リドリー・スコット監督作品　「プロメテウス」

昨夜、先行特別上映の3D版を見てきました。一言で言えば楽しめました、が・・・。

去年のクリスマス辺りから予告編が公開されていたので、勝手な妄想が頭の中を占領し、過大な期待をしてしまったのが「・・・」の原因ですね。

本作は1979年に公開された「エイリアン」の前章にあたる作品です。しかし内容的には「エイリアン」と大筋で違わず、人間と「それ以外」との壮絶な戦いの物語。ヨーロッパでは「猫はその旺盛な好奇心で身を滅ぼす」みたいなことわざがあるようですが、それを思い出しました。

個人的な見方とし、監督であるリドリー・スコットの陰影を用いた撮影技法が大好きで、その世界感みたいなものに憧れがあります。そして外せないのはセットの緻密さというかリアリティのある質感とデザイン。宇宙船の内部はクリーンルームのような潔癖なまでの無機質な雰囲気と、それ以外の暗く湿気を感じるような”グチュグチュ”とした気持ち悪さの対比がたまりません。

オリジナル版「エイリアン」は宇宙船ノストロモ号の乗員が人工冬眠から目を覚ますシーンから始まります。宇宙船が待機状態から電源が入り、真っ暗な船内に少しずつ明かりが灯り始める。モニターの画面が宇宙服のヘルメットに映り込むシーンとかは不気味で怖かった。乗員が次々と目を覚ますのですが、似たようなシーンが「プロメテウス」にもありますが、もっとリアルに描かれていました。

しかしこのシーン、「エイリアン」の前章にあたるのが本作なのに、その雰囲気は「エイリアン」のそれより”新しく”感じるのです。もう33年も前の作品が「エイリアン」ですから致し方ないのかなぁ、と感じましたが少し違和感がありました。この辺りの違和感は全編でチョコチョコ感じます。

それと「エイリアン」好きに媚びるような演出が多々あったのも気になった点。「プロメテウス」では乗員がフェイスハガーに襲われ、体内に寄生したまま宇宙船ハッチ下まで戻って来るシーン。「エイリアン」以降にスコット監督以外が撮った作品によく出てきたエイリアンの”待機”のポーズ。深くしゃがみ込み、頭の両脇に足を出すのですが、これをまだ体内にエイリアンが宿った状態の人間、乗員がしてるんです（！）。

「エイリアン」シリーズには欠かせない人間をフォローと管理するためのアンドロイド。「エイリアン」では”アッシュ”で、それ以外のシリーズでは”ビショップ”。「プロメテウス」では”デヴィッド”。彼らはどのシリーズでもバラバラにされてしまいますが、今回もその例に漏れません。体液が白いカッチングのようなモノなのも同じです。個人的には”アッシュ”の不気味っぷりとイカレっぷり大好きですが。「プロメテウス」のデヴィッドは従順で純粋で潔癖です。

まぁまだ観賞一回目ですし（笑）、パッと気づいたのはこのくらい。とにかく楽しめましたよ。今回は3Dで上映されてましたが、スコット監督作品での相性は良くは感じませんでした。あの奥行き感を人工的にやられちゃうと・・・。どうしても「エイリアン」と比べてしまうのですが、あの映画にあった宇宙船内での閉塞感というか密閉感、とても息苦しくなるような緊張感が少なかったのが気になったトコでした。


PS.「プロメテウス」のオープニングは壮大な雰囲気の空撮から始まります。これはやはりスコット監督作品である「ブレードランナー」でも観られたのですが、元々このシーン、スタンリー・クーブリック監督作品である「シャイニング」からインスパイヤされたものらしく、スコット監督最新作でも見られたのが嬉しかったです。