
昨日『自分に還る 50代の暮らしと仕事』(石川理恵 PHP研究所)を購入、帰路と今朝の往路の通勤電車の中で、ざっと読みました。
サブチャンネルでも触れましたが、ボクも含め50代から60代男性の給与生活者の多くは、終身雇用を前提としたシステムの下、競争に否応なく飲み込まれた方が多くいらっしゃるかと思います。ところが、バブルの崩壊やリーマンショックなどの影響から、始発駅(入社)から終着駅(定年)まで敷かれていたレールが突然外されたり、途中でポイントを切り替えられ予想もせぬ支線に導かれる例は、枚挙に暇のない状況になりました。かく申すぼくも、5回の転職を余儀なくされました。倒産、出向、給与カット、リストラ等に遭い、天を仰ぎ途方に暮れ言い知れぬ恐怖にさいなまれた(ている)人は、決して珍しくありません。また、前途を考えれば、不安しか浮かばない方も…。
ところが、女性の場合。
日本型雇用にあっては、結婚や出産、その他の要因から、なかなか長期の就業が難しいのが実情。また男女雇用機会均等が叫ばれて久しいにも拘らず、現実は完全に後追い。「130万円の壁」もあり、短期での退職、非正規雇用、アルバイトの雇用に甘んじることは珍しくありません。しかし、そんな彼女たちは好むと好まざるに関わりなく、あちこちに頭をぶつけ瘤を作りながらも、実にしなやかに、したたかに生きています。
この本では6人の女性をピックアップ、紆余曲折、現在、そして未来ヴィジョンを紹介しています。
彼女たちの頭の「回転」と「決断」の速さは尊敬に値します。やってみてダメと判断すれば、直ちに異なる道を選択します。男性と決定的に異なるのは、こと「雇用」「安定」「収入」などの面で、「諦め」ではなく「そういう社会だから、自ら強くなる!」との覚悟が、それまでの人生経験で据わったからのように思います。
渡仏経験もありフランス語が堪能なミュージシャンの方は、30代で複数の病気に襲われます。体力も落ち、日々の支払いにも困り「落ちるところまで落ちた」ことを自覚します。長く付き合ったパートナーとも別れ、独りに。ここで発想の転換。定期収入があった方がいいと、お弁当屋さんでアルバイトを始めます。
『…パリで余計なものを捨てて来たつもりが、まだ何かに依存するような気持ちや慢心が残っていたんですね。ここでもう一回、ただの私に戻る必要がありました。演奏ができる、文章が書ける、フランス語が少しはできる、そんなスキルを一旦横に置いて、ひとりの人として手足を動かし、お弁当をつくる。毎日、毎日、朝から働いて、疲れ切って、何も考えずに寝る。合間に本業もしながら、そんなシンプルな生活サイクルを1年半くらい続けました。』
『…仕事の波が引いた時、膝を抱えて1カ月過ごしても更にお金がなくなるだけですが、アルバイトをして1日に2000円でも3000円でも稼いでいれば、積み重なるし、明るい気持ちも生まれてきます。本業じゃない仕事をやってみると、自分がいる世界と別の視点に触れられたり、いろいろな人の話が聞けたり収入面以外にもいいことがある。立ち止まっている時より、動きながら考えたほうが意外な突破口が開けたりもする』
これ、膝を叩きました。
男性が『蒸気機関車が牽引する貨物列車』なら、女性は『変幻自在、どこにでも入って行ける原付、たとえ袋小路でも、ターンは容易』との印象が浮かびました。
突破口を開くには、まず「動く」こと!
勇気を戴きました。
素晴らしい書籍!
ボクの薦めです。
Posted at 2022/10/12 20:58:41 | |
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セカンドステージに向けて | 日記