
←30年程前の穂高岳山荘から望む前穂。
「山の日」、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを趣旨としているとの事だけど、各年齢層の登山人口が増えるといいなと思うと同時に、雑誌の売り上げだけが目的とも思える過多な登山情報は何とかならないのかと勝手に思う。
前にも書いたけど、一昨年だったと思うけど夏の穂高山荘前のインタビューで登山が2回目という山ガール、インタビューアーが一回目の登山はと聞いたら「高尾山」、テレビお得意のヤラセではなかったようだ。
雑誌には目的とする山域にどのような装備が必要か事細かに書いてある。低山から登り始めて、必要な装備を取捨選択するという行為は全くスポイルされていると感じている。今はいい下着が沢山あるようだけど、汗や雨に濡れた後、自分の体を守る為にはどうするかなんて事を書いている雑誌はあるんですかね。見逃したかも知れないけど読んだことが無い。
私の経験はその時代に手を入れられる装備をもとにしたものなので、現在には適用出来ない事は承知している。でも経験値を獲得するために必要な、時間が掛かるプロセスは、雑誌では避けられているとしか感じない。
遭難、その時に自分を守るには経験値と知識が必要だと思っているけど・・・
本屋さんで手に取った事がある方もいるかもしれないけど『
ファストパッキング 2016 何を削れるか? (SAN-EI MOOK RUN+TRAIL別冊) 』。
自分の登山スタイル、そして山域に合わせた装備を自身で選べますか?
夏山でも疲労凍死する、その時あなたはどのような装備を持っているか?守れますか?
今では不適切な選択かもしれないが、当時一人で山に入っていたので軽量化は必須だった。テントを持って行くときはなおさら、例えば寝袋は今は無い半シュラフ(腰から下だけのシュラフ)、そして上半身は羽毛服(行動服兼用)、ザックは靴を履いたまま脚部が入る形状。今は素晴らしく軽量化された装備があるんで違いますよね。
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先月7月20日の読売新聞の記事『
「個の時代」、頼りはSNS…今どきの登山事情』。この中でこういう記述があった。『事故を避け、身を守るためには、絶対に欠かせない手続きがあるのだ。「事前の準備」と「情報収集」。ともに、カギは「人とのコミュニケーション」だ。』
個々で言う「事前の準備」というのは何を指すんだろうか。槍・穂高などの「行きたい」という欲望を駆り立てる記事が蔓延しているが、その記事の中で読者に警鐘を鳴らすなんて事はしていない。確かに商業的にも、そして読者が望むのも美しい風景の記事だけどね。欲望を駆り立てる記事。
上記読売新聞の記事の中で、著者の「ヤマケイ登山総合研究所長 久保田氏」は『日頃、登山者の安全確保のために努力してくれている北アルプスや八ヶ岳などの山小屋の方々からは、登山者との関係について、諦めに似た声を聞くことがある。』と書いている。
それを招き、片棒を担いでいるのは何処にあるんだろうか。『「登山者の矜持」を取り戻せ』と言うが、小説にもなったナイロンザイル事件、貴誌のそれに対するその時のメーカ側に寄り添った対応と、現在の読者に迎合する編集、「矜持」を取り戻す必要があるのはどちらかな。
ナイロンザイル事件、貴誌がメーカーサイドに立たなければ救えた命があった。そして夏山シーズンになると高山に駆り立てるだけ特集記事、商業的・読者の要望的にはそうなんだろうけどボランティアで救助活動を行っている山小屋の方々、その思いはご存じですよね。
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6月に報道各紙で白山国立公園の「白山百万貫の岩」にロッククライミング用のボルト(報道ではハーケンとなっていたけど、打ち込まれていたのは岩にあなを開け打ち込むボルト)が打ち込まれていた事が問題になりましたよね。
↓図は建築用のボルトだけど、岩壁用と打ち込み方法は同じ。(除去は岩の破壊)
同じ国立公園である穂高、ここでは長いロッククライミングの歴史があり、国立公園に指定された1934年以前からウォルター・ウェストンを始めにしてアルペンスタイルの登山がおこなわれていた。そしてそれ以来、ハーケンやボルトが岩壁に打ち込まれている。保護と利用のバランスの問題だと思う。
しかし、「白山百万貫の岩」が問題になったのは県指定の「天然記念物」であったからなんでしょうね。指定以前に打ち込まれていればその時点で規制があったと思うけど、指定以降だと県としてはどうしようもない。他の何カ所かでも問題になりましたよね。
「山と渓谷社」のクライミング・ボルダリング総合サイトに「白峰ボルダー」として紹介されている。
↑このHPにはには↓こう書いてあった。
・チョークの跡はきれいに掃除する
・観光客、村の方々に迷惑のかかる振る舞いは慎しむ
天然記念物なんでチョークは使っちゃだめなんだろうと思う、記述内容は訂正しないのかな。各誌が記事にした時にこのページを見に行ったけど、今でも記述は変わらない。ヤマケイさん何とかしようよ。
石川県が天然記念物に指定したのは2001年12月、山と渓谷社のこのページのコピーライトは2012年。調べてから書こうよ。
石川県山岳協会も未だに処置していないけど・・・「百万貫岩は掃除が必要ですね・・・」おいおい。
そう言えば那智の滝を登ってしまった方、ピオレドール賞を受賞された方なんですよね。
Posted at 2016/08/11 08:34:36 | |
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山とスキーだね | 日記