フジテレビ 地上波でのF1中継が終了して久しい今、F1中継(CSのフジテレビNext)で見ている人なんて限られているでしょうね。
それが、日本時間の深夜(午前3:10)スタートとなるカナダGPともなれば、さらに少なくなる事でしょう。
そんなカナダGPの中継をリアルタイムで観る物好きなタケラッタが観た今回のレースは、非常に後味の悪いものになりました。
シーズン7戦目にして初めてメルセデスを上回りPPを獲得したベッテル&フェラーリは、スタートも無難に決めて、レースをリードします。
タイヤ・ストラテジに関して、フェラーリのピットから「プランB」の声が出た時は、『また変な作戦する気か!?』と焦りましたが、順当な1ストップ作戦でした。(って言うか、プランAは2ストップだったんか?)
順当なタイミングでタイヤを交換したベッテルに対して、セーフティカーが出る事を期待したか、ハミルトンはタイヤ交換を遅らせますが、タイヤがグリップを失って、逆に差が開く結果に。
タイヤ交換を終えたハミルトンが、徐々にベッテルとの差を詰めていきます。
1秒以内のDRS圏内に入ると、ベッテルもエンジンモードを変更して突き放すなど、一進一退の攻防が続きます。
しかし、48周目のターン3でベッテルがコースオフ、グリーンを走ったベッテルのフェラーリは、続くターン4をショートカットし、そのままアウトに流れていきます。
ベッテルのフェラーリは、アウト側のウォールに張り付くことなくマシンを立て直しますが、そこにはハミルトンの車がいました。
ハミルトンはすかさず無線で危険をアピール。レースコントロールはターン4のインシデントを審議対象にします。
この時のフジテレビNext解説陣(今宮さん&川井ちゃん)の見解はレーシングアクシデント。メルセデスから抗議が出たので、形だけでも審議しないとね、くらいの軽いものでしたが―――審議結果は5秒加算のペナルティ。
これで、抜く必要のなくなったハミルトンが圧倒的に有利になります。
DRS区間が3箇所に増えたジル・ヴィルヌーヴ・サーキットは、ついて行くだけなら非常に楽について行けますから。
抑え切るなら十分に勝機が有ったベッテルは、この裁定に怒り心頭。
「グリーンを通ったマシンをコントロールできる筈ないだろ!」
「レースを盗まれた!」
確かにオンボードの映像を見ると、ベッテルは必死にコントロールしているだけで、少なくてもハミルトンの車に幅寄せしているようには見えません。
シロウトの私でも、レーシングアクシデントにすべきだと思いました。
さらに言うと、この2台はトップ争いです。
興業としても、2台の熾烈なトップ争いを演出するべきでした。
ハミルトンは可能な限りリスクを避けたドライビングをして、ベッテルの後ろでゴールします。
観客はトップチェッカーを受けたベッテルではなく、ピットタイミング以外では一度もベッテルの前を走る事の無かったハミルトンが表彰台の頂点に立つという不思議な光景を見せつけられるのです。
ベッテルは、抗議の意思を示すため、2位のボードのある位置にマシンを停める事を拒否し、ピットレーン入り口にマシンを停めてしましました。
チームのホスピタリティに直行し、表彰台のボイコットすらしそうな勢いでしたが、チームスタッフに促されたのでしょう、ホスピタリティから出て表彰台に向かいます。
その際、ハミルトン車の前にあった1位のボードと、本来 ベッテル車を停める筈だった位置にあった2位のボードを入れ替えて、抗議の意思を改めて示しますが……
いや、それをやったら、またペナルティを食らうぞぉ。
表彰台では、優勝したハミルトンに対してブーイングの声までありました。
モナコでも、2位のフェルスタッペンに5秒加算のペナルティが出ていたので、2戦連続でライバルのペナルティに助けられてる、って言う思いもあったかもしれませんけど―――ハミルトンは何も悪い事していないのですがね。
ハミルトンが2着でゴールしたのも、必要が無いからであって、ペナルティの裁定が無かったら、手に汗握るトップ争いが繰り広げられていた可能性が高いです。
ペナルティは、後味が悪いだけじゃなく、最高のレースをぶち壊した可能性だってあるのです。
今回のインシデントで思い出したのが、1994年の最終戦 オーストラリアGPです。
この年は、セナの悲劇の後、圧倒的に強かったベネトンのシューマッハに対して、フォーメーションラップ中の追い抜きに端を発するゴタゴタで2戦出場停止のペナルティや、床面のスキッドブロックがすり減っただけで優勝したベルギーGPを失格にするなどの得点調整(?)のお蔭で、トップのシューマッハと2位のヒルが1点差で最終戦のオーストラリアGPを迎えました。
トップ シューマッハ、2位にヒルでレースが進んだ36周目、シューマッハがミスを犯してコースオフ。当時のオーストラリアGPはアデレードの市街地コース、コースオフしたシューマッハのマシンは、ウォールにタイヤをヒット、失速した状態でコースに復帰します。
チャンスとばかりにヒルは抜きに掛かりますが、シューマッハはラインを被せて抵抗、両車はタイヤ同士が接触した事で、シューマッハのマシンは弾き飛ばされてクラッシュ。一方のヒルのマシンはタイヤがパンクチャーを起こしていたものの自力でピットまで戻ります。しかし、接触の際、サスペンションを壊していた為、ヒルもリタイヤを余儀なくされます。
結局、チャンピオンを争う2人が接触によるリタイヤでチャンピオンが決まると言う、かつて鈴鹿で2回ほどあったような結末になったのですが……
問題は、完全にスピード差のあったヒルに対して被せていったシューマッハの動きです。スピード差があったため、コーナーのライン取り云々というより、ヒルの前を塞ぐ為だけの、走路妨害とも言えそうなもので接触したのです。
しかも、その直前で、シューマッハのマシンはウォールにタイヤをヒットさせています。もしかしたら、既にその時点で、シューマッハのマシンはレースを走り切れないくらいのダメージを負っていたかもしれません。
シーズン中、やたらヒル寄りでシューマッハに厳しい裁定ばかり出していたのに、オーストラリアGPのこの接触は不問でした。(←おかしいやろ)
今回の裁定に限らず、なんか運営側の意図によってレースの方向性が決められているような気がしてならないんですよね。
2019年のタイヤに採用された『シン・ゲージ』は、ブリスター対策の為といいますが、反面でタイヤが暖まりにくいという側面もあります。
これ、昨シーズン熱ダレに悩まされていたメルセデスに有利に働き、他チームは熱入れに苦労しています。(レッドブルのクリスチャン・ホーナーなんかは、ジョークで『去年のタイヤ持って来い』って言っているそうです)
天下のメルセデス様に気を遣ってるんじゃないかな? って思っちゃうんですよね。
他にも、フェラーリにだけ与えられた『拒否権』とか、公平じゃないよなーって事がいっぱい。
巨額なお金が動くF1、なんかドロドロしたところが見えてしまってヤダなぁと思うのです。
選手は悪くないんですがねぇ。
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Posted at
2019/06/10 11:30:06