
昨日9月3日、土曜日。
10時20分。橋の袂の「カレー屋ヒゲめがね」さん店頭の受付簿に名前を書き、至近にあるこの日のもう一つの目的地へ向かいました。
ここは「新駒書店」さん。旧街道の商店街にある古民家を改装した書店。二週間前に「ヒゲめがね」さんが長蛇の列で諦め、帰宅後に調べていてこちらの存在を知りました。前回は全くノーマークでしたが、昨日は胸を躍らせて向かいました。
週に4日の営業です。
玄関扉を開けて「こんにちはー」と挨拶すると、左側からご主人が顔を見せて下さりました。初めての訪店をお伝えすると、「どうぞ、ゆっくりして行って下さい」と歓迎されました。
正面の白い書棚の上には、何と白石一文さんの新刊「道」がディスプレイされ、横には直筆の口上が記された色紙が!最初からドギモを抜かれました。こちらのご主人、タダモノではない!
会社で日経、自宅で朝日を読んでおり、土曜日の書評は毎回、楽しみにしております。この朝日の書評、読んだ記憶があります。ですが今回、この本は買いませんでした。東京でも手に入るから…でした。
古民家のため、お店には靴を脱いで上がります。
反対側から見たところです。
右側の階段下は、絵本のコーナー。
その左に、文庫本の書棚。
何と、ボクが愛して止まぬ谷川俊太郎さんの詩集「二十億光年の孤独」が!
これを読んだのは、遥か彼方の大学生時代。ラストの「黄金の魚」を読んで涙が出たことを、昨日のように覚えています。今でも家の何処かにあるはず…。
お洒落な洋風のディスプレイ。
釘を打たれたままの鴨居と、よくマッチします。
書棚は、大雑把にテーマごとに分けて収納されています。
「八ヶ岳」だったり「佐久地方」だったり「お料理」だったり…。
来訪客は、興味のあるカテゴリーごと見れるので、探しやすく親切。
以前にご紹介した北杜市の「チームシェルパ」は、こちらの著者たるシェルパさんの奥様のお店。「滅多に帰って来ない」と屈託なく話す、明るい奥様の顔を思い出しました。
右にある「チルルンびと」と「住む。」二冊を選びました。
フェイス陳列の什器は、箪笥の抽斗。
松本市の栞日さんを思い出しました。
時計も収まっていますが、その左横には関連書籍がありました。
いかりや長介さんの「だめだこりゃ」が目に留まりました。
あまり知られていませんが、ドリフは元々、ジャズバンド。腕は同時期のクレイジーキャッツより劣りますが、コミックバンドとしては遥かに成功しました。戦後の歌謡界の舞台裏が書いてあればいいな、と期待し、手に取りました。
急な階段を上がり二階へ。
低い天井は、信州地方の民家の特徴。でも不思議と圧迫感はありません。
こちらには洋書と漫画が置かれていました。
洋書のコーナー。
階段には上から「蓋」が出来るようになっています。
この辺りは、山岳を除き日本で最も標高が高い地域。
お店の裏を走る小海線の野辺山駅は、旧国鉄で最も高所の駅。
冬の寒さが想像できます。
窓際のソファ。
テーブル上には、動物の写真集が三冊。
犬好きのボクは真ん中を欲しかったのですが、既にかなり手にしていたため、今回は見送りました。
一階に降りお支払いをしようとすると、ふとこの本が目に留まりました。
まさしく、今ボクが抱えているテーマ。
中も見ずに購入を決めました。
ご主人を紹介する朝日新聞の記事がありました。
お会計後、少しお話ししました。
近谷さんは立命館大学を出て単身渡米、演劇を学びました。が、人種差別がまかり通る中、まともな役がもらえなかったことも。帰国後は翻訳を業務とする会社に入社。ドイツで行われたブックフェアでは、欧米の会社には出版権を買うべく各国の会社が長蛇の列。対するアジアの会社には閑古鳥…。アメリカでの経験が蘇り、悔しい思いをされたとか…。その経験から、邦人作家の海外出版の代理人を始め、16年には日本人作家の作品を海外に紹介する出版社を設立しました。
佐久穂町への移住は19年。
先にご紹介した「ヒゲめがね」さんと同じく、お子様を私立大日向小学校に入学させることが目的だったそう。新型コロナの影響から、海外とはネットでやりとりしているそうです。
こちらのお店、元々は「新駒食堂」というお店で、90歳まで女性が切り盛りしていたとか。ご主人は満鉄(日本の国策会社、南満州鉄道)に勤めていたそうで、敗戦後に引き上げて始めたとか。すでに93歳でお亡くなりになったそうですが、その店舗をお借りして開店されたそうです。店名はそのまま継承したのだとか…。
この先の生き方を模索しているボクにとり、大変貴重なお話しをして戴きました。最近、つとに思いますが、人様の人生、生き様は、どれも皆「お手本」!ボクは頑張っても、せいぜい80年程度。それとはまったく異なる人生経験をした人が10人いれば、800年分の知識や経験が存在します。これを学ばない手はないと感じております。
再訪をお約束し、お店を後にしました。
帰宅後、テーブルに並べて撮影しました。
暫くは通勤電車で楽しめそう…。
楽しい一日でした!
新駒書店
長野県南佐久郡佐久穂町高野町2914
営業日と時間は、記事中の写真をご覧ください。
【今日の「おまけ」①】
新駒書店のお隣は元洋品店、アクセサリーの体験製作工房!
還暦越えのチョンガーには、ちょっと縁が遠い印象。
ちょっとだけ見学しましたが、インテリアは秀逸!
本当はご紹介したかったのですが、お支払いなしで撮影はお願い出来ませんでした。結婚指輪を作りに来るカップルが多いと聞きました。
【今日の「おまけ」②】
ちょっと車を走らせると、国道299号線に出ました。その終点は、自宅至近の埼玉県入間市の小谷田交差点。おそらく、佐久穂からは最短距離。
…が、この先は関東でも有数の「酷道」!擦れ違いも困難な道が続きます。特に昨日のような天候では、絶対に避けるべき…。上信越に向かいました。
案の定、軽井沢ではこんな霧が!
これでも多少薄くなり、視界が見えた時に当てずっぽうにシャッターを押したもの。299に行っていたら…。
Posted at 2022/09/04 10:30:32 | |
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