続きです。
キーキー、キコキコ音の対策の仕方ですが、前回ブログで書いたように、
・インプットシャフト⇔ディスク間スプライン
・レリーズ・フォーク
・クラッチシャフト
の場所にグリスアップしますが、一番の問題は、
インプットシャフト⇔ディスク間スプラインのグリスアップ
です。
何故かといえば、TY85ミッションは他社のMTとは違い、サービスホールはないので、そこからグリースを吹き付けるような事は出来ません。
レリーズ・フォークとクラッチシャフトは、インプットシャフトに比べると難易度は高くはないですが、トヨタの80スープラのゲトラグミッションのように、サービスホールからレリーズフォークが抜けるようには簡単ではありません
ただ、クラッチシャフトはミッションを下さずとも抜けます。
サービスホールが無いなら、どこからグリースを入れるかというと・・・・
ここしかありません↓
レリーズフォークの穴です↑
ここから吹き付けますが、問題がいくつか・・・・・
クラッチの構造を知っている人は分かると思いますが、この穴からインプットシャフトにグリスを吹き付けようとすると、クラッチカバーと、レリーズ・ベアリングが邪魔をします
※上画像はGR/GV、VABの部品画像ではないので、画像内のレリーズシリンダーのオーバーホール設定は実際はありません
そこで登場する秘密兵器?がこれ↓
30㎝ロングノズルです(某、モ〇タロウで購入可)
既に先っぽが曲がっていますが、私が曲げました。。。。
・・・っていうか、ストレート形状のままだと、如何あがいてもインプットシャフトに届かない
これを使って、どうやってアタックするかというと、
クラッチカバーのダイヤフラムスプリングと、ベアリングロックを適切に回避
します。
分かりやすいように、車両搭載状態ではなく、部品単体画像で説明しますが、
ダイヤフラムスプリングの隙間からノズルを差し入れ、・・・(50円硬貨のバーをインプットシャフトに見立てています)↓
ダイヤフラムスプリング中央部のレリーズ・ベアリングのロックピンも巧く避けると、ノズルがインプットシャフトに到達します(かなり難しい手探り)↓
ただし、
メーカーによって構造が違ったりするので、全てのメーカーのクラッチで出来る事ではありません
しかも、車両搭載状態でこれをやるとなると、エンジンの上に腹ばいになって、かなり無理な体勢になるので、かなり難易度は高いです。しかも見えないので手探り・・・・
ここで注意点が一つ。
レリーズ・フォークはクラッチコントロール系の油圧を抜いて、フリーにしておかないと作業が難しくなります(面倒なので、ロッドは抜かない事)
さらに、インプットシャフトはスプライン(溝)が切ってあり、1箇所だけ吹き付けても潤滑効果はあまり期待できないので、インプットシャフトを1周グリスアップすることを考えます。
さて、如何するかというと、
インプットシャフトを回します
こうやって・・・・↓
これは、クランクプーリーを手動で回しています↑
クランクプーリーからクランクシャフト、フライホイール、クラッチディスク経由でインプットシャフトを回す
という方法です。
これでインプットシャフトを回しながら、グリスアップを繰り返す・・・・↓
・吹き付けの注意点は、スプレーボタンを強く押さない&長押ししない(グリスが飛散するため)
・クランクプーリーの回転角度を見極める事
ですが、最大の注意点は、
失敗したことを考えて、最悪、クラッチ交換する事を前提にw
余談ですが、巷でミッションを降ろさずにグリスアップした場合は、すぐに異音が再発する傾向にありますが、今回の方法で行った半年経過後の動画です↓
なお、この動画のさらに1年半後にミッションを降ろしましたが、立ち合いで確認したところ、変なところにグリースは吹いていませんでした。
当然、クラッチディスクや周辺にグリースが飛散しているという事もありません。
次回は、問題定義2つ目です。
Posted at 2019/09/07 13:25:42 | |
トラックバック(0) |
MTの宿命の不具合と問題と対策 | 日記