公式ECU、開発はドゥカティ？

GPライターの遠藤智さんのコラムによると、DORNAが供給しマニエッティ＆マレリ社が開発製造するOPENオプションの為の〝公式ECU〟が、実はドゥカティ・コルセで開発されたものだった疑惑が浮上しているという。事の発端はセパンテスト2回目で配給されたECUが、最初のセパンテストから大きく仕様の異なったヴァージョンに変更されていたことに発する。セパン2回目テストでこの公式ECUの運用に使用チームは大いに苦戦していた。そこでホンダ、ヤマハ、のエンジニアがこの公式ECUを解析した結果、ECUソフトの数式に〝DUCATI CORSE〟の表記があったという。

この疑惑が確かなら、ドゥカティは自らが開発に関与した公式ECUを使用することを前提とし今季の参戦カテゴリーを〝OPENオプション〟に変更した可能性がある。これは事実上〝FACTORYオプション〟の自社開発のECUを使い、〝OPENオプション〟のカテゴリーに参戦する、いわば〝良いトコ取り〟だ。

今後この疑惑の取り扱いに対し、ホンダ、ヤマハの両陣営、DORNAがどのような対処を取るかはまだ明確になってはいないが、今後問題が大きくなることは必至とみられる。


ここからは私の妄想である。

何故このような事態に陥ったのか？。やはりそれはDORNAが画策したMotoGPのエンターテーメント性の向上だろう。チャンピオンシップは決まったエントラントが勝ち続けるほどつまらないことはない。結果が分かっていて観る競技にオーディエンスはエキサイトしないからだ。ここ数年のMotoGP戦績、状況を見渡し危機感を持ち、DORNAがエントラントのパワーバランスを操作しようと画策したと想像しても、あながち的を外した妄想にはならないと感じる。

この一連の騒動を知り、先のセパンテストを見返すと、やはり日本のマニュファクチャラーの技術力に改めて感心させられてしまう。この裏工作の見返りの恩恵を受けたと思われても仕方ないドヴィのタイムも、アレイシのタイムと〝0.034〟秒程度しか違わないし、まだMotoGPクラスを学習中のレディングは、路面状況が良かった1回目のテストから比べ、先のセパンテスト2回目では〝0.605〟秒タイムを改善していた。

先出の関係者によると、公式ECUとファクトリーが独自開発したECUは、我々が思っている以上に精度の違いがあり、決定的、とまで云われているようだ。ホンダが必要に、この先、MotoGPクラスでの公式ECU化に懸念を示しているのもうなずけるし、それまでもこの騒動のようなドゥカティの関与が関係者の間で疑念があった可能性も示唆できる。

ドゥカティやマニエッティ＆マレリ、そしてDORNAが公式ECUのデータに〝足跡〟を残したままにしたのは、何とも間抜けな話しだし、それを見つけ出した日本のマニファクチャラーの執念にも想像を絶する。しかし昔から云われているが、GPはやはり〝ヨーロッパ〟のものだ。このスポーツの歴史や文化を知れば、日本のマニファクチャラーはいつまで経っても〝客人〟でしかないのである。