ではありません)。これがツブツブのルーとベストマッチ!一般的なカレーライスとはかなり異なりますが、インドやパキスタン、ネパールの方によるお店のものとも違うと感じました。実際、こちらでは「ナン」の提供はありませんでした。日本を代表する食品メーカーで、長年スパイスを研究された腕前、さすがです。



 付け合わせは福神漬けではなく、ニンジンとタマネギのマリネ。酸味はさほど強くなく、さっぱりした味わい。もっと食べたくなりました。



 ラッシーはミルクとヨーグルトの中間的なテイスト。さほど甘くなく、お店のカレーとの相性はピッタリ!個人的に、コーヒーよりこちらの方が合うと感じました。



 というわけで、あっと言う間に「完食」でした。
 ライスは「小・中・大」を選べます。元々小食なこと、この後およそ150キロの運転を控えていることから中にしましたが、食後には「大にすればヨカッタ…」と、少し後悔しました。

 …ご夫婦による小さなお店。
 長閑な佐久穂町で、連日満員の盛況。この日は生憎の雨でしたが、お店を出ると傘をさして多くのお客さんが待っていました。

 マスターはハウス食品に17年間務めたそう。
 3人目のお子様が生まれた直後、1年間の産休を取得して佐久穂に移り、明けると週末に戻る二拠点生活をされたとか。流産があったり、佐久穂の人々との交流、それに地元に開校したばかりの、大日向小学校の創造的に教育方針に賛同してお子様を通わせるに至り、Iターンを決意されたそう。「清水」の決意だったことと想像します。

 ボク自身のこと。
 妻は既に亡く、ひとりっ子の息子は独立。
 間もなく62歳、今の会社はあと3年ちょっと。

 今の会社は転職6社目。
 
 5社目で不条理なことが重なり、「将来は無いと思え!」との罵詈雑言を浴びせられ、労働基準法違反の大幅減給を宣告されました。50歳で6社目を探す転職活動を8カ月続け、今の会社に拾って貰いました。それだけに感謝はしていますが、最近、会社が動揺しております。
 
 残り3年。
 ですが何時、お払い箱になるかも知れないと感じています。
 過去の転職経験もあり、今からこの「先」の準備を始めようと、ごく最近に決意したところ。それだけに、人が作った「器」から「器」へ移るのではなく、自ら「居場所」を「創る」ことの大切さを噛み締めております。

 おしいいカレーを戴き、同時にこの先の人生への「勇気」を貰いました。

 ボクの拙い文章でご興味を抱かれた方は、是非お店のホームページを訪れてみて下さい。ご主人の生い立ちからサラリーマン時代のこと、開店に至るまでの経緯、人生観などが満載!何かに迷われている方の胸には、「こんな生き方があるんだ!出来るんだ!」との想いが満ちると思います。

 お店で忙しく動き回るご夫妻とお話しするチャンスはありませんでしたが、ボクもそんな一人です。



カレー屋ヒゲめがね

長野県南佐久郡佐久穂町高野町2950-8

11:30-15:00 火・水・土のみ営業





 


 

 

Posted at 2022/09/04 06:27:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | カレー | グルメ/料理

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