
デスクトップを整理していたら気になったニュースのコピペがあった。救急救命士の規則外行動に対する処分の二つの記事
一つめは茨城県石岡市の救急救命士が休みの日に、東名高速での事故現場に遭遇し、緊急救命活動を行い、業務外であるとして処分された件。
・・・引用ここから
2011年5月31日(火)
業務外救命措置で消防指令停職6カ月 石岡市
東名事故で静脈路確保
石岡市は31日、業務外で救急救命行為を行ったとして、救急救命士で
同市消防本部の男性消防司令(54)を停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。
消防長ら上司5人も監督責任として訓告とした。
同消防本部によると、消防司令は4月14日午後0時半ごろ、静岡県内の
東名高速道路で自家用車を運転中、追突事故に遭遇。医師の指示を受けない
まま、所持していた同消防本部所管の救急備品の医薬品などを使って、
けがをした男性運転手に静脈路確保の救命措置を行った。
男性運転手の命に別状はなかった。
同消防本部は、人命救助を目的だとしても法令抵触の可能性があるとして
処分を決めた。鈴木徳松消防長は「再発防止へ、備品管理の徹底と再教育を
図っていきたい」と話した。
茨城新聞
・・・引用ここまで
ここで問題になったのは業務外であることと、消防署備品の医薬品を無許可で持ち出していたこと。停職6カ月の懲戒処分という処分は、この期間で仕事を見つけて退職せよということ、すでに退職。
二つ目は負傷者を搬送中、負傷者の生命の危機を感じ、医師と連絡を取りながら輸液を行った。この場合も、輸液は心肺停止の状態であるという規定を逸脱した。
・・・引用ここから
救急救命士、交通事故負傷者を搬送中「生命の危険」判断…患者に
違法点滴・愛知。
愛知県常滑市は6日、同市消防本部の男性救急救命士(38)が、
交通事故負傷者を搬送中に、救急救命士法に違反する点滴を行っていたと
発表した。
同本部は当時の状況をさらに詳しく調査をしたうえでこの救急救命士を
処分する方針。
同本部によると、救命士は先月7日、常滑市内で起きた交通事故現場に
出動。負傷した男性(35)に、救急車内で血流確保のための輸液を静脈に
点滴した。
救命士は「大量出血で意識がもうろうとしていたため、搬送先の
常滑市民病院の医師と連絡を取りながら輸液を行った」と説明したという。
負傷した男性は病院で治療を受け、現在は快方に向かっている。
救急救命士法の施行規則では、心肺停止状態の患者に限って医師から
具体的な指示を受けながら、点滴や気管にチューブを挿入して酸素を
送ることができるが、男性は心肺停止状態ではなかった。
同本部の事情聴取に対し、救命士は「施行規則のことは知っていたが、
生命の危険があると思ったので輸液を行った」と話しているという。
救命士は2004年に資格を取得した。
石川忠彦消防長は「救命のためだったが、違法行為は遺憾。病院との
やりとりを含めて、当時の状況を検証していく」と述べた。
2011年3月6日19時02分
読売新聞
・・・引用ここまで
お2人とも規則は十分に承知し、署員として、救命士としての厳しい訓練を受けている。規則を守らなければどのような処分を受けるかも知っている。命を救う訓練を受け、その使命感ゆえに眼前の命を見過ごすことは出来なかったんだろうと思う。
お2人ともブラックジャックになりたくてやった訳ではない。目の前の「命」を救う強い使命感だと思う、歪んだ行政の犠牲者だ。
医師と連絡を取りながら輸液を行った常滑市の救急救命士は救急救命士法違反で書類送検。目の前の命が危険にさらされている時、法に従うか破るかの葛藤の結果が彼らの行為。何故、そのような自己犠牲の判断を強いる「法」があるんだろう、「命」は「法」の下なのか。
救急救命士は国家資格、しかし資格を取得しても救急搬送業務は消防庁。すなわち資格を生かすためには消防庁に入庁しなければならない。1万人以上の国家資格をもった救急救命士がその志と資格を生かせないでいる。
救急救命士は民間に職を求める事も最近はあるそうだ。しかし、民間ではその教育を受けた救命医療行為はできず、一般人と同じ器具を使うことの出来ない一時救命処置しか許されていない。
みんカラのメンバーの方々であれば、彼ら救急救命士の活躍できる場はすぐに思いつくと思う。カートを含めたサーキットやレジャーランドとか・・・
法の適用が救急車内だけという事が改正されればと思う。
・・・
規則を「守る」か「守らない」かで大きな明暗を分けた事例がある。プロジェクトX「列車炎上 救出せよ 北陸トンネル火災」をご記憶でしょうか。トンネル内で火災発生したため、運行規定を「守り」トンネル内で緊急停止した結果の惨事。
1972年、北陸トンネル内で急行「北国」に車両火災発生。機関士は運行規定にのっとってトンネル内で緊急停止、乗務員は消火に勤めたが火勢が強くかなわなかった。結果、死者30名、負傷者714名の大惨事となってしまった。
現在のトンネル内は照明があるが、この時トンネル内の照明が運転の妨げになる(国労・勤労)との理由で照明が無かったのも避難・救助の妨げになった。緊急停止の最大の要因は規定もあったが、同じトンネルで起きた過去の火災が最大の要因だった。
その事故とは「北国」の事故の3年前の1969年、同じ北陸トンネル内で寝台特急「日本海」が火災を発生、機関士はとっさの機転で運行規定を無視し、火災を起した列車をトンネルを通過させ乗客および乗務員に一人の被害者も出さず消火に至った。しかし運行規定(トンネル内とも言え速やかに停車し、消火活動)を守らなかったために乗客の命を守った機関士を含む乗務員は賞賛とは逆に処分を受けた。
「北国」の大惨事後も長らく規定の変更は行われず、国鉄幹部の責任は追及されなかった。「北国」の乗務員は裁判の結果無罪となったが、これにあわせて「日本海」の乗務員の処分は撤回。そう言えばJR福知山線の脱線事故、これも上層部は無罪放免でしたよね、醜い事だ。
規定を守って大惨事、命を守る為に規定を逸脱する野放図にという訳では無い。現場を知らぬ人間が規定を作るとき、その規定は組織の保身が最優先されてしまう。
一色正春海上保安官書類送検 尖閣ビデオ流出問題
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路線を外れた路線バス