2022年02月01日
お疲れさまです。
今年度に研究員となってから、常になぜ?を考えることを意識するようになってきました。
趣味に関連付けるとよくも悪くもな性で、
これまでエンジンオイルに関する投稿を多々してきましたが、趣味であるクルマだけでも感覚で勝負したいものです💦
今回はなんとなく気になった記事(下記)がありましたので、その内容について考えたいと思います。
【高価な(高品質)オイルを推奨距離(5000kmとします)で交換するか、あるいは安価(中~低品質)オイルを早いスパン(~3000kmとします)で交換するのがいいのか】
オイル関連の記事でたまに見かけるあの問いかけです。
皆様はどうお考えでしょうか。ただし、ここでの回答として、高価(高品質)オイルを早いスパンで交換という自明の解は無しとします。
話を変えますが、以下は個人的に??と感じた内容です。
・水平対向専用と標記された銘柄は使うべきではない。
→水平対向専用オイルに含まれる粘弾性流体については賛否両論ですが、上記文章に全く根拠がない。
水平対向専用品、つまりそんなニッチなエンジン構造に対して何の知見もなくその場しのぎで成分調整しているからと、理由付けしたかったのかな?とすら思いました。
たとえば、一般的なペットボトルに飲料が入ったものを凍らせた場合は容器が膨脹し、運が悪ければ破裂します。これを解決するための構造を有した容器が、(ゴールド)専用品と標記されるわけです。しかしながら、一般的なペットボトルであっても凍らせて使用することもできるといえばできます。対低温性能に特化していない、だけの話です。
逆に言えば、専用品と言うだけの特化した性能があることがしばしばです。
水平対向専用オイルでいえば、特有のサイドスラストや重力方向の油膜暑さの違い、こららに起因する(極圧)摩擦などでしょうか。
熱流体の観点からすると、個人的に粘弾性という点に怪しさすら感じますが、その性能を信じるとすればこんなに理に叶った成分はないと思います。
皆さん、乗り心地が固いとか柔らかいとか感じたとき、車高調の減衰を調整しませんか?あるいは、サスの変更を検討したりしませんか?他方では、路面からの突き上げはサスタワーなどへ結構影響しているのでは?などと考えることもあるかと思います。
そんなときに総じて、ダンパーの減衰力を調整したり、ラバーマウントに変更したりするかと思います。
なにが言いたいかというと、一般的なオイル→粘弾性オイルも結局同じことをしているのです。我々が粘弾性流体を扱う際にはその複雑さ故に一筋縄とはいきませんので、モデル化という手法を使います。その際、粘弾性流体はバネ、ダンパ系そのものです。ご存じのとおり、バネは伸縮の変位に比例した復元力を生じます。一方のダンパは?というと、(ピストン)速度に比例した反力を発生します(急な凹凸でガツンと衝撃が来るのはこれが理由です)。
エンジンで考えると、高速で動くピストンとシリンダライナとの間のオイルは、その速度に応じた反力を、ピストンがシリンダライナに向かう方向とは逆向きに発生しているのです。
もともと水平対向エンジンはピストンとシリンダライナ間のクリアランスが大きいエンジンですので、粘弾性(専用品)を使う意味はある、というのが私の結論です。
併記するのであれば、耐久性については未知数な部分もありますが、間違いなく言えることはエステルをベースとしたオイルよりは耐久性があるということです。またPAOにしても添加剤を使用しなければ確保できない性能項目が多いのも事実です。
たとえ、粘弾性が損なわれたとしても一般的なオイルに戻るだけ(使った分の汚れや劣化はもちろんある)と考えれば、粘弾性オイルを敬遠する理由も少しは払拭されるのではと思います。
余談ですが、過去に潤滑を主題とした学会に参加したことがありました。
工作機械などの潤滑にはやや使い古したオイルの方がよかったという試験結果はまさに目からうろこでした。
関連トピックとしては、WRXには化学合成(全合成ではない)を使っておけば銘柄はなにであっても問題ないとのコメントもありました。
→個人的にそんなことはない、と思うばかりです。確かに壊れることはありませんし、コスト的に余裕があればそれがよいでしょう。
ただ、先の工作機械の例にもあるように、過走行のエンジンには化学合成よりも部分合成油のほうが適している場合もあります。
最近では、
安全率などの観点からも、そこそこのグレードの銘柄を比較的早いスパンで交換をする方がいいのでは?と思うようになってきました。
散文となりましたが、個人的な備忘録まで。
Posted at 2022/02/01 14:26:35 | |
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